第1902話 各々で打ち合わせ。(定期購入だね。)
研究所の会議室にて。
「失礼します。」
ルフィナがシモーナの前にお茶とエルヴィス伯爵邸の厨房より渡されたスイーツを出す。
セレーネ、ルアーナ、ヴィートも護衛2名とアリスに出している。
「ご丁寧に、どうも・・・その・・・随分とお若いのですね。」
シモーナがアリスに聞いてくる。
「はい、キタミザト家で雇っているメイドと執事の見習いです。
メイド長はジーナちゃんですね。」
「ジーナがもうメイド長なんですね・・・」
シモーナがなんとも言えない顔をさせる。
「はい、キタミザト家は新設貴族ですからメイド達を集めなくてはいけなかったのです。
で、縁あってこの子達を雇えましてね。
私の実家であるエルヴィス伯爵邸で今見習いをして貰っています。」
「はぁ・・・新設されるというのも大変なんですね。」
シモーナが頷く。
シモーナは気が付いていない、この子達の首輪の事に。
護衛2人はとっくに気が付いているが、主達がこの地に居るので何かしらの意図があるはずなので、軽々しく自分達が聞く訳にもいかず、違う意味で緊張を強いられていた。
「この子達も今は見習いですけどね。
研修が終われば、他の事にも挑戦させたいんですよ。」
「はぁ、他の事をですか。」
「農業もそうだし、商売も経験させたいです。
あ、キタミザト家では農業部門があり、小さな畑を使って作物の研究もしているんです。
そして商売の方は対魔王国との輸出入ですね。」
「なら、この子達が私の担当になる事もあるという事ですか?」
「ええ、金額が高めの案件はヴィクターに頼るでしょうが、少々の事なら決裁権を与えてみようかと思っています。
まぁすぐにという訳ではないのですけど、いつかは体験させてみたいと思っています。
この子達にどんな可能性があるのか試してみたいのです。」
「なるほど・・・ん~・・・他国や他領との輸出入は結構大変なんですよね。
いきなり経験させるのは・・・上の者達が確認を数度しないといけないと思いますね。」
「なるほど、確かに距離的な事もありますし、政治体制も違いますしね。」
「はい、まぁキタミザト家との間ならそこまで難しくはないので試してみるのも良いのかもしれません。
私の息子もいますし、経験させましょうかね。」
「子供同士だとちょっと怖い気がするのですけども。」
「そこは上司たちの確認をしっかりとさせるしかないかと。」
「こっちから言ってしまった手前、そうですとしか言いようがありませんね。
・・・こちらからは当分は米の輸入とウォルトウィスキーの輸出の件でとなると思います。」
「先ほど、月4樽程ウスターソースを輸出できるようにして頂けると店主さんが言っておりましたよ。」
「ふむ・・・なら、米の輸入とウォルトウィスキーとウスターソースの輸出ですね。
ウォルトウィスキーについては前回で決まっていますので、その発送手配ですが、米は・・・」
「私の方からはブリアーニ王国から年1200kg、魔王国ブリーニ伯爵領から年1800kgの輸出になります。
とりあえず、今年度での輸入量となります。
ちなみに前回のブリアーニ王国からの500kgは含まれていません。」
「・・・合計年3500kgですか。
結構、ありますね。」
アリスはそういうが心の中では「この量でもタケオ様がやる気になったら足らないんだろうなぁ。あ、第3皇子一家と王都向けにいくつ販売するんだろう?」と思っていたりする。
「今年は残り3000kg、幌馬車1台で750kgを4回に分けての輸出予定となります。」
「わかりました。
出来ればウォルトウィスキーと同じ時期でやり取りしたいですね。」
「はい、それはこちらもありがたいですが、今年は次の輸入が10月になってしまいます。
年4回という事は8月程度に初出荷でよろしいですか?」
「ん~・・・初回は申し訳ないですが届き次第、発送してください。
10月以降は3か月毎に輸出入を行いましょう。」
「わかりました。
では、戻り次第手配を進めます。
基本的には米とウォルトウィスキーの輸出入は4月、7月、10月、1月の4回とします。」
「はい、基本はそれで構いません。
数量に変更を願う場合は事前の連絡をし、相談する事とします。」
「はい、お願いいたします。」
アリスとシモーナが打ち合わせをしている。
子供達は「これいつか私達がするの?」と驚きながら見ていた。
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エルヴィス伯爵邸の客間。
「なら、ある程度、増産の目途がたったら輸出量をどうするのかは考えます。」
「「・・・お願いします。」」
2人が弱々しく返事をする。
「まぁ・・・こちらも皆で協議が必要でしょう。」
エルヴィス爺さんも頷くだけに留めている。
「トレンチコートは何ですか?」
武雄がブリアーニに聞く。
「我が国で製造、販売をさせて欲しいと。」
「あ~・・・私がウスターソースにしたような事をしたいのですか。
ラルフさんは私に一任したのですか?」
「いえ、トレンチコートの製造や販売にはキタミザト殿の判断が必要だと。
個人的には技術を売るというのは問題ないと言っていましたよ。」
「・・・ふむ・・・
私としては問題ないですよ?
作りたいのならラルフさんと協議してくれれば結構です。」
「そんな簡単に・・・良いのですか?」
ブリアーニが聞いてくる。
「構いません。
服も装置も持って帰って分解すれば複製品は作れてしまいます。
そこを契約をするというのであれば、設計図なり作り方なりの書類を相応の金額で取引すれば良いのでしょう。
そこに私の意思を介在させるというのはちょっと違います。
まぁラルフさんの事です、取引金額に私への発案料の上乗せをするのでしょうけど。」
「そ・・・相応の金額にさせて頂きますよ?」
「私がいくら欲しいと言った事はほとんどないんですけどね。
その辺はラルフさんと話し合ってください。」
「わかりました。」
ブリアーニが頷くのだった。
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