第1985話 午後の打ち合わせ開始。(植林事業と紙事業との連携。)
昼食を終えた武雄達は再び2手に分かれての行動をしていた。
まずは第二研究所の3階 会議室。
「専売局長、こちらをどうぞ。」
武雄がデナムの前に書類を置く。
「はい、失礼します。
・・・再生紙事業の提案書と植林事業の企画書・・・こっちは新素材製造方法ですか。」
ハガードとラングフォードはその光景を黙って見ている。
「製造方法については持ち帰りますか?」
「ん~・・・私宛で王都に送っておいてください。」
デナムが軽く中身を見ながら言う。
「わかりました、そのように手配しますね。」
武雄がデナムから書類を受け取る。
「・・・で、簡単な方から聞きます。
植林事業とは・・・何を指しているのですか?」
デナムが聞いてくる。
「紙資源の永続的な確保を狙ってですね。
まぁ王都でもしているとは思いますが・・・紙が木から出来ているのは良いとして。」
「あ~・・・ラングフォード殿、紙の原材料はご内密に。」
デナムがラングフォードに顔を向けて言う。
「さて・・・要所要所で聞き取れない単語があるのですが・・・私には関係ない内容のようですからね。
局長とキタミザト殿が問題なければ続けてください。
私の事はお気になさらずに聞き流しておきます。」
「ありがとうございます。
で、キタミザト殿、製紙と関係が?」
「木材は無尽蔵にあると思っていても有限であることには変わり有りません。
木材加工を考えれば10・・・20年くらいの木を使うとして、毎年どのくらいの木を切り倒しているのでしょうか。
そこで、21区画を整備し、育成と木材の伐採、切り株を排し、新たに植林する地域を作る事を提案します。
21区画あれば毎年区画を変えて伐採をすれば定数の取り込みが出来、1年は伐採後に肥料や土地を休ませ次の年に植林をし20年後に伐採する。
循環型の植林と伐採事業を持っていないといけないと考えました。」
「ふむ・・・専売局も伐採後に近くに切り株を排して植林をしてはいますが、それを区画でするという事ですね?」
「はい、要は半永久的に伐採が出来るように循環させる事業となります。」
「メリットは何でしょうか。」
「最大の理由は原材料を枯渇させない為です。
21区画を作っておけば順繰り植林と伐採をして行けば良いだけです。
収入と予算が毎年変わらないのです、やって得はあっても損はありません。」
「ふむ・・・」
「また、私はどんな物でもいつかは国外から輸入が出来るようになると踏んでいます。
紙だろうがパイプの葉、茶葉でもです。
その時の競争相手は・・・ウィリプ連合国か魔王国が最有力でしょう。
特にウィリプ連合国は奴隷制度を有する国家です。
あの国の生産品の価格は残念ながら我が国より安く出来ます。
紙を輸入しても販売単価が安く出来る可能性すらあるのです。
紙原料の循環型事業をしておけば、最低限の林業保護が出来ます。
一度手を入れた林はずっと手を入れないと荒れますからね。
やり続けなければいけない事業となるでしょう。
やり続ける事で林業の技術が次代にも伝わり技術の継承をして行ける。
そして、政治的に何かあり、紙の輸入を止められても林業を保護しておけば、すぐに増産に移れる可能性もあります。
これが林業を廃らせ技術の継承が出来ていなかった場合、林業復活は時間がかかります。」
「ふむ・・・キタミザト殿の危惧はわかりました。
循環型の植林と伐採計画も現状の物を規模を拡大させ事業化をするというのはわかりました。
が、些か紙を輸入するという所が飛躍し過ぎだと思います。
まぁ確かに生産量的には国内を賄っているとはいえ余剰分がそこまでないのは認めはしますが、足らないという状況ではないと認識しています。
今後の人口増加を懸念しているのかもしれませんが、その時は製紙工場を増やして対応をしていく所存です。」
デナムが言う。
「はい、そこです。」
「??・・・どこですか?」
武雄がデナムに手を向ける。
「足らないという報告がない・・・ではないんですよ。」
「と、言いますと?」
「余剰分があまりにも少ないから紙を使った産業が出てこないんです。
私は今の紙の生産量は圧倒的に足りないと思っています。
そして供給量が少ないから書類作成等の公文書にしか使われていません。
まぁ一部、本のような嗜好品には使われていますが、あれは例外でしょう。」
「キタミザト殿、紙にどのような可能性が?
文章を書くや書き留めておく以外に何か活用方法があるのでしょうか?」
「はい、そこです。」
「ですから、わからないんですって。」
「紙の凄さがわかっていないですね。
良いですか?
現在・・・例えば、庁舎からの帰宅途中にリンゴが食べたくなったとします。
青果屋によってリンゴを3個買おうとします。
どこにしまいますか?」
「それはバックに。」
「通勤用のバックには、次の日出張だった場合、資料とか入れていませんか?
そんな資料の横にリンゴを入れて汁が付いたらどうするんです。
でもリンゴが食べたいんです!3個食べたいんです!」
武雄がデナムに言う
「・・・あのぉ、キタミザト殿。
キタミザト殿は紙で袋を作ろうというのですか?」
ラングフォードが手を挙げながら言うのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
皆様長い間、読んで頂きありがとうございます。
振り返れば・・・わー、話しが進んでないですねー。
もう少し要領良く書いてみたいですが、私には無理そうです。
本文を書きながら違う書きたい事を思いついてしまい、本文と繋げれる文章が湧き出てこないのがもどかしいです。
そうなると別の日用に書き始め、するとまた違う事を思いつき・・・以下略。
これからも少しずつ書いていきますのでよろしくお願いします。
あと最近、ご感想やご指摘に返答をしておらず申し訳ありません。
ですが、しっかりと読ませて頂いて、即修正が必要な箇所は仕事から帰宅後しれっと直し、文章を修正するまでの事ではない場合や行動に対してのご質疑、ご意見は出来るだけ近い回で見解に近い事を書かせて頂いています。
限度はありますので出来る物だけ組み込んでいますけどね。
また、技術的に参考になる意見もありがとうございました。
もう蜘蛛の糸は数年前のご意見でしたね・・・やっと登場させられた。
今後とも技術的なご意見もお待ちしております。
皆さんも体調管理に注意しつつ今後とも本作品を楽しんで頂ければと思います。




