第1993話 仲間内で共有しましょう。3(ウスターソースと農地。)
「ベッドフォードさんはどうですか?」
「嬉しい事に毎日完売だ。
ただ、キタミザト家から魔王国への4樽のウスターソースは余計だったな。
ま、文官に相談したらこの街に近い各町の村々から畑の余剰分で原材料を生産してくれるように指示をしてくれる見込みになっている。
上手く行けば・・・あと16樽程度は増産出来る見込みだ。」
「一気に上がりましたね。
少しは余りますかね?」
「そうでもない。
増産分は4町向けだ。」
「あ~・・・領内向けでしたか。
ならば、この街に出回る量は変わらないという事ですね。」
「あぁ、あとは夏場の原材料の収穫量や西町の出来次第で変わるだろうな。」
「そこは上手く行って欲しいですね。
他にありますか?」
「ないな。
順調であるし、キタミザト様の要請には答えているから問題もないだろう。」
「ええ、その節はありがとうございました。
では次は・・・モニカさん、どうですか?」
「・・・文房具も玩具も王都及びエルヴィス家より注文を頂いております。
耐火板の方はまだまだ低調ですが使ってみようと言ってくれている建て方の親方が増えているので今後は多少は注文が増えると見込んでいます。
私もキタミザト様関連では問題はありません。」
「私では?・・・本業で何かありましたか?」
「回りまわってという所ですが・・・
木材取引で少ーしばかり大量に注文されるのでそちらが忙しい事と家具と建具の注文がそれなりに来ています。」
「家具とドアや窓?・・・新規で引っ越してくる方でもいるんですかね?」
「いえ、そうでなくて。
表通りと裏通りにて宿屋の建設計画が着工するみたいですよ。」
「宿?へぇ~・・・・バーナードさんとカーティスさんですかね?」
「ええ、まぁ・・・真っ当にするみたいですね。
で、キタミザト様、黄銅はいつ頂けるのでしょうか?」
「現在、王都から輸送中です。
キタミザト家に到着予定ですので、届いたらモニカさんの所に声をかけさせます。」
「はい、お願いします。」
「で、黄銅を家具に取り付けるのですか?」
「はい、前回試作品をお作りしましたけど、その後も皆で話し合っていたんです。
ドアノブだけではもったいないと。
家具にも黄銅を取り付けようと考えています。
なので、早く販売してください!」
「届いてから価格を決定して販売しますよ。
2つの宿に納めるのですか?」
「ええ、要望が『高級感のある家具』ですので、少し見た目が華美に見えるようにとの事なんです。
金や銀を使っても良いのですが、値が張ってしまいますので・・・」
「高級宿を作るのでしょうかね?」
「いえ・・・あくまで高級感がある、です。
高級な家具を要望されていません。
宿の概要を見ると中級の宿になるようです。
一応、両方とも近隣の同業には気を使っているみたいで商隊を取り込む宿ではあるのでしょうが、少しお金を出せないと泊まれない金額設定にするようです。」
「出先で少し優雅に過ごしたいと思う商隊の方々用ですか。
需要はありそうですね。
とはいえ、昔から同様の宿はあったのではないですか?」
「ありましたが、その既存の中級の宿はどちらかが運営しているのです。
そもそもあの2家は中級と安宿を運営していますよ。」
「そうなのですね。
それってどこもそうなんですか?
例えばゴドウィン伯爵領内とか。」
「え?・・・さぁ・・・詳しくは知りませんが。
すみません、やっぱりわかりません。
それに2家も宿全部が全部という訳ではありません。
数軒しているというだけです。」
「そうなのですね。
今度気を付けて泊まる事にしましょうかね。
なら、ハワース商会は当面は本業が忙しいのですね。」
「ええ、残念ながら・・・」
モニカが残念そうな顔をさせる。
腹の中でどんな顔をしているのかは誰にもわからないのだった。
「ベルテさん達は大丈夫ですか?」
「はい、キタミザト様。
米の作付けは完了しました。
野菜の高性能肥料を使っての生産量の違いですが、現在実施中です。
現時点でも既に成長の差は見受けられます。
これであとは実を付けての差がどうなるのかの確認をして一度、報告書をまとめさせて頂きます。
あと、敷地内に土蔵を作るようご指示したようですが、こちらの着工がもうすぐです。
敷地内はバタバタしていますが、農作物の方は問題なく観察と管理をしていきます。」
「はい、お願いしますね。
それと土蔵の建て方ですが、一応、問題はないとは思いますが、何か問題が発生したらすぐにヴィクターに連絡を。
小さな事でも構いませんからね。」
「はい、わかりました。
魔王国に行かれるのでしたらネギの種をお願いします。
ブリアーニ王国のネギの種があれば良いのですけど。」
「??・・・この地のネギでは何か問題があるのですか?」
武雄が尋ねる。
「いえ、美味しく頂いているのですが・・・
ブリアーニ王国のネギはもっと細いのです。
出来たら私達の分とかはそちらが欲しいと・・・すみません、私的な話をしてしまいした。」
「いえいえ、構いませんよ。
生まれ育った所の食文化は大事です。
新しい物も良いですが、生まれ育った所の食事もたまにはとって精神を安定させないといけないですよ。
そうですか、細いネギですか・・・探してみますね。」
武雄が頷くのだった。
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