第2013話 スミスは準備中。(訓練中の子供達。)
寄宿舎のスミスの部屋。
「・・・明日はウィリアム殿下への説明がありますが準備はいかがでしょうか?」
ジーナがスミスとエイミー、ドネリーを前にスミスの準備を確認する。
「明日の夕方ですよね・・・たぶん、出来ています。
ちゃんと資料はまとめました。」
「ん~・・・王都からエルヴィス伯爵領までの輸送方法だよね。」
スミスとエイミーが考えながら唸る。
「はい、ウィリアム殿下方は基本的にはスミス様の考えを尊重するとは仰っていました。」
「でも、何か気になるんだろうね。
スミスはどう思う?」
「エルヴィス家の幌馬車をどう使うか・・・ですかね。
エイミー殿下はどう思いますか?」
「そうねぇ・・・スミスの考えだと御者の手配がしっかりと出来るかどうかよね。
変な所に依頼したら金貨だけ持って逃げられちゃうかもしれないし。
おおよその選定が出来ているかじゃないかな?
私の場合は期日までに王都に持ってこれるかね。
あ・・・お爺さまが旅行に行ったから父上も同行するんだっけ・・・
お母様とクリナかぁ・・・ん~・・・
まぁ、うちの文官達ならやってくれるか。」
「エイミー殿下の方も大変そうですね。」
「スミスよりかは楽よ。」
「ですかね・・・ん~・・・」
スミスとエイミーが悩む。
ジーナは「あ~・・・違うんですよねぇ」と思っていたりする。
「・・・エイミー殿下・・・ご実家の件ですけども。」
ドネリーが聞いてくる。
「うん?なに?」
「いえ・・・ニール殿下がご不在なのですよね?」
「そうよ。
お爺さまと一緒に旅行に行ったわ。
貴女も知っているじゃない。」
「はい、そうですね。
・・・で、いないという事はリネット殿下が指揮をされるのですよね?」
「まぁ・・・そうね。
皇子妃だからね。」
「リネット殿下、腕は立ちますけど・・・この量の手配出来ますか?
私、出来ないとしか思えないんですけど。」
「まぁ・・・文官達も居るし・・・大丈夫よきっと。」
「手紙にちゃんと細かい手順を書いた方が良いんじゃないですか?」
「えー・・・それやったらリネット拗ねないかしら。」
「いや、間違いが起きるよりかは・・・あぁ、皇子妃になって初の大仕事となると自分で取り仕切りたくなりますかね。」
エイミーとドネリーが話し合っている横でジーナは「ニール殿下の事ですから、もう手配済みだと思いますよ」と思っている。
「ねぇ、ジーナ、明日の説明用の流れを書いてみたんだけど、確認してくれるかな?」
スミスがジーナに紙を見せながら言う。
「はい、畏まりました。」
ジーナがスミスの明日の発表内容を確認するのだった。
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魔王国の関から少し離れた広場。
「・・・」
食後の班長ミーティングを終えたケイが難しい顔をさせながらテントで待つパメラ達の元に帰って来た。
「ケイちゃん、おかえり。
ミーティング、どうだった?」
「予想的中・・・」
「「「・・・」」」
3人が難しい顔をさせる。
「明日の朝から商隊とは別行動になったよ。
第5、第10、第16と第17小隊が参加。
・・・はぁ・・・私達は試験小隊だから最後尾だって。
あ、ちなみに前はジーニー達ね。」
「・・・ん~・・・戦闘では大混乱?」
パメラが言う。
「わからない・・・可能性は大。」
ケイが言う。
「それで・・・ケイさん、相手の規模はどうなっていましたか?」
アニータが聞いてくる。
「オーク3体が森の中で2か所。」
「「「2か所?」」」
「うん、今回は大事を取って、1か所ずつ潰すという事らしい。
1か所目、第16小隊が攻撃、第5、第10、第17小隊が補助に回るわ。
2か所目、第17小隊が攻撃、第5、第10、第16小隊が補助になるわ。
指揮は攻撃小隊の小隊長がする事が決まったわ。」
「補助ってなにするんですか?」
ミルコがケイに聞いてくる。
「説明を受けたんだけど、担当班の人員が怪我をして後退をする時の手伝いとかよ。
戦闘には加わらなくて良いって。
要は休息しろって事だね。」
「そうなんですね。」
「オークの所までは皆で移動。
攻撃する小隊内で索敵、監視の役割を決めて、攻撃方法を検討、実施するって。
1か所の殲滅に伴う日数は3日。
1週間のうちに2か所の攻撃をする事になったわ。」
「・・・・新人のみの小隊のみで行うという事ですか?」
「うん・・・そう。
第5、第10小隊は皆の動きを見ながら怪我人が出たら回収し、回復。
半数以上が怪我をしたら戦闘続行不可能と判断し、戦闘に参加。
率先して倒しに行くそう。」
ケイが言う。
「ん~・・・んんん~・・・
ケイちゃん、それってどういう事?」
「1体に付き10名で事に当たれる。
通常オークは兵士であれば1体辺り2~3名程度で時間をかければ始末は出来るのよ。
それが新人だからと10名にして対応する事になる。
それに部隊内の人員の半数がやられるというのは部隊としての行動が出来なくなる事を指すからね。
ここは何としても半数の怪我人が出ないようにしないといけないね。」
「「「うん。」」」
3人が頷く。
「でも、ケイちゃん、人数が多ければ良いという事でもないと思うんだけど。
そこはあれかな?訓練だからかな?」
「まぁ・・・少なくとも前のキタミザト様の子供達の時みたいに皆で少しずつ体力を削る方法は有効になるよ。
気を逸らせている内に他の人が攻撃が出来るんだからね。
そして数が多ければ傷を多く付けられる可能性があるという事だし・・・そのぐらいするのが兵士なんだろうね。」
「・・・ん~・・・」
パメラが唸るのだった。
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