第1968話 割引券配布。(販売促進方法としては順当。)
夕方のベッドフォードの店先前。
「よし!じゃあ、配りましょうか。
打ち合わせ通りに。
困ったら周りを頼りましょう。」
武雄が子供達に言う。
「「「「はい!」」」」
まぁ既に武雄の周りには奥様方がいるのだが。
「はい!奥様方、お待たせ致しました!
えーっと、目が怖いです!
皆さん!落ち着いて下さい!
大丈夫、数は用意していますから!」
武雄がさっきまで座っていた木箱に乗って大声を上げる。
「2列にお並び下さい!
列を乱した方は最後尾に行って頂きます!」
「2列に並んで下さい!
私達の指示に従わない方も最後尾に行って貰います!」
「周りの方に何回も迷惑をかける方は兵士詰め所にご同行お願いしています!」
子供達が列を整え始める。
奥様方が2列に並び直していく。
「さて・・・一番乗りは・・・セシリーさんとデリアさんかぁ。
1回目の店頭販売の時に居ましたね。」
「「はい!」」
「でも中濃ソース買ったんじゃないのですか?」
「子供が良く使うので~専用にしようかと。」
「小樽をもう1個持っていても大丈夫ですよ。」
セシリーとデリアが言う。
「そうですか・・・なら、こちらをどうぞ。」
武雄がチラシを渡す。
「「ありがとうございます。」」
2人が『わ~い』と喜んでいる。
「有効期限は1週間ですからね。」
「「はーい、わかりました♪では~。」」
2人が楽しそうにお礼を言ってから人混みに紛れて行く。
「はい、次の方~。
有効期限は1週間ですからお気を付けくださいね。」
「はい、ありがとうございます。」
並んでいた奥様が嬉しそうにチラシを受け取るのだった。
さて、なんでこんなに行列になっているかというと。
今日の店頭販売は協賛商店が現れたのでそちらにもお客が行くようにと考えての行動だった。
協賛商店は肉屋とパン屋。
そこでベッドフォードの奥さん、肉屋とパン屋の奥さんと『何をしたらお客が行くか』をお茶をしながら話し合った結果。
簡単なチラシに割引券を付けて配布してみようとなった。
今日の料理はトリカツ、簡単な調理方法も載せている。
中濃ソースはベッドフォードの青果屋、鶏肉は肉屋、パン粉はパン屋にて取り扱う事を決め、それぞれ購入量制限はあるが2割引きを敢行する事にした。
また、家に持って帰ってすぐに揚げられるように鶏肉にパン粉を付けた状態で売り出す事も決定。
こちらは鶏肉とパン粉を別に買うよりかは少し高い程度だが、労力と知らないレシピを作り失敗する可能性を鑑みると買われる可能性が高いと踏んでの商品になった。
売れ行きを見て常設商品になるかを検討するとなっている。
ちなみにこちらも購入量制限付きで1割引きで販売を実施する。
そんなこんなでそんな割引券付きのチラシを配布するとなれば当然のようにお客様は来てくれるわけで。
「お一人様1枚限りです!
他のお客様のご迷惑にならないよう再度列に並ぶのはご遠慮ください!」
「チラシの数は十分に用意しています!
焦らずにお並びください!」
「キタミザト様がお一人ずつお渡ししています!
ゆっくりとお進みください!」
「割り込みは禁止になっております!
最後尾からお並び頂き前へお進みください!
チラシは十分に用意しております!焦らないでください!」
子供達は必死に声を出している。
武雄は子供達の必死の仕事ぶりを見ながらも並んだ奥様方にチラシを手渡すのだった。
・・
・
チラシが配り終わり、ベッドフォードの青果店の奥にて。
「「「「・・・」」」」
子供達が机に突っ伏していた。
「はい、キタミザト様、お疲れ様でした。
子供達も大変だったわねぇ。」
ベッドフォードの奥さんが子供達と武雄の前にお茶を置きながら言う。
「商売は大変というのが少しはわかったようですね。」
「チラシを配る事が珍しいんですけどね。
それにしてもあの数のお客さんを良く並ばせましたよ。」
「そうですね。
あとで褒めておきましょう。
奥さん、今日は売り上げが変わりましたか?」
「ええ、今日は売上的には変わらないですけど、量は出ましたね。
特にチラシの効果か小樽が売れましたね。」
「トントンかぁ。
まぁ、継続的に買って貰って収入が増加すれば良いですかね。」
「はい、それとさっきお肉屋さんを見に行かせたら行列だそうですよ。
パン屋は少し混んでいる程度だとか。」
「ふむ・・・下ごしらえされている物が売れていると見た方が良いですかね。」
「まぁレシピがね・・・完成形は試食した物をちょっとだけですから。
あとは揚げるだけとしてくれていた方が買いやすいですよ。」
「ふふ・・・まぁ常設商品になれば良いですね。
まぁ今回限りの賑わいかもしれませんけど。
こういう値引きは極稀にするから効果があるというのは奥さんの方からも再度言っておいてください。
割引を連発をすると逆にしない日の売り上げが落ちると。」
「はい、わかりました。
・・・あれ?子供達寝てしまっていますね。」
ベッドフォードの奥さんが子供達がこっくりこっくりさせているのを気が付く。
「帰りは抱っこして帰りますよ。
それにそろそろ来る頃ですし。」
武雄がそう言うと。
「失礼します。
主はいらっしゃいますか?」
ヴィクターが店先で声をかけてくる。
「あら?キタミザト様の狙い通りですね。」
「うちの部下は優秀ですから。
さてと・・・子供達を抱っこして帰りますかね。」
「奥さん、すみませんが、ヴィクターを呼んできてくれますか?」
「はい、お待ちください。」
ベッドフォードの奥さんがヴィクターを呼びに店先に向かうのだった。
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