第1971話 今日はクリームコロッケの試作をします。(魔王国のレバントの店に到着。)
エルヴィス伯爵邸の客間。
「ただいま、戻りました。」
武雄が客間に入ってくる。
「おかえり~」
「おかえりなさいませ、タケオ様。
仕立て屋から荷物が届いていますよ。」
コノハとアリスが出迎える。
「・・・ジーナの下着ですか?」
「はい、それと甚平やステテコ等です。
コノハが仕分けしていますよ。」
「そうでしたか。
コノハ、ありがとうございます。」
「いえいえ。」
「タケオ様の方はどうでしたか?」
「中濃ソースの販売促進は順調でしたよ。
子供達が頑張ってくれていました。
帰りは疲れて寝てしまったのでヴィクターと2人で抱き抱えてきました。」
「それは大変でしたね。」
「子供を抱っこできるのは今だけでしょう。
その内、嫌がられちゃいますからね。
それにしても・・・ヴィクターはすんなり持っていましたが、私はずっとケアしっぱなしでしたよ。
片手に1人ずつは辛い物です。
まぁ最後の方は抱っこというより担いでいたと言われてしまうかもしれませんが。」
「それは・・・本当に大変でしたね。
あ、それと料理長が今日はシチューにすると言っていましたよ。
タケオ様が要望した食材の準備もとりあえず出来たと言っていました。」
「よし!パナ!コノハ!チェンジ!」
「はい。」
「らじゃあ!」
チビパナが実体化し、コノハがチビコノハになり、チビコノハが武雄の肩に乗り、チビパナがアリスの肩に乗る。
「シチューの時が割と時間が割けるという事でしたからね。
今日は試作ですよ!クリームコロッケの!」
「うん!試作ね!
タケオ、コーンはあるの?」
「トウモロコシですか?
一応、買っておいて貰えるように頼んではありますよ。
温かい地方のテンプル伯爵領から入ってくればとは言っていましたけど、ただ、季節柄まだ出てない可能性が高いと言われてしまっています。
なので、希望は薄いですね。」
「そっかぁ~、コーンクリーム美味しんだけどなぁ。」
「確かに。
まぁなかったらなかったです。
今日は基本となる何も入っていないクリームコロッケを作りましょう。
といっても私クリームコロッケ初挑戦です。
上手く行くかはわかりません!」
「まぁ、クリームコロッケは大変だしね。
労力を考えるなら買って来て揚げた方が良いわよね。」
武雄の言葉にチビコノハが頷く。
「えーっと、そのクリームコロッケは今日は頂けないのですかね?」
アリスが聞いてくる。
「上手く出来上がれば出せると思いますが・・・今回ばかりはわかりませんね。」
「それほどまでに難しいのですか?」
「難しい・・・うん、難しいと言えば難しいですね。
少なくとも王城にはこのレシピが無いというのは確認済みです。
となると、この地でもない調理方法と考えて良いのでしょう。
まぁ、製法に冷蔵技術が関係しているのですからね・・・
調理自体はそこまで難しくはないはずなんですよ・・・ただ。こっちの思惑通りに工程が進むのかという問題がありますね。
コノハ、どう思いますか?」
「まぁ、クリームコロッケの中身についてはもう既に作った事があるから問題はないわ。
あとはタケオが頑張ってブリザドとフロストをずっとしていないといけないと思う程度だね。
アリス、これが上手く行ったらこし餡に続いてエルヴィス伯爵邸でしか出せない料理になるかもね。」
「え?そんなにですか?
てっきり領民に教えられる物かと思っていました。」
「うん、だって20分か30分程度ずっと魔法かけて冷やすのよ?
タケオぐらい魔力が無尽蔵にないと無理だもん。」
「あ~・・・そう言う意味での屋敷のみという事ですか。
今の所、タケオ様しか出来ないのですね。」
「そう言う事。
その内タケオが冷蔵庫を作ってくれると思っているけどね。」
「冷蔵庫の原理だけで言えば、箱の上部に氷を置けるようにしておき、下部に冷やしたい物を入れれば良く冷えた物が出来るでしょうね。」
「冷蔵箱ね。」
「なるほど、なら一度作ってみましょうかね。
前に家具屋にあったような小扉付きの小棚を改良すれば良いでしょうけど。
水をどう処理するかが問題ですよね。」
「氷を上部に置くからね。
上手く外に流れ出るようにするしかないわよ。」
「・・・徐々に考えていきますかね。
なら、アリス、厨房に向かいます。」
武雄がアリスとチビコノハに言う。
「「いってらっしゃいませ」」
武雄とチビコノハは厨房をめざすのだった。
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魔王国王都のレバントの店。
ダニエラ達はシモーナをファロン子爵邸がある街まで送り届け、王都に足早に戻ってきており、今はレバントのお店に立ち寄り今までの話をしていた。
「へぇ~・・・キタミザト殿が。
シモーナさんからの手紙だとまずは第1軍相手の小麦の輸送の事だけ書いてあるけど、後でキタミザト殿と同行者の年齢と役職を知らせて来るみたい。
ダニエラちゃん、手紙は明後日には着くと思う?」
「どうでしょう・・・
でも向こうで小麦の用意も必要ですし、量が量なので私達が出てから数日というのは現実的ではないでしょうね。
早くても5日・・・6日はかかっても不思議ではないです。」
「そうよね~・・・どちらにしてもまだ来ないというのは確実そうよね。
今の内に同業者からキタミザト殿が喜びそうな小物でも用意しますかね。」
レバントが腕を組みながら言う。
「それもそれで大変そうですが、キタミザト殿が集めた物を大人しく見るのか・・・」
ヴァレーリが悩む。
「無理そう・・・
はぁ・・・来るとなると何か準備しておかないとと思うんだけどなぁ。」
「普通の雑貨屋に売ってない商品が良いのではないでしょうか。」
「ん~・・・どうしましょうかね。」
レバントがヴァレーリやブリアーニの意見を聞きながら考えをまとめるのだった。
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