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第1923話 二次防衛ライン構想。(陛下・・・何知っているの?。)

「陛下・・・それ恨みは買うのではないのですか?」

ジーナがアズパール王のひらめきを聞いての第1声がこれだった。

「そうだろうか・・・というより誰にだ?

 4年後の大動員の予習と考えれば良いだろう?

 王都の壁は勇ましい事を言うが、戦地には立ちたくないだろうから文句は言わんと思うが。」

「・・・随分と低い評価です。

 が、陛下がそう判断されるという事は実際にそうなのでしょう。」

ジーナが頷く。

「・・・口は勇ましいんだよなぁ。

 だが、肝心の自分達を派遣しろとは言って来ないのが低評価の理由だ。

 まぁ今回は万が一の可能性を考慮し、エルヴィス領側の王都の壁に最終防衛拠点を作る事が目的だな。

 今回は向こうの意図はわかっているし、こちらが攻勢に出なければ防げるであろう戦力が揃っているからな。

 戦場では戦場で苦労をするのは致し方ないとしても援軍までは必要ないだろう。

 戦場で使えない戦力を急遽派遣しても意味はないしな。

 そこで今後の本格侵攻を想定して、一次防衛をしている隙に二次防衛拠点の動きを確認する事をしようと思う。」

「・・・賢明な判断かと。

 魔王国の本格侵攻を想定されるのなら前線への援軍より各拠点での遅滞戦闘こそ有益だと思います。」

「うむ、王都に近付いていくとその都度、数を減らす結果になるというのは攻め入る方からすれば勝っている戦争で無駄な戦力の消費は避けたいだろうしな。

 早期、終結がなされると読んでいる・・・というのは建前で。

 実際に魔王国が本気を出したら二次防衛なんて意味がないだろうな。

 一次防衛を担っているエルヴィス伯爵達の方が兵士の質が良いんだし、そこを突破して来るんだからな。」

「陛下・・・まぁ彼我の戦力量がそもそも違いますので致し方ないです。」

「そうだな・・・いや、ジーナとヴィクターが居てくれて助かった。

 相手の力量がわからねばやりようはないからな。」

「ありがとうございます。

 ・・・陛下、確認しますが、前線への援軍は考えないのですね?」

「現状ではない・・・というより王都の面々が慣例の戦争と認識するであろうから派遣を納得しない。

 我の意思にて強行をするという手もあるが、この報告を公にする必要がある。

 それは魔王国の陛下の要求を無下にする行為だし、その対価が本格侵攻だというのだ、出来るわけない。

 そして戦場から急ぎ援軍が必要と報告があった時点でもう手遅れだ。

 援軍とは事前に用意しておくもので、投入すれば戦況が一変しうるからするのであって、被害を大きくするためにする物ではない。

 よって援軍は出来ない。

 まぁ王立研究所の補助として事前に王都守備隊を少しなら派遣は出来よう。

 第1騎士団と第2騎士団を率先して動かすのは些か理由が少ないので出来ないし、王都の壁は邪魔だろう。

 ・・・エルヴィス伯爵とタケオは何かしているだろうから王都の目があるとやり辛いから断ってくるだろうがな。」

「・・・陛下はどこまでご存じなのですか?」

「正確にはしらんがな。

 だが・・・エルヴィス伯爵のように魔王国との繋がりを持とうと考えていたり、ゴドウィン伯爵のように対応戦力の質の向上をしていたり・・・魔王国側の領主には戦地、領地にて良き判断が出来る者を配置出来ているとは自負している。」

「西側は違うのですか?」

「しているつもりだが、魔王国側より我の意思は働いていないな。

 西側は息子達の領分だ。

 あ奴らが監督、監視をしているからな。

 まぁ今後はその任をウィリアムにさせるが・・・あの3家なら平気だろう。」

「信頼があるのですね。」

「我が王都は地方領をある程度信頼しないと成り立たんからな。

 流石に離反するとかされるとかだと問題だが、最前線の領主なのだ、多少向こうと繋がっている事程度では驚きはせんよ。

 むしろ今回のように繋がっているからこそ向こうの動向がわかったのだ。

 表立って報告はしてこないだろうし、されると面倒だし、そこはコッソリとやって欲しいが・・・褒めはせんがエルヴィス伯爵とタケオは良くやっている。」

「陛下、褒めてますよ。」

「・・・まぁ西側があんなんだしな。」

「伯爵やご主人様と違うのですね?」

「あぁ、こっちでも各貴族の繋がりはわかっているんだが、あいつらは情報を取ってこない。

 これが息子達に報告して息子達が吟味して指示を出しているのなら大した問題とは思わんのだが・・・どうも報告をしていないようでな・・・

 タケオが向こうに行ってからわかってきた事が多すぎる。

 なので、王都の外交局等を筆頭に独自で動き出している始末だ。

 本来ならエルヴィス伯爵達のように報告をして貰って王都で吟味、指示を出す程度で良いはずなんだがな。」

「・・・陛下、その言い方は・・・」

「ん?・・・いや、何でもない。

 それに慣例の戦争については実はゴドウィン伯爵からも報告が来ているんだぞ?

 知っていたか?」

「ゴドウィン伯爵からですか?

 ご主人様からは何も言われていませんが。」

「あぁ、ゴドウィン伯爵からは魔王国側の関にて微小な変化があるようだとの報告でな。

 兵士の質の向上と戦争準備の訓練を開始する旨の報告が来ている。

 ゴドウィン伯爵も十分に傑物なようだな。

 あの若造がこうもなるとはな。」

アズパール王が頷く。

「陛下はゴドウィン伯爵を良くご存じなのですか?」

「クリフの同級生で寄宿舎の時に良く会っていたぞ?」

「それは知りませんでした。」

「あの時の若造がこうも立派に領主をしている。

 この喜びは我ぐらいしかわからんだろうな。」

「ある意味陛下の特権ですね。」

「そうかもな。

 さてと・・・魔王国との戦争の話はもうないな。

 タケオ達には連絡をしておいてくれ。」

「はい、畏まりました。

 では、次はスミス様の穀物購入の件での報告をします。」

ジーナが話し出すのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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