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第1932話 それぞれの報告。(さて・・・スミスはどうするのか。)

エルヴィス伯爵邸の客間。

「・・・アリス、ヴィクター達が宿に戻った。」

アリスの対面に座り本を読んでいる夕霧が顔をあげずに話している。

「うん、ありがとう。

 今日も何事もなく終わりそうね。

 ちなみに夕霧ちゃん、今何を見ているの?」

「タケオが王都から持ってきた地図です。

 この書き方を覚えて、後でハツユキと情報の共有をします。

 これを元にこの地の地図をまず書かないといけないですからね。」

「ふーん・・・邪魔は出来ないわね。

 私は完成品を待っていれば良いという事ですね。」

「ん、ちなみにアリスは何をしているのですか?」

「ジェシーお姉様からの宿題・・・」

アリスは手元を見てガックリとしている。

「アリス、布を縫うというのは難しいのですか?」

夕霧が聞いてくる。

「ん~・・・私にとっては難しいわ。

 でもメイド長達は手早く終わらせるし・・・向き不向きなのかもしれないね。」

「いつか縫うのも試してみたい・・・アリスに教えて貰おう。」

夕霧が言う。

「うん、私に習わない方が良いわ。

 こんなんだし。」

アリスが目線を落としてながら言う。

「難しい事を成し遂げた人に聞くのが上達の秘訣・・・らしいです。

 なので、縫う事に関してはアリスに聞きます。」

「それ・・・確定?」

「ん、アリス、それが出来たら私に教えてください。」

「・・・いつ出来るかなぁ・・・」

夕霧の言葉にアリスは手元の作業を再開させるのだった。

「アリス、今日はカレーだって!」

チビコノハがアリスの前の机に実体化して言ってくる。

「コノハ、おかえり。

 ちなみにカレーは昨日だったのでは?」

「昨日のカレーに継ぎ足しで用意するって!

 さっき料理長が言っていたわ!」

「お米は?」

「今日は無し~。

 パンを多めに用意するって!」

「ナンはあるのでしょうか?」

「そこはわからない!

 でもカレーは出るわよ。」

「で、コノハが料理長に呼ばれたのはなぜ?」

「カレーに入れる鶏肉の大きさの確認ね。

 今日はチキンカレーよ。」

「カレーに鶏肉を入れるのは初めてでしょうか?」

「養鶏場の関係で鶏肉が多くなるだろうから今までのレシピで使えるものは使うんだって。

 カレーは肉も野菜も何でも問題ないと言っておいたわ。」

「鶏肉になるとカレーの味が変わるのですかね?」

「味は変わらないけど、口当たりは変わるかも。

 まぁ食べてみて意見を言えば次に反映されるわよ。」

「ふむ・・・それもそうですね。」

アリスが頷く。

「アリス、ジェシーの宿題終わった?」

「まだよ。」

「・・・時間がかかってもしっかり作るのが練習だもんね。

 アリス、頑張って。」

「ええ、頑張ってはいますよ。」

アリスが作業を再開させるのだった。


------------------------

王都の寄宿舎にて。

「ただいま戻りました。」

スミスとジーナが玄関に入ってくる。

「あ、ちょうど良かった。

 実家から手紙が来ていますよ?」

通りかかった教師がスミスに言う。

スミスの後ろに居るジーナは「来ましたね」と覚悟をしながら聞いている。

「実家からですか?」

「ええ、昼過ぎに兵士風の格好で来てね。」

「兵士が?・・・そうですか。

 では、取りに行きます。」

「ええ、すぐ終わりますよ。」

スミス達は受け取りに行くのだった。

・・

夕食前のスミスの部屋。

「・・・ジーナ、これ知っていたよね?」

スミスが机に向かって実家からの命令書を見ながら言ってくる。

「・・・はい。

 昨日の段階でご主人様より概要を受け取っています。」

ジーナは中身は見ていないが何を聞かれているのかはわかるので少し悩んでから返事をする。

「そしてそのまま王城に行ったんだね?」

「はい。

 陛下にご報告しております。」

「・・・陛下に?・・・あぁ魔王国相手だものね。

 陛下の返答はタケオさんに連絡はしてあるんだね?」

「はい、ご主人様は王都に滞在中に陛下には相談されておりましたが、この度、正式に請けおった旨の報告をするようにとの指示にて伺いました。

 陛下も問題ないと追認して頂きましたので今日の朝、返事を送っています。」

「・・・ジーナ、それは請け負った事の話だよね?

 他には?」

スミスがジーナを見ながら言ってくる。

「いえ、それ以外にありませんが。

 エルヴィス家が領内で指定されている量の小麦を集めて、キタミザト家がそれを輸出するという事ですよね?

 領内の事はエルヴィス家の管轄ですから、スミス様にとりあえずの報告があったのだと思っておりますが。」

ジーナが「この理由ならスミス様に悪巧みが発覚せずに進められそう」と思いながらもスミスへの指示は知らない体を突き通す。

「・・・となると、この内容はジーナも知らないのかな?」

スミスが再び命令書を見る。

「・・・」

ジーナは何も言わないが「ここは『何が?』と聞いた方が良いのだろうか?怪しまれないだろうか」と思案している。

と、扉がノックされる。

「はい、どうぞ。」

スミスが返事をすると扉が開けられる。

「あ、ジーナはこっちだったのね。

 スミス、ジーナ、夕食が出来ているわよ。」

エイミーが入ってくる。

「はい、ありがとうございます。」

スミスが返事をする。

「・・・ん~・・・なんだか雰囲気が重いわね?

 何かあったの?」

「はい、実家から手紙が来てまして。」

「スミス様、とりあえず夕食を取ってから考えましょう。

 その際に説明をお願いします。」

ジーナが言葉を被らせながら言ってくる。

「・・・うん、そうだね。

 夕食を取りながら僕も考えをまとめるよ。」

「??・・・まぁ良いわ、とりあえず夕食よ。」

エイミーと一緒にスミスとジーナが部屋を後にするのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] エビフライカレーが好きだなぁ そういえばレトルトでメロンカレーを食べたことあったけどあれもなかなか美味しかった……カレー万能すぎる
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