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第1913話 あれ?また販売しているよ。(こし餡の製造方法は絶対に秘密です。)

「こ・・・これがあのくそ硬かった堅魚・・・だと?」

「あ~?」

削り節機で削られた堅魚節を試食しながらヴァレーリがボソッと呟き、ビエラはそんなヴァレーリに「え?違うの?」と聞いていた。


ちなみに料理講義にはヴァレーリとビエラも参加している。

ヴァレーリ曰く「え?カールラは国の費用で買うのですか?私は自費だからこのレシピは私の物ですよ?だから習います、魔王国には小出しで私が教えます、ふふふ」と言っていた。


「削り節器・・・凄い物ですね。」

料理人が武雄が次々と削る様を見ながら言う。

「これでキャベツとかをすれば千切りが早く出来ますよ。」

「千切りですか・・・えーっと・・・あ、トリカツをあげた際に皿に盛りつけるキャベツの細切りですね。

 確かに細切りは大量に作るのは大変ですからね。」

料理人がレシピ本を見ながら言う。

「なら試しにしてみますか。

 刃が鋭利ですから指を削らないようにしてください。」

「はい、わかりました。

 あ・・・意外と力が必要なんですね・・・ほぉ・・・これが堅魚節。

 魔王国のカスト伯爵領からの仕入れをしなくてはいけませんね。」

「出来れば私達の分は取らないで頂きたいですが。」

「それはもちろん確認をさせて貰いながらいたします。」

料理人が頷く。

「それと・・・ビエラ。」

「はい!」

武雄に呼ばれてビエラが武雄の下に行く。

「こちらに肉のブロックを用意しました。

 ビエラ、やっちゃってください。」

「はい!・・・あ~。」

ビエラが返事をして肉に両手をかざして、フロストでみるみる凍結させていく。

「このように肉を冷凍させると保存期間が延びるのはご承知の通りでしょう。

 凍ったままでは料理に適さないから一旦、解凍をしないといけないのが普通です。

 ですが、この状態で利点はあります。

 この状態で・・・削り節器で削ります・・・失礼しますよ。」

武雄はそう言って料理人から削り節器を渡して貰い、箱の中にあった削り節を箱を裏返して皿に移すとコンコンと軽く叩いて粉まで落としてから凍った肉を削り節器にかける。

「これは・・・薄い肉が出ましたね。」

料理人が見ている。

「まぁ・・・一般的には包丁でしていますよね。

 でも作業を手早く終わらせられて、均一な厚さをと考えるとこの削り節器を使った方が早いんです。

 あ・・・ビエラ、また凍らしてください。」

武雄はそう言って持っていた肉を皿に置くとビエラが凍らせ始める。

「凍った状態で切って、置いておけば解凍の時間も短くなるかもしれません。

 それに野菜炒めには薄い肉の方を使っていますから、用途的に良いかもしれませんね。」

ヴァレーリが言う。

「薄切りに特化して、大量に作るのにも適しているこの削り節器という調理器具を作ったのです。

 切れ味というか堅魚の硬さも削れますからね。

 ガチガチに凍った肉も問題なく削れます。」

武雄が説明する。

「ちなみにこの削り節器は買えるのでしょうか?」

「注文生産品なのでお受けするなら後日発送しますが?」

「わかりました、3個注文します。」

「はい、ありがとうございます。

 では、ヴィクターに言って後ほど見積もりを持ってこさせましょう。」

「わかりました。」

料理人が頷く。

「キタミザト殿~私も2個欲しいです。」

ヴァレーリが手を挙げながら言ってくる。

「お買い上げありがとうございます。

 見積もりはヴィクターがお持ちしますので確認をお願いしますね。」

武雄は実演販売のような事をしているのだった。


------------------------

エルヴィス伯爵の食堂。

「ん~・・・」

ブリアーニが目の前のこし餡団子を見て悩んでいる。

「・・・」

シモーナも見つめているだけだ。

「昨日、召し上がらなかったので今日も出してみました。」

アリスがそう言いながらお茶を飲む。

「あの~・・・アリス様、これは何でしょうか?」

「こし餡団子というスイーツです。

 昨日はシモーナさんと私達が出かけた後に出したそうなのですけど、ダニエラさんとカールラさんはお召し上がりにならなかったのです。

 是非とも食べて頂きたくて今日もお出ししたんです。」

アリスが言う。

「ん~・・・スイーツってこんなに茶?紫?・・・黒い色をしているのでしょうか?」

ブリアーニが難しい顔をさせながら言う。

シモーナもコクコクと頷く。

「あ~・・・確かに見た目は美味しそうには最初は見えませんよね。

 私も思いました。

 スイーツの色を言ってみると黄色とか白とか赤とかですものね。

 黒は焦げとか苦いとかの色ですものね。

 大丈夫です、食べられます!

 ほら・・・あ~美味しい。」

アリスが自身に出ているこし餡団子を美味しそうに食べる。

「・・・頂きますか。」

「・・・そうですね。」

ブリアーニとシモーナが意を決して口に運ぶ。

「「!?」」

アリスがにこにこしながら見ている。

「あ・・・甘いですね。」

「苦みはないのですが・・・なんでしょう、甘いのですが味が不思議です。」

2人が驚きながらこし餡団子を見ている。

「原材料や調理方法は残念ながらエルヴィス家の秘匿です。

 これはエルヴィス家のみのスイーツなんです。」

「んん~・・・これは驚きました。

 まったく、原材料がわかりません。」

「調理方法もわかりません。

 どうやったらこんな色の物が出来るか・・・」

「ええ、だからこそエルヴィス家のみのスイーツとしてお出ししているのです。

 ちなみにブリアーニ王国やファロン子爵領、魔王国でのスイーツ事情はどのようになっているのですか?」

アリス達も料理話をし始めるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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