第2014話 225日目 野営ならば火の番は私の仕事。(おや?誰かいる。)
魔王国側の関に居る武雄一行。
夕食を取って寝る前のティータイム。
「あ?」
「ですね~・・・なんでしょうね?」
ビエラとミアが同一方向を見ている。
「どうしましたか?
ビエラ、ミア、私の分食べて良いですよ。
仲良く半分にするんですよ。」
武雄がビエラとミアに手持ちの茶請けを渡す。
今日の茶請けは町で買ったビスケットです。
「あ~♪あ?」
「ですね・・・って、ビエラ!半分ですよ!?
そうそう、半分半分。
あ、主、あっちに一団が居ます。」
ミアが言ってくる。
「一団?何名くらいですか?」
「10名・・・11名?」
「・・・少し多いですね。
ん~・・・夜盗ですかね?」
「主、盗賊ってこの人数なんですかね?」
「さぁ?・・・アンダーセンさん、どう思いますか?」
武雄がアンダーセンに聞く。
「そうですね・・・まぁミア殿とビエラ殿が感知出来ている範囲が200m以上ですからね。
この時点でわかるのは異様なんですけど・・・
ミア殿、ビエラ殿、その一団は動いていますか?」
「動いていませんよ。
それに・・・ビエラ、考えてみるとここに着いてから居ませんでしたか?」
「あ~???・・・あ。」
「ビエラもバラバラで居たかもと言っています。」
「なるほど・・・狙っているのかもしれませんが・・・
襲撃の際のこちらの混乱に乗じて荷物を奪うというのがあるでしょうから集合をする意味があまりありませんね。
それにこの人数を相手に10名程度というのも少なすぎですね。
私達はお客様ですからね。
警戒はしつつもあまりこちらから積極的に攻撃はするべきでないと思います。」
アンダーセンが言う。
「ラックさんはどう思いますか?」
武雄がラックに聞く。
「そうですね・・・まぁ動くのは物事が起こってからで問題はないのではないですか?
夜盗に怯えるというのは精神的にきますけど・・・私達はそういう訓練は受けていますし。
むしろキタミザト殿は落ち着いていますね。」
「カトランダ帝国とウィリプ連合国に次いで3か国目ですしね。
夜盗に一々怯えていたら寝れませんよ。
それにミアとビエラが居ますし、何か動きがあればわかりますからね。
部下達もやる時はやる面子ですから心配はしていません。」
「そうですか。
局長はどうですか?」
ラックが聞く。
「夜盗は確かに怖いですけど、政局を担っているとそっちの方でも怖い事が多いですしね。
今はそういう物だろうなぁ程度ですよ、その為の護衛がラック殿達ですし。
私よりハガードとラングフォード殿が大丈夫か気になります。」
「管理部に居ればそれなりに怖い事はされていますし、王家の専売局に出張もありますからね。
問題ないですよ。」
「私も問題ないですね。
それにここに居るのは王都守備隊の面々のみですし、不安はありません。」
ハガードとラングフォードが言う。
「頼もしい限りですね。
まぁなったらなったですかね。
王都組は基本的には眠りは浅くなるかもしれませんから明日の昼までは幌馬車でのんびりとして貰いましょうか。
アンダーセンさん、ラックさん、大丈夫ですよね?」
武雄がアンダーセンとラックに聞く。
「「大丈夫です。」」
2人が頷く。
「じゃあ、皆さん寝ましょうか。
私はいつもの通り、火の番で。」
「所長・・・毎回言いますけど、私達がしますよ?」
ブルックが言ってくる。
「良いから寝なさい。
馬に乗る人や御者を優先的に寝かせるのは当たり前ですよ。
それに私は昼まで荷台で寝るんですから気にしてはいけませんよ。」
「はぁ・・・所長と・・・今日はブルックか?」
「なら、こっちからはフォレットにして貰うか。」
アンダーセンがため息交じりに言うとラックも頷く。
「はい、了解です。」
「問題ないですね。」
フォレットとブルックが答える。
「はい、なら順々に寝なさい。」
武雄が皆に就寝を促すのだった。
------------------------
武雄達が居る所から森に入った場所にて。
「中隊長殿、報告します。
第1小隊長以下第1班が仮眠に入りました。」
兵士が商隊を監視をしている者に報告してくる。
「あ、ご苦労さん。
まぁ今回はこの商隊の陰ながらの警護が仕事だからな、あまり気負いせずに済んでいるのは幸いか。
夕食前に再度、周囲の確認をしたが、問題なかったな?
それと明日の予定は小隊内で確認したな?」
「はい、両方とも問題ありません。
昨日からこの地に居た第5班は連絡の為、予定通りに明日の移動地である子爵邸がある街に向かっています。
またこの先の街道の確認をしている第3班と第4班より問題ないとの報告が来ております。
予定通りに進行しております。」
「そうか。
まぁ関から街までは問題ない事は確認済みだが、明日の移動時も気を付けよう。
それと街に入ったら交代だな?」
「はい、次の街には第2小隊が、次の経由地である村には第3小隊が入る予定です。
我々第1小隊はそのまま次の次の経由地である町に向かいます。」
「そうか、頼むな。
さて・・・小隊長が起きるまで、のんびりと監視をするか。」
監視をする第4軍の中隊長が武雄達が居る所を見るのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




