第1897話 玄米精製機の売り先。(いくらで売るかな。)
「げ・・・玄米精製機・・・」
ブリアーニの追求に耐えられず武雄が吐露した装置をブリアーニが噛みしめている。
「ええ、籾状態の米を装置の上部から入れたら玄米の状態まで一連でしてくれる装置を協力工房と一緒に考えましてね。
今日最終試験だったんです。」
「結果はどうだったんですか!?」
「少々殻が混入はしますが、今までの作業時間が1/3程度になりますね。
人手も3人くらいで済みますし、その後の作業も楽になると踏んでいます。」
「作業時間の短縮と人員の低減!画期的ですね!おいくらですか!?」
「これから見積もりを作成して貰って、エルヴィス家で了承されれば初出荷ですよ。
いくらになるのかすらわかりません。」
「輸出は出来ない感じでしょうか・・・」
「欲しいのでしたらいくらになるかお知らせはします。
ですが、装置なので分解、複製がされるでしょうからね。
少し色は付けさせて貰いますよ。」
「そこは・・・わかっております。
見積もりも3台購入での代金でお願いします。」
「わかりました。
シモーナさん経由で連絡を入れます。」
「はい、よろしくお願いします。」
ブリアーニがそう言って頭を下げる。
と武雄は見守っているシモーナに近寄る。
「さてと、シモーナさん、お久しぶりです。」
「はい、お久しぶりでございます。
兄と姪がお世話になっております。」
「いえいえ、優秀な部下達を持ててありがたいですね。
それで今日の午後・・・昼食後の会談ですが、大丈夫ですか?」
「はい、お願いいたします。
魔王国への小麦等の輸入の件と米の輸出の件の報告になります。」
「わかりました。
直ぐに注文書等が出せるように準備はしています。」
「私共が断りの伝言だとは思わないですか?」
「それはそれですよ。
シモーナさんが来た時点で注文が来たのかぁ程度に思っているだけです。
それなりの量でしたので事前の調整は済んではいますが、無ければ無いで私達に取って不利益になるような事ではないですしね。
売れたら利益になり、売れなかったら今と変わらない。
何も損はないですよ。」
「そうですか・・・では、後ほど。」
「はい、後ほど。
ヴィクター、あとは頼みます。
私は屋敷に戻って打ち合わせしていますから。」
「はい、畏まりました。」
ヴィクターが頷く。
「では、ダニエラさん、カールラさん、またあとで。」
「後ほど~。」
武雄とアリスが去っていく。
「あ、はい、またあとで。」
「その後の話合いもお願いします。」
ヴァレーリとブリアーニが見送る。
「・・・はぁ・・・いきなり走り出したのは悪印象でしたね。」
ヴィクターがボソッとヴァレーリ達の後ろで呟く。
「仕方あるまい、逃がしてなる物かと思ったんだ・・・です。」
「ええ、ここで会ったが機会到来です。
こういうのを機を見るという事でしょう?」
「それは・・・たぶん違うと思われますが。
まぁ良いです、昼食後の会談の為に一旦、戻りましょう。
ご用意もあるでしょうし。」
「ないと思いますが。」
「特にやる事ないですよね。」
ヴィクターの急かしに2人は動じない。
「シモーナがあるのですよ。
落ち着いて話す内容も考えないといけないんですし。
ほら、行きますよ。」
「「はーい。」」
ヴィクターが2人を動かすのだった。
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魔王国一行から去った武雄達はというと。
「危ない、危ない。
米の使い道を聞かれる所でした。」
「言ったら最後、そのまま夕食までとなったでしょうね・・・危ないですね。」
武雄とアリスは玄米精製機よりも夕食に便乗される事を恐れていた。
「想定では夕食はなしとなっていましたからね。
食材が足りないでしょうからね。
事前に言って貰わないと準備は出来ませんからね。」
「米については準備は朝言って貰えれば昼過ぎには出来ますかね?」
「そうですね。
それに魔王国一行に合わせた料理も考えないといけないですしね。
カレーを単品で出すのも違うでしょうからね。
お肉にスープにサラダかぁ。」
「料理長と話し合って決めないといけないですね。」
「ん?・・・私の精霊がダニエラ様の精霊が周りに居なかったのを気にしていますね。」
「あぁ、私の精霊も似たような事を言っていますけど。
私達と同様に姿を隠しているんでしょう。
タローマティさんでしたか?」
「ええ、確か敵対しているテト殿も居ますしね。」
「それは私達のみの情報ですからね。
向こうからすればどんな精霊が居るのかはわかってはいませんからね。
まぁこっちの素性はわかっていないでしょうけど、危機感を持って対応するのは正しい対応方法でしょうね。」
「そうですね。
あ、さっきの米の話ですけど、会談の際に料理を見せて欲しいと言われたらどうするんですか?」
「・・・屋敷内は子供達も居るしなぁ・・・客人を厨房に入れるのも些か嫌がられそうだし、そもそも狭いし。
明日の昼ぐらいに私が出向いて料理の打ち合わせぐらいですかね。
チキンライスくらいは教えても良いかもしれませんが。」
「カレーは流石に契約的に教えられませんものね。」
「チキンライスで勘弁して貰いますかね。」
武雄とアリスは過度な要求が出ない事を期待するのだった。
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