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第1967話 ルアーナ、考え中?(まぁまぁちゃんとしていますから。)

「・・・」

ルアーナが考え込んでいる。

「ルアーナ、何を考えているんですか?」

「キタミザト様が変な事をしていないかを。」

「はぁ・・・ルアーナが心配する事はないと思いますけどね。

 高利貸しからは借りない。

 向こうから金品を貰わない。

 これ当然です。」

「情報は貰うのですか?」

「無償提供品ですからね、これ。」

「本当でしょうか?」

「本当ですよ。

 これを私に渡して私がどういう風に動くかのかを律するというのもあるでしょうけど。

 そもそも私はこの地の兵士を動かす権限はありません。

 それを有するのはエルヴィス家です。

 だからエルヴィス家にこういった資料を提出は出来ないのですけどね。」

「そうなのですか?」

「ええ、癒着は多かれ少なかれ、どの地域でもあるのですけどね。

 エルヴィス家ではあまりしていません。」

「あまり?」

「癒着せざるを得ない事業というのもありますし、そもそも地域一つをまとめるのに全くの癒着なく出来ると考える方がおかしいですからね。

 ですが、裏稼業としてのこの者達の話はエルヴィス家は聞いていません。

 あくまで不動産業の一つとして相手をしているのみです。」

「それは・・・でも裏稼業をしているのですよね。」

「していますね。

 でも必要な事でもあるのですよ。」

「必要なのでしょうか?」

「その日にどうしても小口の資金が必要だとかの時にお金を借りる所を用意するのはエルヴィス家では難しいでしょう。

 歓楽街だってそうです。

 施政者が一個人に対して事業をするというのは癒着よりももっと酷い事にしかなりません。

 公平、公正、平等。

 この理念が施政者の基本です。

 そこに領内の発展を見据えて、個人ではなく、組合や特定業種の補助を行うという所が一般的ですね。

 まぁ個別に融資をしているというのもありますが、これは特例です。

 将来性がある事業であれば融資をするかもしれませんが、審査にはかなり時間がかかりますし、書類も複雑です。

 一個人というよりも一商店が相手の仕事です。」

「ということは・・・領民がお金を借りたり、お酒を飲む場所を用意するのは領民に任せているという事ですよね?」

「そうなりますね。

 お金が必要な人はお金を大量に持っている人に借りに行くというのが普通です。

 最初は小口の貸し借りだったのだと思いますけどね。

 昔から貸し借りをしているうちに酒場を建てる資金とか、宿を建てる資金を用立てたりといろいろと施政者側では出来ないちょっとした大きな事をしていき、返済の過程でちょっと暴力沙汰を起してみたり、返さない人達をちょっと脅迫したりとして行き、誰もが認める『借りるのは簡単、返さなかったら面倒』な集団が出来上がったのでしょう。」

「ん~・・・それは伯爵様やキタミザト様は出来ないのですか?」

「出来る、出来ないで言えば出来ます。

 ですが、簡単に言うと『この人は信用があるからお金を貸そう』、『この人は信用がないからお金は貸しません』というのがエルヴィス家の融資事業なんですけどね。

 ですが、裏稼業の人達がしているのは信用度の低い人達相手の貸金業です。

 これは私達では出来ません。」

「なぜですか?」

「施政者側は貸金だけをしている訳ではありません。

 領内の農作物や工業品の監視や税金の管理、領内の治安もしています。

 やる事が多いので一々個人のお金の催促に対応はしていられないのです。

 なので、この部分は民間にお任せをしています。」

「はぁ・・・でも野放しなのですか?」

「元々返済できないようなお金を貸すとかしているのなら『それはおかしいでしょう』と仲裁に入ったり、法に触れるような事をしていた場合は摘発を行うでしょう。

 なので、監視はしていますよ。

 それを物理的に潰せる人員が常に施政者側に居る訳です。

 なので、裏稼業の人達は施政者側に介入されない程度の金利を付けてお金を貸して、返済をして貰う事業をしているという訳です。

 真っ当に行っていれば裏稼業という負のイメージは持たれない事業内容なはずなんですけど。

 暴力や脅迫をチラつかせるとかしているからそう言った負のイメージが持たれるんでしょうね。」

「ん~・・・キタミザト様、私達が気を付ける事はなんでしょうか?」

「知らない人からお金を借りない。

 高額で変な物を買わない。

 何か困ったら私達にすぐに相談する。

 これです。

 給金で買えるなら問題はないでしょうが、月々の分散支払いや高額を一括でという時は事前に相談しなさい。

 問題が大きくなる前に私達で確認します。」

「ルフィナ達にも言っておきます。」

「ええ、お願いしますね。」

武雄が頷く。


「ん?・・あ~来たんだぁ。」

武雄が通りをやってくる一団を見てのほほんと手を振る。

「キタミザト殿・・・店先で一服ですか?」

ラックが訝しがりながら聞いてくる。

「たまにはこういうのも良いよねぇ。

 ラック殿も長旅、お疲れ様です。

 明日にでも打ち合わせしましょうね。」

「了解です。

 こちらの人員はご存じですよね?

 挨拶しますか?」

「ん~?・・・ま、明日で良いですよ。

 今日はのんびりと疲れを癒してくださいね。

 と、ブルックさん。」

「はい、所長なんでしょうか?」

「明日の昼はこの人達も喫茶店で取って貰うからね。

 食券はヴィクターが用意していますから段取りはよろしく。」

「はい。

 明日の打ち合わせは何時にしますか?」

「ん~・・・書類がどうなっているか・・・

 明日の朝、ブルックさん達に言いますから伝達よろしくお願いします。

 昼か昼過ぎには打ち合わせ出来るようにはしたいですが調整は必要でしょうからね。」

「了解しました。

 では、所長、失礼します。」

「はーい、皆さん、今日はゆっくり休んでくださいね。」

武雄が各々が会釈して過ぎ去るのを頷きながら見送るのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] ラック夫妻getのチャンスですね 喫茶店で白身魚フライにタルタル添えたカレーでも出しますかね
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