第1942話 アズパール王に相談を。(相談は必要ですよ。)
「うむ・・・入れ。」
アズパール王が執務室の扉がノックされたので入室の許可を出すとレイラ達が入ってくる。
「レイラにアルマにエリカ、スミスにエイミー、ジーナとドネリーか・・・
何かあった・・・んだな。」
アズパール王が訝しがりながら言う。
「お義父さま、警戒しないでください。」
レイラが苦笑しながら言う。
「レイラ達の件は後で聞くとして、丁度良いので我の方の用事をすませようか。
ジーナ。」
「はい、陛下。」
「タケオから報告のあった魔王国内への視察だが、同行する王都の人員が明日、出立する。
これが人員リストの写しだ。
タケオに送付してくれ。」
「畏まりました。」
ジーナがアズパール王の前に行き、小さい書類を受け取る。
「で?我の用件は終わりだが・・・
はぁ・・・誰に聞こうかな。」
アズパール王がレイラ達を見る。
「陛下、私がご説明をします。」
エリカが1歩前に出て言ってくる。
「わかった・・・聞こうか。」
「はい、では、現在、スミス殿の下に来ているエルヴィス家からの指示の内容になりますが。」
エリカが説明を始めるのだった。
・・
・
「ふーん・・・エイミーとパットを使っての第2皇子一家と第1皇子一家からの購入か。」
アズパール王が腕を組みながら聞いた。
「はい。
あくまでもスミス殿からのエイミー殿下、パット殿下への購入の依頼です。
エルヴィス伯爵家から2王家への依頼ではない所が良い所になります。
エイミー殿下もパット殿下もご実家を頼らない事も出来るでしょうが・・・諸事情を鑑みると実家を動かす必要があります。」
「ふむ・・・エイミーはどう思う?」
アズパール王がエイミーに振る。
「エリカ殿の提案はスミスに来ている指示の半数ずつを私とパットが実家から取り寄せ販売するという事になりますが・・・うん、まぁ第2皇子一家領は問題ないでしょう。
例年どおりであるなら現状での備蓄もそれなりにあるはずですし、一時備蓄が少なくなっても買い足しが出来る余裕は領内にあります。
割り振られている量であるなら高確率で販売は出来ます。
ですが、領外への売却ですので、販売価格は実家に問い合わせないとわかりません。」
エイミーが答える。
「そうか。
クリフの方もニールの方も不作だというのは報告にないから例年通りの収穫量という事だろう。
ふむ・・・スミス、発注を2家にするのは問題ないか?」
「はい、陛下。
実家からはどこに頼むのかは書いていませんので、僕としては指示された量の小麦が揃えられれば問題はありません。」
スミスが答える。
「・・・ふむ。
まぁ、エイミーは大丈夫か。
スミスも良く見積もりを見て抜けがないようにすれば良いのだし・・・うん、良いな。
エリカ、それで良い。
一応、中身を確認する者達が必要か・・・パットは総監局で見させよう、これから長い間やり合う面子だし、初仕事としては手頃な案件だろうからな。
エイミーの方は・・・ウィリアムで良いか、スミスはレイラを頼れば良いだろう。」
アズパール王が頷く。
「わかりました。
お義父さま、パットとエイミーちゃんへの指示は私からしますか?」
「いや・・・我が良いだろう。
レイラからの頼みという所で実施しようか。
あくまでもスミスがレイラを頼り、レイラが我を頼ったという事にすればパットも動くだろう。
パットとエイミーへの指示は、実家に連絡し、規定数量の小麦を王都に持って来て、スミスに売るという事になるだろう。
スミスに2通の発注書を用意して貰う事になる。
発注する小麦の量と購入金額、王都に集める日時の指定等条件を書き出して貰うか。
そうだな・・・2日後までに用意は可能か?」
「はい・・・あ、いえ、陛下、申し訳ありません。
発注書自体を用意するのは可能ですが、2日後までに用意できる内容は購入いただきたい小麦の量とその販売金額のみです。
集める日時等は2日では私では今の段階ではわかりません。
なので、猶予を頂きたいです。」
スミスがアズパール王の要請を断ってしまう。
スミスは若干、顔色をなくしながら、エイミーとドネリーはスミスが断った事に若干、目を見開きながらアズパール王を見ている。
が、この判断にその場のエイミー、ドネリー、スミス以外の者達の心証が良くなっているとは3人は知らない。
「ほぉ・・・そうか。
なら何日後に発注書を提出できそうだ?」
「それは・・・」
スミスが考える。
アズパール王やレイラ達はスミスが何と答えるか待っている。
「・・・っ。
ジーナ、どう思いますか?」
スミスがジーナを頼る。
大人達は自分勝手に判断しない選択をスミスがした事に心の中で讃辞を送っていたりする。
「はい、スミス様。
・・・まずは私達がエイミー殿下方に依頼をするにあたり、考えなくてはいけない事はエルヴィス家への納期から逆算した王都出立日です。
そしてエイミー殿下、パット殿下が持ち寄った小麦をどうやってエルヴィス家に運ぶかを決めないと王都での作業日数が試算出来ません。
そういった条件を具体的に考える時間をというと・・・王立学院もありますので、最低1週間、余裕を見て10日は頂いた方が落ち着いて考えられると思われます。」
ジーナがスミスに言う。
「・・・陛下、申し訳ありませんが、パット殿下とエイミー殿下宛の発注書は2週間後にご提出とさせていただけますでしょうか。」
「2週間?10日ではないのだな?」
「ジーナは優秀です。
優秀な者が余裕を見て10日とは言っていますが、私は凡人です。
発注書を作るにあたって、調べないといけない事、知らないといけない事がたくさん出て来ると思います。
それらを理解する時間が必要だと思います。
それにこの量の小麦の輸送もした事がありません。
見直しも何回もしたいと思います。」
スミスが言う。
「ふむ・・・まぁ我がどうのこうのいう事ではないか。
わかった、スミス2週間後に発注書を持って来てくれ。
一応、エイミーは動くだろうからパットにもそれなりな情報を渡してはおくが、それは問題ないな?」
「はい、ですが、発注書と差異が生じる可能性があると思います。」
「それは・・・致し方ないだろう、あくまで事前情報というだけだ。
では、スミス、2週間後を楽しみに待っている。」
アズパール王が頷きながら言うのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




