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1988/3635

第1973話 ヴァレーリの執務室にて。(米の輸出や増産はさせるのかさせないのか。)

ヴァレーリの執務室。

「・・・ふむ・・・ブリアーニ王国はずいぶんと物や技術を買われたようですね。」

フレッディがヴァレーリの報告を聞いて感想を述べる。

「まぁトレンチコートは行軍には向いているからな。

 自国での生産と販売をしたいのだろう。

 むろん我が国への輸出も念頭にという所だな。

 米についてはブリアーニ王国の主要穀物と輸出穀物になるだろうからな。

 これも普及と生産能力向上をする為。

 指揮官補佐、どうだ?」

「このカタログですが・・・そうですね。

 ブリアーニ王国への発注も良いですが、アズパール王国からも輸入したいですね。

 この下着欲しいです。

 甚平も良いですね。」

第1軍指揮官補佐がカタログをジーっと見ながら言う。

「下着は試供品を貰ってきた。

 あとで肌触りも確認した方が良い。

 我も5着上下で頼もうと思うんだが、一緒に頼むか?」

「陛下、一旦待って頂けますか?

 うちの部隊の者達に回したいです。」

「レバントおば様の所とシモーナさんの所を経由するからなぁ、それだと時間がかかるだろう。

 我と指揮官補佐と近しい者だけで先行で頼んでその間に追加を頼むしかないんじゃないか?」

「・・・そうですね。

 陛下、明日中に執務室内の者達の集計を取ります。

 明後日には発送しましょう。」

「わかった、あとで試供品を取りに来てくれ。」

「はい。

 それと米についてなのですが、先ほどの陛下のご説明ではブリアーニ王国が力を入れるのですよね?」

「そうだな。

 キタミザト殿とエルヴィス殿がやる気だぞ。

 向こうでも作付けは試験しようとはしているが、まだまだ商品としては出せる量ではないというのはわかるな。

 一大耕作地としてはブリアーニ王国の方がノウハウがあるだろう。

 隣国の農地が完成する前に定期的に大量に卸せるんだ、安値で卸す為にも米の耕作地は増やすというのは施政者としては当然だと思うな。

 それにカールラも言っていたが、領地異動したらすぐに畑を作るそうだぞ?

 ブリアーニ王国は穀物輸出の好機と見ているのだろうな。

 それにファロンの所の畑の量は街道沿いを通って来ただけだが見ているからな。

 大まかに増やす位置を確認すらしている可能性はあるな。」

「まぁ2回も見に行っていますしね。

 特に今回は領地異動が内示されてですから・・・で、ブリーニ伯爵領はどうしますか?

 増産の依頼をすれば我が国からの穀物輸出も増加させられるとは思うのですが。」

「そこなぁ・・・

 実際問題、指揮官補佐は食べた事ないだろう?」

「はい、ありません。

 ですので、輸出品目としてしか見ておりませんが。」

「・・・フレッディ。

 どう思う?」

「国内で流行らせるかどうかですか?

 そのブリアーニ王国が購入する玄米精製機を王城でも購入してみてでしょうか。

 まずは王城内のみで出して皆の反応を見た方が良いでしょう。」

「1台だけ購入してもなぁ。

 どこぞのドワーフ達が複製しそうなんだよなぁ。

 かといってブリアーニ王国と同じ3台購入するのも意味ないしなぁ。

 まぁキタミザト殿の事だから複製を見込んで色を付けて来るだろうが、大きくは付けないだろう。

 で、ブリーニ伯爵領で米を作って王城に入れるとして・・・フレッディ、流行るよな?」

「流行るでしょうね。

 ウスターソースとの相性も良いですし。」

「陛下、指揮官殿、そこまで美味しいのですか?」

「ああ。」

「人気になるでしょうね。」

指揮官補佐の問いかけにヴァレーリとフレッディが頷く。

「それほどですか。

 となると王城で仕入れ始められるとブリーニ伯爵は米の調査を開始する可能性が高いですね。」

「そうなるな。

 で、米の価値がわかれば自領でも玄米精製機の導入と生産の拡充、普及を計画するとなると自領での消費量が跳ね上がるわけで、アズパール王国への輸出量が減る可能性がある。」

「・・・ふむ、結果、我が国からの輸出量が減るという事ですね?」

「そうだ。

 カールラ達は輸出量を維持する事でキタミザト殿とエルヴィス殿と懇意となり、向こうで起こっている流行りのレシピを入手に動くだろう。

 だが、ブリーニ伯爵はその辺はたぶん考えないだろうな。

 アズパール王国とは王城を挟んで反対側の領地だしな、距離もあるし、輸出に力を入れるとは考えられないな。

 輸出はあくまで自領内で余っているからと考えるのが普通だ。

 まずは自領内での消費を押し上げる事を考えてからのレシピの入手に動くというのが考えられるな。

 キタミザト殿が我が国との窓口ではあるが、流行っていても輸出量を落とさないブリアーニ王国の方に良い印象を持つはず。

 あとで生産量を上げてくるブリーニ伯爵領産は・・・信用度では低いだろう。」

「・・・輸出量を落とさずに増産しろとブリーニ伯爵に通達してはどうでしょうか?」

「それは国家として米の生産に補助を出すようなものだぞ?

 確かに輸出ではあるが、キタミザト殿も個人として買っている話だ。

 向こうがブリーニ伯爵領産を買わないと言いだしたらブリーニ伯爵に命令をした王城がその分を買わないといけなくなる。

 それは王城としては出来ないと思うがな。」

「それは・・・ん~・・・確かに難しいですね。」

「あぁ、今の輸出量を維持するのなら王城やブリーニ伯爵で米の流行りはさせられないのだが・・・

 フレッディ、食べたいよなぁ。」

「食べたいですねぇ。

 この際、ゆくゆくは米の輸出量が下がっても良いから王城に仕入れますか。」

「キタミザト殿にそれとなくわかるように言っておくか?」

「輸出量が下がると?

 キタミザト殿も言われても何も出来ませんでしょう。

 それにこれは我が国の内政の問題ですからね。

 輸出量が下がるというのは今の所、私達の想像ですし、それに指揮官補佐が言った政策も取れる訳です。

 言う必要性は今はありませんよ。」

「そうか・・・そうだな。

 あくまで商売だからな。

 こっちの需要が高まれば価格も上がるだろう。

 その時キタミザト殿が考えれば良い事ではあるか。」

「はい。

 ただ、レバント殿が割に合わないでしょうね。」

「そうだなぁ、おば様の所はカールラの米の仕入れはなくなる、ブリーニ伯爵領からの米もなくなるではなぁ。

 まぁその分、ウスターソースと中濃ソースで頑張って貰うか。」

「「中濃ソース?」」

「あぁ、キタミザト殿がウスターソースに手を加えた亜種だよ。

 これが美味しいんだ。」

「「へぇ~、お土産は?」」

「買ってきた。

 これで溜飲は下げろよ。」

ヴァレーリが言うのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] タケオさんはともかく、レバントさんが、 「そうなのね・・・ダニエラちゃん、実はウォルト・ウィスキーもね(ry」 とか言い出しそう・・・・・w
[気になる点] 武雄が来るタイミングでブリーニを王城に呼ぶとか何らかの便宜を図るのかなと思ったらまさかのほったらかしのうえ武雄の輸入分の一部を取るのは流石にどうなん?てか、美味しく食べる方法があるらし…
[気になる点] 武雄とブリーニ伯爵領の米の輸入を魔王国が中抜きするのか?絶対武雄やアリスや精霊たちに焼き土下座させられると思うけどな…。 「米食べたら美味しかった」「じゃあウチも仕入れるか」「その分キ…
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