第1929話 特に文化的に買いたいものは無し。(シモーナさん、お仕事ですよ。)
「目新しい物はない・・・ですな。」
「そうね。
この小物入れの細工は綺麗ね。」
ヴァレーリとブリアーニが小物入れを見ながら時間を潰している。
「正直、こういうのを見てその国の国力がわかると言う輩がいるが、さっぱりわからん。」
「そぉ?こうやって蓋がしっかりと重なるとかよ?」
「しっかりと重なる物が売り物としての最低限の品質だと思うのだが・・・意匠的な細工もなぁ・・・
ドワーフ達の方が凝っているの作るしなぁ。
・・・これは魔王国の基準じゃダメなのか?」
「魔王国だってそういった低品質の物はあるんじゃない?
ダニエラが行く店が上位の店ばかりだから蓋がちゃんと閉まるのが普通とか言えるんじゃないの?
ちなみにダニエラ、蓋を閉めると箱とズレているのとか見た事ない?」
「そのぐらいは・・・見た事はあるな。
雑貨屋ではなく魔王国内の露店か何かで・・・あれって子供の作品だと思っていたが?」
「駆け出しの職人の物を店先で売るならその程度があるわよ?」
「それは・・・職人はそんなのを売りに出して恥ずかしくはないか?」
「それは売り側の感性の問題じゃない?
安い物や多少不具合があっても構わないという考え方もあって然るべきだと思うわ。
それに駆け出しならお金に困っているだろうからね。
少しでも売れれば良いと思っての事かもしれないし、買う側も費用を抑えたい人は安ければ買うかもしれないし。」
「・・・食うに困って適当な品を売りに出した所で売れはしないと思うのは我だけなのだろうか・・・
ちなみにカールラは買うか?」
「買わないわよ。
困ってないもの。」
「・・・売れる見込みないな。
まぁ・・・この店にはちゃんと閉まる小箱ばかりだという事は貴族が来ても問題ないという事か。」
「まぁヴィクター殿が連れて来るんだからね。
ここはしっかりした所なのは確かよね。
で・・・ダニエラ、何か買う?」
「興味は惹かないなぁ・・・この程度ならボナに頼めば見繕ってくれるしな。」
「頼み先が領主なのね。
領内で最高クラスの小物を探すんだろうね。」
「いや・・・ボナが持ってくるの結構安いぞ?
この間はティーカップを頼んだら6個セットで銀貨1枚だったぞ。」
「どんだけ値引いてるのよ?」
「失礼だな、我は値引きを強要はしていない。
『普段使いにしたいから銀貨1枚で4個セット以上の物で探してくれ』と言ったら6個セットが来た。」
「ボナ子爵、何か言ってなかった?」
「・・・意匠が少ないのしかないとか言っていたような気もするが・・・いや、特に言われた記憶はないな。
普段使いに意匠を気にする事はないと思うんだが・・・ボナは違うみたいだな。」
「一国の王に無地の物を使わせるのは周りは躊躇うんじゃない?」
「来客用とか部下との会合用とかはそれなりに意匠は拘っているようだが、普段使いで我しか使わないんだぞ?
意匠がない無地の物の方が気楽に使えて、壊しても気にもならないだろう?」
「まぁ・・・そうね。
でも誰が見ているかわからないんだから普段からそれなりに高い物を使っていた方が威厳に繋がるんじゃない?」
「・・・カールラも皆と同じ事を言うのだな。」
「あ、既に言われてたのね。」
「まぁ・・・残りの任期は少ないんだ。
最後まで皆が言う魔王国陛下の威厳っというのを保つしかないか。」
ヴァレーリが諦めながら言う。
「そうね。
・・・何かお土産でもと思ったけど・・・良いのはないわね。」
ブリアーニが言う。
「そもそもキタミザト殿よりレシピを買ったりトレンチコートの製造、販売権を買った時点でお土産になると思うがな。
これ以上となると店ごと買わないといけなくなるんじゃないか?
ん?・・・リバーシと将棋があるな・・・これはどうだ?
シモーナさんに頼んだ4個では足らんだろう?」
「内々にシモーナさんに頼んであるわ。
一応国元に帰ってから皆の反応を確認してからと言ったけど・・・追加購入はするわ。
目新しさから今の内なら贈り物に良さそうだしね。」
「それもそうか・・・我も各領主に渡すか。
これなら大した金額にはならんだろうしな。
我もあとでシモーナさんに言っておく事にしよう。」
ヴァレーリが頷く。
「さて・・ほかに何かないかな・・・
ん?スポーツブラって、あの渡されたやつだよね?」
「そうだな・・・雑貨屋にあるものなんだな?」
カールラとヴァレーリがスポーツブラを手に取りながら話している。
「・・・お取り寄せだって。」
「みたいだな。
これはすぐには買えそうにないな。
試供品を多く持って帰りたかったが・・・ん~・・・」
「ふむ・・・試供品だけでかぁ・・・
まずは私用としてシモーナさんに頼んで・・・ちょっと時間かかるかな?」
「どんどんシモーナさんが扱う商品が増えて行くな。」
「そうだね。
こっちからの輸出する品も増やせるようにしないといけないわよね。」
「まぁ一番は食べ物だろうがな。
そう思うと我が国も輸出出来る商品というのが思い当たらないのは国としてまだまだという事なんだろうな。」
ヴァレーリが諦めながら言うのだった。
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