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2022/3628

第2007話 第3皇子一家に報告に行こう。1(旅は大変なのですよ。)

王城の玄関にて。

「出立!」

号令とともにアズパール王と王都守備隊総長を乗せた馬車とその護衛の王都守備隊が出立して行く。

「・・・」

ジーナは頭を下げ、見送りとしていたが、門を出た辺りで頭を上げ、王城内に戻って行く。

「ジーナ殿、この後は?」

「オルコット宰相様、王立学院は午後から出ますが、まだ早いのでウィリアム殿下方の所に行こうかと思います。」

「そうですか。

 陛下もおっしゃっていましたが、適度な休日を設ける事は必要ですからね。」

「はい、適度な休暇を取れるようスミス様と打ち合わせをいたします。」

「はい、では、何かあったら総監局を頼ってくださいね。」

オルコットがジーナと別れて廊下を歩いていくのだった。

・・

ジーナが扉をノックすると中から返事があったので、扉を開けて入室する。

ここは第3皇子一家の執務室。

ウィリアム以下、いつもの面々が居た。

「失礼します。

 陛下が出立されました。」

「お疲れ様、ジーナ。」

「うん、ジーナちゃんもお疲れ様~。」

ソファに座るアルマとレイラが労う。

「ジーナ殿、お茶は麦茶で良いですか?」

エリカが聞いてくる。

「はい、いえ、エリカ様、私は自分で淹れますのでご着席のままでお願いします。」

「すみませんね。」

「こちらが訪ねておりますので・・・」

ジーナが自分用にお茶を淹れる。

「それでですね。

 朝のほうこ」

「話の前に、ちょっと待ってね。

 ジーナちゃん、こっちに来て座りなさい。

 私の前が空いているでしょう?」

レイラがジーナが立ったまま報告しようとしていたので止める。

「いえ、私は使用人でして。」

「私が許可するから座りなさい。

 ほらほら。」

「・・・はぁ・・・他のメイド方から何か言われないのですか?」

「ないわよ。

 第3皇子一家の執務室(ここ)に入るメイドは限られるし、入ってくるメイドは皆基本的にさっさと退出していってくれるからね。

 それに座るのは議論や打ち合わせをする者達だからね。

 ジーナちゃんは打ち合わせに来ているのだから座って良いのよ。

 ほれほれ。」

「・・・失礼します・・・」

レイラに諭されてジーナがちょこんとソファに座る。

「ふむ・・・ジーナ、父上は無事に出立したのだね?」

執務机の所で書類を見ていたウィリアムが手を止めてジーナに聞いてくる。

「はい、ウィリアム殿下。

 殿下方の予想通り、玄関の階段にいらっしゃいましたので出立までお話をしておりました。」

「へぇ、本当に居たんだね。」

アルマがジーナの報告に感心したように頷く。

「やっぱりかぁ~。」

「まぁ前回もそうだったし。」

ウィリアムとレイラが苦笑している。

「はぁ・・・陛下が旅の際には随分と早くから階段で待っていると聞いた時はまさかと思いましたが、本当だったのですね。」

エリカが呆れたように言う。

「お義父さま、旅なんて即位されてからあまり出来ていないもんね。

 慣例の戦争に数回行ったかな?」

「レイラの時がそうだね。」

「巡り合わせって大事だよね~。

 あとは地方領と言っても王都の壁に行ってたか・・・最近だとエルヴィス伯爵家(実家)だけど。

 あれって旅としては最長距離かも。」

「あれは大変だったね。

 まぁ、かく言う僕達も旅とは無縁だけどね~。」

「私達も王都から出ないし、王都の壁に挨拶に行くような事もしないしね。」

アルマが言う。

「アルマ殿下はテンプル伯爵家(実家)には帰られないのですか?」

ジーナが言う。

「一時帰省する理由がないからね~。

 それに王家(私達)が旅をすると結構人員をかける事になるから準備と調整で結構大変なんだよね。

 この間のエルヴィス伯爵家への旅は異例中の異例かな?

 報告書は見たけど、最初はウィリアムとレイラだけだったのでしょう?

 それだと第1騎士団から数小隊が付いてくれる程度だったかもね。

 まぁどちらにしても時間とお金がかかるのは確かかな。

 そうすると陛下の万が一の際の予備である第3皇子一家(私達)としてはあまり出来ないのよ。」

アルマが言ってくる。

「旅は出来なくても不自由なく過ごせるから問題はないんだけどね。

 はぁ・・・どちらかと言えば身籠ってからの方が不自由なんだよね。」

レイラがため息交じりに言う。

「それは・・・身籠って何かあれば大変ですし。

 今回も陛下のお見送りで馬にでも蹴られたら大事ですし。」

「前のアリスとジェシーお姉様の出立時は出来たのにね。」

レイラがつまらなそうに言う。

「皆が気を使っているのですよ。

 最近はお腹も少し大きくなりましたか?」

「あれ?ジーナちゃん、わかる?

 つわりも終わってね、美味しく食事が出来るのよ。」

「はい、ちょっとだけですが・・・お腹がポコッとされているように見受けられます。

 最近は服装も少し緩やかな物が多いですよね。」

「ジーナちゃん、良く見ているわね。

 その通りよ。

 最初気が付いた時は太ったかと思っちゃったわ。

 アルマお姉様を見て、妊娠の影響かと認識したわ。」

「私もレイラを見て同じ事思ったわ。」

「お二人ともこれからが本番でしょう。

 まぁ予定日はまだ先ですからね、これからどんどんお腹が大きくなっていきますよ。」

エリカが言う。

「これでお腹が大きくなっていくのはわかっているけど・・・不思議だなぁ。」

「だねぇ。」

アルマとレイラが笑いながら言う。

「おーい、2人共話が逸れているよ。

 ジーナ、改めてエルヴィス家からの幌馬車の件での報告をお願い出来るかな?」

ウィリアムがジーナに本題に入るように伝えるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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