第1911話 212日目 今日も濃かったね。(一部に落ち込んでいる方々がいます。)
夕食も終わり、武雄達はいつもの通りにティータイムになっていた。
「こっちが陛下宛の手紙です。
こっちがジーナ宛、両方ともジーナに渡してくださいね。」
「「はい。」」
武雄が彩雲と紫雲を前に手紙の入った小瓶を見せている。
「ふむ・・・ジーナには悪いが陛下に渡して貰うしかないの。
手紙で送っても誰かに見られる可能性もあるし、あまり他人に見せる内容でもないしの。」
エルヴィス爺さんが武雄に言う。
「そうですね。
はぁ・・・今回は他人に見せるかどうかは陛下に判断して貰うしかないですからね。」
「見せんじゃろうの。
むしろこれを好機と捉えて文官達や王都の壁の動きを確認しそうじゃ。」
「陛下は・・・そこまで見通せますかね。」
「・・・まぁ、するじゃろう。
でないと慣例の戦争で戦地からの報告を受けた王都が混乱するだけじゃ。
今までにない事態が発生するのがわかっていて各部署がどう動くのか。
陛下がどういう差配をするのかは気になる所ではあるの。」
「ん~・・・あの陛下がねぇ・・・
まぁ何かしらしてくれるとは思いますけど。
アリスはどう思いますか?」
「ダニエラ様が本気でないと言ってくれているのがこうやって落ち着いて話せる要因なのですけど、私達と同じようにレイラお姉様とアルマお姉様には伝えた方が良いんじゃないですかね?
身重ですし、心の準備は必要です。」
アリスがそんな事を言いだす。
「・・・ウィリアムさんは?」
「黙っておいた方が素の反応が見れるのでは?
王家が全員落ち着いていたら不審がられると思います。」
「レイラとアルマは実家が・・・だからの。
事前に心の準備をしておいて問題はなかろう。
じゃが、ウィリアム殿下は不憫じゃの。」
「そこはレイラさんとアルマさんにお願いしましょう。
上手く誘導してくれると信じましょう。
ジーナ宛の手紙に陛下に見せる前にアルマさんとレイラさんに見せるように伝えますかね。」
武雄がそう言ってジーナ宛の小瓶を開けるのだった。
一方のチビっ子達はというと。
「はぁ・・・」
「きゅ~・・・」
「はぁ~・・・」
落ち込んでいた。
武雄から「明日は米料理だよ」と伝えられると大喜びしたのだが、「カレーの分まで米はないかも、いやそもそもカレーの存在は教えないから明日はなしかも」と言われると壮絶に落ち込んでいた。
「いや・・・ビエラにクゥ、ミア、カレーはまた今度食べれば良いし。
あれは魔王国一行に伝えると教えろ攻撃にあっちゃうでしょう?
なら朝一で全てをこの屋敷から持って行って貰うのはしかたないわよ。」
チビコノハが3人に説明している。
「あ~・・・」
「いや、まぁ・・・『次はいつかわからない』と言われるとそうだけど。
えーっと・・・喫茶店の予定では・・・ないなぁ。」
コノハが徐に喫茶店の予定表を取り出して内容を確認するがカレーが見つけられなかった。
「はぁ・・・」
「きゅ~・・・」
「はぁ~・・・」
「でも明日はチキンライスよ!
これも美味しいから!」
「あ!あ~・・・」
ビエラがそう言うと再び落ち込んでいる。
「・・・うん、『そんなことわかっている』と言われると何とも言い返せないけど。
なんでこんなにカレーが気に入ったのかなぁ・・・
パナちゃん、どう思う?」
「カレーとラーメンとハンバーグは日本人が好きな料理のランキングでトップを維持しているものです。
あの日本人がですよ?
こうなるのはわかります。」
「あの日本人がと言われちゃうのは・・・まぁ好きだけど。
不味い物は美味しく、美味しい物はさらに美味しくがモットーだからなぁ。
なーんであんな国民になっちゃったんだろう?」
「コノハのせいですね。」
「いや、私何もしてないし。
昔は美味しくなかったんだけど、数十年で急激に美味しくなるのよね・・・他の国家ではあまり見られない現象なんだけど・・・
ん~・・・まぁ・・・ビエラ、クゥ、ミア、タケオに言って近々作るから落ち込まないでよ。」
「はぁ・・・」
「きゅ~・・・」
「コノハ、それはいつ頃ですか?」
ビエラとクゥは深いため息をミアは暗い顔をさせてコノハに聞く。
「いつ・・・とは言えないけど、近々よ。」
「米はありますか?」
「・・・何とか出来たら良いんだけど・・・」
「「米~、カレ~。」」
「きゅきゅ~。」
3人が懇願している。
「息ぴったりね。
まぁそこは何とか用意されると期待して待ってなさい。
それにしても・・・明日は米料理が並びそうね。」
「コノハは出ないのですよね?」
「ブリアーニ王国とはいえ他国だしね。
名前と姿を今回は伏せているなら料理にも出ない方が良いでしょ。
パナちゃん、タケオが困ったら連絡頂戴ね。
レシピ送るから。」
「チキンライスはそんなに難しい料理でしたか?」
「タケオなら何とかするでしょ。
まぁ一応この後レシピの確認はしておくけどさ。」
「なら失敗はしないでしょう。
火加減ぐらいが失敗の原因だと思いますが。」
「ん~・・・それならそれで良いんだけど・・・」
「コノハには心配が?」
「トマトケチャップがないのがね・・・
トマトソースでどこまで味が濃く出来るか・・・これは挑戦ね。
万が一はバターと上に乗せる卵で誤魔化すけど!」
「打開策があるなら問題ないでしょう。」
コノハの心配をパナは杞憂と思うのだった。
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