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第1955話 試作用の木枠ください。(耐火板の売りがたったようです。)

ハワース商会、工房内の隅にて。

「枠はこの程度でどうですかね?」

モニカの父親が端材で少し高さがある枠を作って武雄に見せる。

「あ、良いですね。

 で、これにさっきの細くして貰った木をちょっとの隙間を開けながら並べて・・・」

武雄が枠の上に細木を並べ始める。

見た目的には蕎麦のせいろを逆さにしたような物を作る。

「ふむ・・・なら枠の残りに切れ込みを入れて・・・こうやって細木を差し込んで・・・

 両端に挟めば・・・これでどうです?

 こうすれば枠に置きやすくなるでしょう。」

モニカの父親が武雄の要望で試作品製造用の木枠と水きりの底部分を作っている。

「おお、これ良いですね。

 これに枠が2周りくらい小さい枠とか出来ますか?

 この上に乗せたいんです。」

「ふむふむ・・・ちょっとお待ちくださいね。

 作りますから。」

モニカの父親がちょっと席を外す。

「ん~・・・キタミザト様、完成形がわからないのですけど・・・」

ラルフが考えながら聞いてくる。

「糸を細かくしたものをノリを薄めた物に混ぜてここに流し込む。

 余計な水分は隙間から落ち、上には糸が残る。

 これを乾かせば良いのですけど・・・念の為に生乾きの状態で一度、木炭アイロンをかけます。」

「ほぉ・・・わかりません。」

「まぁ見れば簡単ですよ。」

「お~、キタミザト様、良い枠を作りましたよ。」

モニカの父親が戻ってくる。

「ありがとうございます!

 ふむ、下の枠と乗せる網、上の枠。

 うん、これで試作品出来ますね。」

「いえいえ、このぐらいすぐに出来ますよ。」

「このご恩は仕事量で返します。」

「・・・そこは急でなくて良いので継続的な仕事を頂ければ結構です。」

モニカの父親がにこやかに言う。

「無理ですね。」

「無理ですかぁ・・・」

「私は突発的に1品物をお願いするのですから、私からの仕事はそこまで多くはありません。

 今までの商品のその後の売れ行きは市場動向や流行りによるものです。

 なので玩具も文具も耐火板も私の手から離れていますから、望む人がいれば注文がくるという状況でしょう。

 私が出来る事は金持ちに売り込んで買わせる事のみです。」

「そうですか・・・そう言えばキタミザト様は王都に行ってらしたんでしたか?」

「はい、前回ではしっかりと王城内で将棋をしてきました。

 見る者が見れば買うと思ったのですけど。」

「しっかりと王城から注文が来ておりますよ。」

「なら良かった。

 ちなみにまだ王都では一般向けには販売していないみたいですよ。

 軽く見た感じ一般向けの雑貨屋にはありませんでした。

 貴族が使うような店には行っていません。

 今後も王都に行ったら将棋がどうなっているか見てきますね。

 あ、ちなみにヴィクターは来ましたか?」

「ええ、将棋とリバーシの見積もりを依頼されたようですね。」

「それ魔王国向けです。

 結構な上位に渡したので・・・そこそこ来るとは思うんですが。

 ここは私ではわかりません。」

「ん~・・・少し多めに在庫を作っておきますかね。」

モニカの父親が腕を組んで考える。

「あ、将棋と言えば、エルヴィス伯爵が高価格の物と低価格の物を作ってみてはどうかと言っていましたよ。

 贈答用及び裕福層向けと一般向けという感じで。」

「それは私達も考えていました。

 いまいち方向性が定まらないのですよね。

 材料を変えるかとか形を大きくするとか・・・いろいろ案は出たのですけどね。

 伯爵様やキタミザト様のご意見は?」

「確か・・・伯爵からは豪商用は大きい木から作り出し、一般向けは薄めの板で作る。

 私はそれに足して、あまり動かさない事を想定して、高さも重さも少しある形で作成して、一般向けは持ち運びしやすいように薄手の盤を半分にして裏に蝶番でも付けて折りたためる盤を作る。

 この2案です。

 もちろん材質は木ですよ。」

「ふむふむ。

 なるほど、早く言えば専用の机を用意するか、机に置くかという事ですね。」

「・・・専用机は邪魔ですね。

 やはりしまえる大きさが良いですかね。

 例えば厚手の1枚物と持ち運びが出来る折りたためる薄い物で如何ですかね?

 あと、高級用は希少価値があるような木材を使ってみるというのも伯爵が言っていましたよ。」

「ふむ・・・わかりました。

 社内で検討しましょう。」

モニカの父親が頷く。

「あ、そうだ。

 キタミザト様、前に言っていた合板の話を覚えていますか?」

「・・・あ、前にしましたね。

 耐火板にくっつけて建材にするとか言った記憶があります。」

「あれ・・・結構好評ですよ?

 建設の親方連中に受けが良くて。」

「そうなのですか?」

「合板自体は今厚さ5cm程度の物が限界ではありますけどね。

 説明を聞いた親方が内装をするのに取り付けがしやすそうだと言ってくれました。

 今度、家の改築をする所の厨房部分に使ってみると言って、さっそくの注文が来ましてね。

 たぶんそこの結果しだいで改良をするかもしれませんが、幸先は良さそうです。」

「火事は怖いからね。

 一応、延焼に時間がかかるのなら消せる可能性も高くなりますし、そもそも住民を守れる可能性が高まりますからね。」

「ええ、その辺は十分にわかっているみたいですね。

 厨房の中の壁全部にするみたいです。」

「結果が楽しみですね。」

武雄が頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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