第1882話 武雄達は休憩に。(ヴァレーリ達は観戦に。)
武雄とアリスの寝室。
「ん~・・・2時間誰も来ないのですよね。」
アリスが考えている。
「わざと伝えてくれたのでしょうね、その意図はなんだと思いますか?」
武雄がラフな普段着に着替えながらアリスに聞く。
「それを私が言うのですか?
ど・・・どうしますか!?」
アリスがなんだが期待の籠った眼を向けて聞いてくる。
「その言い方だと私が主導権を握って良いと?」
「あ!ん~・・・それはそれで怖い気もしますが・・・
きゃぁ!?」
アリスが悩んでいるので武雄が抱っこをする。
「むぅ・・・もうタケオ様の手の上になっています。」
アリスが顔を若干赤らめながら呆れている。
「ははは、私も禁欲生活だったのでね。
待てないのですよ。
じゃ、頂きます。」
「お召し上がりあれ~♪
あ!ちょっと待ってください!タケオ様!ベッドにこの体勢では危ないです!」
「平気ですよ、ゆっくり降ろしますから。」
「本当にゆっくりですよ!?ゆっくりですよね!?」
「当たり前でしょう?私がアリスを投げるわけないんですから。」
「よろしくお願いしま~す♪」
武雄達が一時の休息を得るのだった。
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ラルフの仕立て屋にて。
「なら!我が国で製作と販売の許可をお願いします!ついでに魔王国向けにも輸出許可を!
相応の技術提供料は支払います!」
ブリアーニがラルフに食いついていた。
「その件は私の一存では・・・キタミザト様にお聞きしないと・・・」
「店長殿はどう思われます!?
あくまで私的な本当に私的での考えでは!」
「・・・私的にですか?
実際に魔王国向けには少量程度なら出来ますけど、カールラ様のおっしゃられている量は製造出来ません。
なら製法とトレンチコートの製法等を売ってブリアーニ王国で製造と販売をして貰う方がお互いに良いと思います。
ですが、このトレンチコートはキタミザト様発案のコート。
アズパール王国内での製作は私達のみに許されておりますし、我が国の王都で同じ物が製造され難いようになっています。
まぁもちろん流通価格が王都で少量を作るよりも安くさせて頂いているというのも要因ではありますね。」
「という事は店長側からすれば技術提供は問題ないという事ですね。
あとはキタミザト殿を説得出来れば・・・」
ブリアーニが考える。
「ダニエラ様は参戦なされないのですか?
カールラ様はここが落とし処と考えていた節がございます。
ここで参戦すれば良い援護になると思われます。」
ヴィクターがヴァレーリに聞く。
「個人としては面白い商品だと思う。
だが、軍の備品は我がどうのこうのする物ではない。
それにカールラがああも頑張っているんだ、後はキタミザト殿が『うん』と言えば上手く行くだろう。
なら、我らは今回数点持ち帰り、幹部でその趣旨と予算を吟味し、欲しいならカールラの所とこちらに相見積もりを取って安い方から買うか、同時に同数を買って価格を抑えるか、カールラの所だけから買うか・・・後々のやりようはいくらでもあるだろう。
カールラが善戦してくれる事を祈ろうか。
出来れば、そこにある新商品のステテコとダウンベストも作れるようにしてくれると良いな。」
「確かカスト殿が人間形態になった際に寒いとか愚痴を言っておりましたね。」
「え?そんな事を言ってたのか?
同じ自毛を有していると考えるならヴィクターもそうだろう?」
「私は常に人間形態ですから・・・特にありませんね。」
「ヴィクターはいつ成獣形態になっているんだ?」
「・・・前回は・・・あれ?いつでしたか?・・・2年前の慣例の戦争で移動している時ですかね。
戦闘もしませんし・・・あ、訓練でなら1年程前に。」
「随分と昔だな。
だが・・・ヴィクター、お前成獣形態になる意味あるのか?」
「ありませんね。
今の仕事も必要ありませんし。
そういえば魔王国側から来て道中に狼とか居ましたか?」
「うん?・・・不思議な開けた場所を見つけたが、魔物は居なかったな。
まぁ我とカールラも居るし、近寄っては来ないだろう。」
「あ、そうでしたね。
失念しておりました。」
ヴィクターが頷く。
「なんだ?その納得の仕方は?」
「ダニエラ様、一人で旅をしていて討伐依頼受けなかったのでしたよね?」
「あぁ、随分前に言っただろう?
オークやゴブリン、狼といった討伐対象と遭遇出来ないからな。」
「まぁ・・・ダニエラ様なら逃げますからね。」
「根性がない魔物共だ・・・薬草を採取するのが旅での金策だな。
盗賊をとも思うんだが・・・証明出来る物が残らなくてなぁ。」
「やり過ぎなんですよ。」
「キタミザト殿は受け止められる程度の力なんだが。」
「主は人間種として最上位ですよ?
基準がおかしいですね。」
「わかっている。
だから、薬草採りをしていたんだ。」
「退官後は薬草採りを?」
「なんだかそれだけ聞くと世捨て人だが、気ままに旅をする。
この地に向かってのんびりとな。」
「本当に来るのですか?」
「なんだ?その嫌そうな顔は?」
「ダニエラ様が来ると問題が起きそうでして。」
「我は安穏な生活を夢見ているのだ。
問題なんか起こすわけなかろう。」
「・・・だと良いのですが・・・まぁそれはまたいずれ考えましょう。
で、ダニエラ様、カールラ様をどうしましょうか?」
「あ~・・・まぁ・・・結局はキタミザト殿に伺うしかないんじゃないか?」
ヴィクターとヴァレーリは目の前のやり取りが終わるのを待つのだった。
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