第2010話 225日目 魔王国側の関に到着。(まずはお金のやりとりをしよう。)
夕方、武雄は魔王国 ファロン子爵領の関の広場に到着していた。
「キタミザト様、ご苦労様です。」
「シモーナさん、出迎えありがとうございます。」
武雄が幌馬車の荷台から降りてシモーナに挨拶をする。
「後続の幌馬車はうちの者達が誘導して停めさせますのでご安心ください。」
「よろしくお願いします。
えーっと・・・入国の受付と納品書と請求書の処理をお願いします。」
「はい、関の詰め所に席を用意しています。」
「わかりました。
・・・アンダーセンさん、シモーナさんと受付してきますから皆は休憩で。
他の幌馬車はシモーナさん達が誘導しますから問題なさそうです。」
「了解です。
念のために1人を同行させましょう。
オールストン!所長に同行を!」
アンダーセンがすぐに手配をする。
「では、キタミザト様、詰め所にお願いします。」
「ええ、行きますよ。」
武雄達は詰め所に向かうのだった。
詰め所にて。
「はい、キタミザト子爵殿、越境許可書は確認いたしました。
また、同行されている方々も確認をしましたので・・・問題はございません。
入国を許可します、我が国にようこそ。」
「ありがとうございます。」
武雄はまず、入国の受付をしていた。
「キタミザト様、終わりましたか?」
「ええ、入国は問題ないようです。」
武雄が書類をリュックにしまいながらシモーナに言う。
「そうですか。
なら、奥で商談と言うか今回の商売の事を話しましょう。」
シモーナと一緒に関の奥にあるちょっとした応接室に向かうのだった。
・・
・
「キタミザト様、この度はお越しいただきありがとうございます。」
シモーナが頭を下げる。
「・・・うちには人員が居なくてね、私ぐらいしか来れる者がいないんですよ。
もう少しすれば子供達にお願いするんですけどね。
まぁ、魔王国の王都に遊びに・・・視察に行きたいというのもありましたしね。」
武雄が笑いながら言う。
「そうでしたか。」
「私の下に家令もいますけど、彼には家と研究所の管理をして貰っていますからなかなか外には出せないのですよ。
あ、そうだ、うちの家令からの依頼です。」
武雄がヴィクターから預かった手紙を取り出す。
「・・・失礼します。」
シモーナが手紙を確認する。
「あ・・・わかりました。
今日はありませんが、キタミザト様が帰路に就かれ、私共の街に来られた際に用意します。」
「はい、彼も欲しがっていましたので。」
「それほど欲しがっておりましたか・・・箱にでも入れさせていただきます。」
「お願いします。
えーっと・・・商売の話ですね。
こちらが今回依頼のあった小麦と干物の納品書と請求書です。」
武雄がシモーナの前に書類を置く。
「はい・・・えーっと・・・」
シモーナも書類を取り出し、数量の確認をする。
「はい、書類上問題ありませんね。
・・・もうそろそろ来ると思うのですけど。」
シモーナがそう言うと応接室の扉がノックされる。
「はい、どうぞ。」
シモーナが言うと扉が開き、男性が入ってくる。
「奥様、荷台の小麦と干物の個数の確認をしました。
書類と変わりありません。
また、こちらで用意した幌馬車との受け渡しも問題なく実施しております。」
「うん、わかったさね。
ご苦労さん。」
「はい、失礼しました。」
男性が応接室を退出していく。
「・・・さね?」
武雄がシモーナに聞く。
「失礼しました。
口癖のようなものです。」
「そちらでも構いませんよ?」
「そうはいきません。
・・・積み荷の確認は問題ないようですのでお支払いをします。」
シモーナがそう言って、準備していたであろう革袋を取り出し、武雄の前に置く。
「では、失礼して・・・」
武雄が革袋から金貨を取り出し枚数を確認するのだった。
・・
・
「はい、丁度頂きました。」
武雄がそう言って金貨を革袋に入れ、リュックに入れる。
「はぁ・・・ここからは私達が王都に向けてですね。
改めてかなりの幌馬車の数ですよね。」
「ええ、頑張ってくださいね。」
「今後の為に頑張ります。
・・・私達は今日は関に泊まりますが、輸送していた者達はどうされますか?」
「あ~・・・予定ではアズパール王国側の関に戻るはずです。
すぐに暗くなるでしょうから早めに出立したいでしょうかね。」
「なら見送りをされるのですね。
では、戻りましょうか。」
シモーナと武雄が応接室を後にするのだった。
試験小隊の面々は。
「暇ね~・・・」
「こういう旅も良いですね~・・・」
ラングフォードとフォレットが武雄達用の幌馬車の荷台に腰かけ、足をぶらぶらさせながら暇を持て余していた。
「帰りの道中も気を付けるのよ?
何が起きても不思議はないし、戦闘になるかもしれないんだから。」
「「「「はい、ブルックさん。」」」」
「戦闘になっても慌てずに周りの確認を丁寧にな。」
「「「「はい、アーキンさん。」」」」
ブルックとアーキンの言葉にアニータとミルコ、ケイとパメラが返事をする。
「ふむ・・・子供の成長は早いと言うが・・・凛々しくなったなぁ。」
「相当扱かれたのかな?」
「何にしても元気そうでなによりだ。」
試験小隊の面々は久々に子供達に会って、無事を確認するのだった。
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