第1886話 リツの引っ越し先を考えよう。(玄米精製機が完成間近。)
エルヴィス家の客間。
武雄がレッドドラゴンの事を話していた。
「ほぉ・・・王都の近郊に居るレッドドラゴンがの。」
「ええ、王都ではもう移動するのだろうと考えて動き始めています。」
「ふむ・・・まぁビエラ殿も居るしクゥ殿も居る。
今更増えた所で我が家は問題ないのじゃが・・・領民がどう出るかじゃの・・・」
「冒険者組合に言って討伐依頼は出さない方向でお願いするしかないでしょう。
あとドラゴンの名を騙った詐欺行為の取り締まりを強化して・・・タケオ様、ドラゴンの棲みかをどこにお作りになる予定でしょうか。」
フレデリックが聞いてくる。
「最初はクゥに人工湖の中央に作る小島に住んで貰って魔物除けをしようと思っていましたが、クゥも随分とこの屋敷に馴染んで居ますし。」
武雄がそう言いながらクゥを見る。
「きゅ?きゅ~。」
「主、クゥはこの屋敷に居つく気でいますよ。」
ミアが呆れながら言ってくる。
「ですね。
まぁそこは良いんですけど。」
「良いんですか・・・」
アリスが武雄の言葉に呆れる。
「だって、住みたいのでしょう?
成獣になったら無理ですが、それまでは居てくれて構わないと思いますよ。
それに考えたら人工湖の真ん中では私達が遊びにいけないんですよね。
いちいち船を出すのも面倒ですし。」
「まぁそうじゃの。」
「なので、今試験小隊の訓練場の横に夕霧達の棲みかがありますが、その隣接地にドラゴンの棲みかを作れればなぁと思います。
あわよくばドラゴンがいるので裏城門付近に魔物が近寄らない可能性が高くなりますしね。」
「ふむ・・・裏城門は森が広がっているからの。
フレデリック、どうじゃ?」
「そうですね・・・ゆくゆくは街の拡張工事は必要でしょうが・・・表通りの城門の方を拡張する事で街道との利便性を更に高める方が有益と思います。
裏城門の方の拡張は当分は先になるでしょう。」
「ふむ・・・拡張するにしてもスミスが当主になった頃の話じゃろう。
わしとしては裏城門周辺の地域は保護地区として森林を残すのが良いと思うの。」
「そうですね。
街が拡張するにしても森林が街中にあるのは良い事かもしれません。
まぁ夕霧様達とクゥ様とリツ様の棲みかを守れるようにするのは国益になるとも思います。
それと夕霧様方の体液事業の初回の清算が済みまして夕霧様方の収入が少しあります、タケオ様、如何しますか?」
「夕霧達の棲みかの森の保護に役立ててください。
もしくは積み立てをしておいて後々棲みかの拡充をお願いします。」
「わかりました。
まずは夕霧様方の棲みかの完璧な区画を整備する為に計画を立てます。」
フレデリックが頷く。
「夕霧、それで良いですか?」
「ん、そこはタケオと伯爵に任せます。
私達はお金を貰っても使いようがありません。」
「そんな事ないでしょうけど・・・わかりました。
基本は今後も棲みかの保護に役立てていきましょう。
レッドドラゴンのリツの方ですが、エルヴィス伯爵領滞在費として王都から月々金貨4枚の48枚が頂けます。」
「ほぉ、貰ってきたのか。
良く王都が出した物じゃの。」
「リツを預かるんですからそのぐらいの報酬は欲しいでしょう?
一応、私の客将扱いで個人的な方に振り込んで貰っています。
後でフレデリックさんに渡します。」
「ふむ・・・まぁやる事は森の区画を整備して立ち入り禁止処置でしょうね。
金貨30枚程あれば保護地区維持と毎年の告示をしておきましょう。
まずはレッドドラゴンの棲みかの選定ですね。」
「はい、お願いします。
ビエラ、フレデリックさんにリツの要望を言ってください。」
「はい!ミア!」
「はいはい、私が通訳しますよ~。」
武雄達はリツの引っ越しの段取りを始めるのだった。
------------------------
ステノ技研の奥の部屋。
「・・・出来たな。」
「「ええ。」」
ブラッドリー、ベインズ、ボイドが玄米精製機を見ながら頷いている。
「爺ちゃん、根詰め過ぎだよ?もう寝なよ。」
サリタが顔を出す。
「サリタ!出来たぞ!」
「・・・うん、何が変わったのか今一外見からはわからないけど・・・
前言っていたけど予定通り木臼への取りこぼしが3割から低くなったの?」
「ああ!1割にまで低くなった!」
「え?それは凄くない?
凄い改善が出来たという事かぁ。
でもキタミザト様が納得するかなぁ?」
「「「・・・」」」
3人の親方が黙る。
「まぁ1割の取りこぼしでも十分だよね。
どこを改造したの?」
「1つ目と2つ目の木臼の投入口の改良と木臼の周りから零れないように板を囲わせてある。」
「それだけでそんなに改善したんだ。
私もっと大事になると思ったわ。」
「まぁ木臼周りでの零れる量をどう抑えるかの検討だからなぁ。」
「それにもっとがっちりと囲うという手もあったんですけどね。
木臼を回す力が相当必要になってしまってね。
少し隙間を開けているんだよ。」
「囲っている板が木臼と擦れて大変じゃったの。」
3人が遠い目をしながら言う。
「うん、いろいろ試した結果なのね。
で、これが第一弾として出せるんだね。」
サリタが言う。
「あぁ、まだ手回しだが基本構造はこれで問題ないだろう。」
「サリタ、明日スズネに言って米で試験出来るかの確認を取るのじゃ。
キタミザト様が不在だからな、スズネにある程度米の使用権限があると思うからの。」
「あ、スズネが言っていましたけど、キタミザト様、今日お戻りになったって言ってたよ?」
「「「なぬ!?」」」
「スズネとテイラーさんは数日、ここに待機らしいから・・・あ、スズネに言って精霊で連絡して貰おうかな?」
「うむ、そうしてくれるかの?」
「わかった、じゃあ、爺ちゃん達、もう寝てね。
自慢は明日聞いてあげるから。」
サリタが自室に帰るのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




