第1888話 211日目 明日の予定を考えよう。(何しに来たんだろうね。)
「・・・主、一言よろしいでしょうか。」
これまでの経緯を聞いたヴィクターが武雄に向かって聞いてくる。
「ええ、構いませんよ。」
「失礼ながら・・・主、やり過ぎていますね。」
「・・・皆にそう言われるのですけどね。
至って本人はその場で対応しただけなんですけど。」
「はぁ・・・昔魔力溜まりが何かしらの原因で暴走してその地をレッドドラゴンのリツ様とビエラ様によって事なきを得たというのは昔の事ですから何も言いません。
ですが、その地の魔力溜まりを封印してくるというのはやり過ぎです。
伯爵様と打ち合わせをしてリツ様の移住を実施、その後に王都の騎士団が対応する事です。
何も主が少人数でしてくる事ではありません。」
「うん、出来ちゃったんですよね。
次回はもっと上手くしてきますね。」
「はぁ・・・まぁ、言っても聞かないのが主でしょう。
リツ様の移住は先ほどの説明では試験小隊の訓練場の奥にとの事でしたが。
実施の前にリツ様にご確認した方が良いでしょう。」
「確かに。
ビエラ、お願い出来ますか?」
「はい!あ・・・あ~?」
「主、ビエラがこの地に呼ぶ方が楽かな?と言っていますよ。」
ミアが言ってくる。
「そうですね・・・魔王国一行が去ってから打ち合わせをしましょうか。
それまでに予定地の簡易地図が欲しいですね。」
「タケオ様、その辺はビエラ様より大まかにお聞きしております。
今日明日でないので打ち合わせまでに簡易的な物をお作りしておきます。」
フレデリックが言う。
「はい、お願いします。
ヴィクター、アリスと鈴音に生理用品の試作を任せます。
当分は私の方のお小遣いから捻出します。」
「はい、畏まりました。
何かあった際は対応いたします。」
「うん、お願いします。
それで・・・ダニエラさん達は元気なんですね。」
武雄が確信を得ているように言う。
「ええ、主、どうして『元気か?』と聞いてこないのですか?」
「ヴィクターが対応している事は知っていますが、元気が無かったら真っ先に報告に来るでしょうよ。
何事もなく今戻って来た時点でダニエラさん達は元気だという証拠です。」
「その通りです。
主、その辺の話をしてもよろしいでしょうか。」
「うん、何かわかりましたか?
まぁそもそもは魔王国からの小麦等の輸出見積もり依頼の返事ですね?」
「はい、お断りであるのなら文章で済ますかもしくは私と打ち合わせをして終わりの所をシモーナが来てさらに主が数日で戻る事を伝えると直接会う事を決めました。
状況的には魔王国から穀物の輸出の依頼が来たと考えてよろしいと思います。」
ヴィクターが言う。
「そうですね。
エルヴィス伯爵家の方は私達からの発注後にすぐに動けるようになっています。
それで・・・ダニエラさんが来たのはなぜなのでしょうか?
休暇を満喫する為であれば嬉しいのですが。」
「1つは魔王国で行っている事の概要の説明のようです。」
「そう・・・ですか。」
「表向きは休暇でありますが、直接来たという事は非公式に何か伝えたい事があるのだろうと思います。
ちなみに主と伯爵様にとの事です。」
ヴィクターが言う。
「え~・・・わしもかぁ、タケオの付き添いで良いんじゃがの。」
「タケオ様、明日の午後でしたら私共も問題はありません。」
エルヴィス爺さんが面倒そうな顔をさせるが、横のフレデリックが言ってくる。
「・・・ふむ・・・ヴィクター、王都に報告が必要な内容でしょうかね?」
「わかりかねます。
今までこのような事はしておりませんでしたので・・・ですが、国として教えたいのであれば主と伯爵に直接言うよりも書簡で済ませるのではないでしょうか。
今回非公式で直接会うという事は私達にとって教えておいて損はない事ではありますが、文章として残すのは些か憚られるという内容なのだと推測します。」
「文章化すれば誰かしら見てしまう事は避けられない、知られてしまうと向こうの国内かこっちの国内がざわつく。
だから直接言う・・・直接言うので証拠は残らない。
王都に掛け合うのには証拠が不十分だから報告はされないか・・・普通なら。」
武雄が考えながら言う。
「そうじゃの、普通の貴族であれば向こうから口頭のみで伝達されたことを王都に報告するのには余程の説明力が必要とするだろうの。
下手をすれば内通が疑われるかもしれぬ、それを押し切れるほどの説明が出来ればというとこじゃの。
じゃが、タケオと王家との繋がりがあるからの。
8割がたは信じられるじゃろうの。」
「一応、陛下とオルコット宰相には魔王国向けの情報収集は任せると言われていますけどね・・・
内容によってはまた王都かなぁ・・・魔王国に行きたいんだけどなぁ・・・」
武雄が面倒そうな顔をさせながら呟く。
「ふむ・・・どちらにしても聞いてみない事には判断が出来んじゃろう。
緊急を要する内容ならすぐにタケオは王都に向けて動くべきじゃ。
じゃが、肝心の魔王国陛下が楽しんどるようじゃし、あまり緊急性はないという事かの?」
「そうですね。
ヴィクター、明日の午後に会いましょう。」
「はい。
具体的には何時ごろでしょうか。」
ヴィクターが聞いてくる。
「フレデリックさん、午後の・・・2時ぐらいにこの屋敷にお迎えしたいのですが、良いでしょうか。」
「屋敷側の準備時間としては問題ありません。
主、どちらで会われますか?」
フレデリックがエルヴィス爺さんに聞く。
「ふむ・・・商隊と会うというのが建前だからの。
・・・客間で良いじゃろう。」
「では、2時にお迎えできるよう準備はいたしましょう。
その際のスイーツはどういたしましょうか?」
「・・・こし餡じゃの。
あれなら驚かれるじゃろう。」
エルヴィス爺さんが言う。
「あ~・・・その後の質問攻めが怖いですね。
ヴィクター、魔王国からの輸出依頼の内容が問題なければすぐに発注します。
文書を作っておいてください。」
「はい、畏まりました。」
「アリス、ビエラ、発注をする際に一旦研究所にシモーナさんと向かって貰うかもしれません。」
「はい、ダニエラさんとカールラさんを残すのですね?
・・・大丈夫ですか?」
「たぶん大丈夫ですよ。
そもそも個人を狙う必要すらない最強兵団を持つ国家の人達ですよ?
こっちを攻撃するつもりならさっさと武力侵攻をしていますよ。
さ、じゃあ明日の大まかな流れを考えましょうか。」
アリスの心配に武雄がにこやかに答えるのだった。
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