第1983話 ビエラとミア新衣装。(武雄は変態なのか。)
エルヴィス家の客間。
「アリス!どう?」
ビエラが自分用の作業服と戦闘ベストを着てお披露目をしていた。
「うんうん、ビエラちゃん、似合ってるわよ。
間に合ったわね。」
「はい!
アリス!ナイフ!新ちい!」
ビエラがベストの左肩のすぐ下に下向きで付いているナイフを指さす。
「え?買ったの?」
「買った!ん~・・・テイラーから!」
「あー、ならちゃんとしたのを選んでくれたんでしょうね。
振ってみましたか?」
「はい!」
ビエラが頷く。
「ミア、あ~?」
「ビエラ、待ってください。
・・・着辛いですね。」
「ミア、ボタン止めるわよ~。」
作業服姿のチビコノハがミアの作業服のボタンを止める。
「ふぅ~・・・着れた。
飛べますね、問題無さそうです。」
ミアが軽く飛んで動きを確認する。
「流石に戦闘ベストのミニチュア化は無理だったかぁ。
まぁ、ポケットが胸元だけでもありがたいけど。」
チビコノハが言う。
「小さい時に胸ポケットに何を入れるの?」
「「非常食!」」
「あー!」
3人がアリスに言ってくる。
「・・・うん、まぁ大丈夫かな?
ちなみにビエラちゃん、ナイフを買うお金はどうしたの?」
「ん~?タケオ、くれた、朝!」
「そう・・・なら問題はないか。
持って行く物はタケオ様に預けているのでしたよね?」
「「はい!」」
ビエラとミアが返事をする。
「食料は・・・タケオ様の事だからうちがある程度用意すればいいとして、あと干物は買っているだろうし、食料は問題なさそうですね。
万が一のコートは・・・ポンチョなのかなぁ?
制服は移動時は着ないと言っていましたが・・・コノハ、その作業服の雨具はなんですか?」
「知らないよー。
制服の方はトレンチコートというのはわかるけど、作業服の際の雨具は聞いてないなぁ。
ちょっとパナちゃんに連絡入れておくね。」
「ええ、明日出立ですから今更かもしれませんが聞かないよりかは聞いた方が良いでしょうから。」
「うん・・・えーっと・・・返答だけどね。」
「早いですね。」
「タケオ曰く『不本意ながらポンチョが出来ていますので試験小隊と私とビエラの分は持って行きます』だって。」
「不本意ながら・・・・あー、タケオ様、ポンチョが嫌でトレンチコート作っていましたか。
タケオ様からすれば苦渋の選択なんでしょうね。」
「そうなの?
ポンチョ結構使えると思うんだけどなぁ。
まぁその辺は本人の感覚だから嫌なら嫌なんだろうね。
・・・え?・・・ん~・・・それは良いけどさ。」
チビコノハが首を傾げて難しい顔をさせる。
「うん?どうしたの?」
「パナちゃんが防水性と防刃性が高いポンチョの試作とか言っていてね。
ラルフの所がタケオの所に持ち込んだみたいね。
SL-05液を塗布したんだって、戦闘ベストより薄めに塗布したみたいなんだけど、ほぼ同じ仕様になったみたいだね。」
「SL-05液って・・・固まると鉄のような強度が出る液体ですよね。」
「そうね。
その防刃性と耐久性を見込んでタケオは戦闘ベストに塗布して体の中央の防御力を上げてるのよ。
そして今回はポンチョに塗布した物をかぁ・・・重そうね。」
「確か鉄の1/3程度でしたか?」
「塗布だけだから数十kgとはいかないけど、軽く2~3kgはありそうね。」
「ん~・・・少し重いぐらいですかね?」
「そうね。
とりあえず、今回はそれを持って行くみたいね。
さてと・・・ビエラ、あと自分の背負うリュックの中身は大丈夫?」
チビコノハがアリスからビエラに顔を向けて言う。
「あ~?・・・らいじょうぶ!
あ、あ、パン、米、あ。」
ビエラが指折り数えながらリュックに詰めた物を言っているようだ。
「全部食べ物じゃん!
それに生物とパンを一緒に入れちゃダメだし!
はぁ・・・だめよ、自分で下着とかタオルとかある程度の着替えを持って行かなきゃ。」
チビコノハがツッコむ。
「それ、タケオ。」
ビエラが平然とした態度で言う。
「良いのかなぁ・・・まぁビエラだし・・・いやいやいや、ダメでしょう。
特に今回は王都の人間も居るんだし、タケオが変態だと思わ・・・まぁ変態なんだろうけどさ、わからしめるにはまだ早いんじゃないのかなぁ?」
コノハが断言できずに首を傾げてしまう。
「コノハ、タケオ様が変態なのはしょうがないのですけど。
流石に王都の方達に知らしめてしまうのはまだ早いですよ。」
「だよね~。」
アリスの言葉にチビコノハが頷く。
「コノハ、アリス様、主に酷評ですね。」
ミアが呆れながら言う。
「あ~?」
ビエラがミアに聞いてくる。
「それはアリス様やコノハに聞いた方が良いんじゃないですか?
私は主の事が変態だなんて・・・主が変態だと思った事なんて今はありません、今は。」
「いみゃ?」
「これほどまでに料理だ衣服だミシンだと発案して販売に漕ぎつけています。
これほど多業種で実用性があるものを考えつけるのは並大抵の人間ではないのです。
主は天才で異才で変人なのですよ。」
「あ?」
「それは・・・アリス様、主はなぜ変態なのですか?」
「それはねぇ。」
アリスが武雄の評価の内訳を説明するのだった。
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