表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2017/3632

第2002話 さ、早く帰ってのんびりするかな。(シモーナ情報取りに行く。)

ドナート達が帰った研究所の3階 所長室。


「ふむ・・・街道沿いのオークの小集団には手出し無用と。」

「はい、兵士長達が帰路時に新人小隊に演習をさせるとの事です。

 ケード達も参加するようです。」

マイヤーが先程のエルヴィス家の兵士長達との打ち合わせ内容を武雄に報告していた。

「まぁ新人小隊に出向だからね。

 向こうに在籍しているのならするでしょう。

 オークかぁ・・・」

「オークですね。」

「ベテラン小隊が付くし、危険度は少ないけど・・・初雪、最新の情報は時雨から来ていますか?」

「昨日も情報の共有はしましたが、オーク達の位置は変化なしです。

 村や関に向かってはいないです。」

ソファに座っている初雪が言ってくる。

「3体・・・新人小隊って30人でしたよね。

 足らなくないですか?」

「そう思う所長は強者ですよ。

 3体でも新人達には荷が重いでしょう。」

「私は初陣がオーガが30体でゴブリンが・・・」

「あれは特別です。

 というよりもあの時、突出しましたよね?

 異例中の異例でしょう。」

「まぁあの時はアリスも居たし、騎士団や魔法師部隊も居ましたか。」

「はぁ・・・それ以前に倒しすぎでしたけどね。

 まぁ今回は初陣の者を抱えての森林での戦闘です。

 苦戦はするでしょうし、戦闘以外の怪我もあるかもしれません。

 オーク3体だけでも十分に脅威です。」

試験小隊(うち)の子供達は大丈夫かな?」

「まぁ・・・基本的なケアは出来ていますし、大きな怪我はしないでしょう。」

「ふむ・・・集団で戦闘をするという経験を積んでくれたらいいのですけどね。」

「はい。

 では、試験小隊としてあくまで商隊について魔王国側の関まで行く事を目標にして行きましょう。

 アンダーセンには伝えてあります。」

「そうですか・・・気晴らし兼小遣い稼ぎはなしですか。」

「それが普通なんですけどね。

 それと先程皆が持って来た制服は入れましたか?」

「ええ、リュックに入れてあります。

 それとシモーナさん宛のウスターソースと中濃ソースはリュックに入る樽に入れ替えて貰いましたので、そちらも入れました。」

「注文書来ていましたか?」

「先行手配ですよ。

 シモーナさんは買ってくれますよ。」

「まぁ、買ってくれるでしょうね。

 向こうが熱望したのですし。」

マイヤーが頷く。

「後は屋敷に戻ってビエラの荷物を入れれば預かる物は終了ですね。」

「所長の制服は入れましたか?」

「帰ったら入れますよ。

 洗濯した物を用意してくれると言ってくれています。」

「向こうの王城に入る際に必要になるかもしれませんからね。」

「ええ。

 初雪は日中は研究所で地図の製作をお願いしますね。

 帰りは鈴音かトレーシーさん、マイヤーさん、ヴィクター、アスセナさんの誰かに送って貰うように。」

「はい、わかりました。」

初雪が頷く。

「さて・・・帰るかな。

 マイヤーさんは今回留守番です。

 のんびりとしていてください。」

「まぁ急ぎの用はないでしょうからね。

 トレーシーとスズネ殿に付き合って勉学をしておきます。」

「ええ、何かあれば適当に対応しておけば良いでしょう。

 面倒なら、所長が戻ってからしか聞けないと突っぱねれば良いですし。」

「はは、わかりました。

 面倒そうな話が舞い込んだら先延ばしにしておきます。」

マイヤーが苦笑しながら答えるのだった。


------------------------

魔王国 ファロン子爵邸 当主執務室

「わかっているのさね!?ブルーノ!」

当主の執務机をバンっと叩いてシモーナが怒鳴っていた。

「叔母さん・・・わかっていますよ。

 王城の依頼でアズパール王国から小麦の輸入をするんでしょう?

 で、人間がこの地に入ってくる。」

「相手は陛下の侍女と仲の良い子爵様さね!

 ブルーノが手を出さないか心配さね!」

「叔母さんの商隊に私が手を出すわけないでしょう?

 それに王城に入れる輸送隊を襲うなんてするわけないじゃないですか。

 それと一応招待という形なんでしょうけど、この地に人間が入るのは気に入りませんから。

 1日でも早く通らせてください。

 目に見えたら手を出すかもしれません。」

「わかったさね・・・来ている時はブルーノは外に出るんじゃないよ!

 折角の商機が無くなってしまうさね。

 まったく・・・次期陛下が決まっていない事も不安だけど・・・今は順調でも次は取引して貰えるかわからないんだよ?

 そこに陛下ではなく王軍からの依頼・・・覚えて貰うのに絶好の機会さね!

 ブルーノ!邪魔するんじゃないよ!」

「しませんって。

 叔母さんの邪魔をしたら叔母さんに八つ裂きにされそうですからね。」

「安心しな、墓石くらいは作ってあげるさね。」

シモーナが真顔で答える。

「八つ裂きは確定ですか・・・平気です、手を出しませんって。

 それと叔母さん、いくらなんでも商売の為に今夏の慣例の戦争については話してないでしょうね?」

「ああ!?それを私に言うかね?

 むしろブルーノが下手打ってバレてんじゃないかと思っているさね。」

シモーナがそう言いながら「変な勘は働くんだから」と心の中で愚痴っている。

「私は領主ですよ!?」

「実績のない当主は信用がないさね。

 情報なんてどこから漏れるもんか判らないもんさね!それでも重要な情報は漏れないようにする。

 それが領主の役割さね!

 まったく・・・ヴィクター兄さんが居れば問題なく用意はしただろうに・・・

 まぁいないんだから仕方ないけど。

 ブルーノ!ちゃんとパーニ伯爵の言う通りの戦力は用意出来ているんさね?

 戦力もまともに用意も出来ないと馬鹿にされるんじゃないよ!?」

「わかっていますって・・・それと一応、叔母さん達、事務組にも連絡は入れていますが、オーガを40体ほど連れて行きますし、騎士組がおりませんからね。

 街の警戒はある程度お願いしますよ。」

「慣例の戦争にオーガを投入するんさね?

 街の防衛は大丈夫だろうね?」

「良い頃合いを見てパーニ伯爵が連れてくるオーガと一緒にアズパール王国側に突っ込ませるだけですよ。

 陛下から向こうの戦力を少しは削るようにと言われていますからね。

 こちらの騎士組を消費させる事を良しとされませんでしたからオーガを投入して様子見です。」

「・・・それで相手の兵を少なく出来るんさね?」

「出来ますよ。

 オーガ80体ですよ?

 少なくとも200名、良くて500名は削れますよ。

 向こうは5000名です、最大で500名を削れたら成果として十分でしょう?」

「ふーん・・・ま、私の邪魔をするでないさね。」

「邪魔はしませんよ。

 叔母さんはいつも通り商売していてください。」

「はぁ・・・ま、精々死なないように頑張るんさね。

 私は受け入れの準備があるから帰る。

 邪魔したね。」

シモーナが執務室を出て行くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] リックドムのようにそのオーガ隊は…。
[一言] >「3体・・・新人小隊って30人でしたよね。 > 足らなくないですか?」 >「私は初陣がオーガが30体でゴブリンが・・・」 (そーだよ、この人のほほんと当たり前に、こんなこと言うしやってる…
[気になる点] ヴィクター追い出した弟ってこんなんなのか…もっと脳味噌筋肉で戦争の事しか考えてない中国の豚君主みたいなの想像してた。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ