第1880話 米の選別機?(ブリアーニ王国の要請。)
「で・・・その危険大剣はテト専用という事で良いとして。」
「ふむ・・・そうだな。
タケオ、折角、高速微振動のカラクリが出来たんだ何か作ってみるか?」
「微振動で・・・ですか・・・
・・・あ・・・ん~・・・」
武雄が何か思いついたが軽く悩み始める。
「うむ、どうした?」
「いえ・・・唐箕を使っての玄米作りの機械は出来ましたけど、まだゴミは入ってしまいますよね?」
「まぁ・・・そうだな。」
「なので・・・米とゴミを仕分けするのに微振動を使えませんかね?」
「・・・ほぉ、中々に良い着眼点だな。」
ニオが感心する。
「玄米と籾、ゴミでは重量が違いますよね。
インスタントコーヒーとかで粒が微妙に違う物が入っていますけど、瓶に振動を与えると下に細かい物、上に大きい物が集まります。
あれって・・・うん、使えると思うんです。」
「うむ、振動を与えると粒子が大きい物が上に、細かい物が下に集まる現象だな。
比重選別機の原理だな。」
「あ、あるのですね。
なら、唐箕から出たのをゴミと玄米に選別出来れば作業時間が短く出来ませんかね?
若しくは唐箕にかける前に実が入っているのとそれ以外との選別とか。」
「うむ、試行錯誤は必須だが、出来るだろう。
それにこの地の環境では・・・完全に選別は出来ないと思うぞ、良くて8割・・・9割だと思うな。」
「完全でなくても8割のゴミが取り除けたらそれだけでもその後の選別作業が楽になりますよ。
あ、それに試作なのでまずはそこまで大規模でなくて良いですからね。」
「うむ、ならテイラーに言ってステノ技研に作らせよう。
まぁテイラーが頭になってやれば良いだろう。」
「また酷使してしまいますね。」
「テイラーは最近タケオからの注文が無くて暇そうにしていたからな、武器ではないが喜んでやるだろう。」
「必要な資金は後で提供します。
鈴音に伝言をお願いします。」
「うむ、わかった、テイラーに見積もりを作らせて、後で届けさせよう。」
ニオが頷く。
「あ、武雄さん、もう帰るのですか?」
鈴音が奥からやってくる。
「ええ、部屋の片づけ終わったのですか?」
「終わりましたよ。
今日は出勤しなくていいとなっているのでテイラーさんも一緒に自室の整理出来ました。
テトちゃん、仁王様、終わりました。」
「うん。」
「そうか、ならチェックしに行こうか。」
テトとニオが言う。
「なら、私達も帰りますか。
報告事項がお互いにあるのでね。」
武雄が席を立つ。
「うむ、気を付けてな。」
「はい、落ち着いたらまた来ます。」
武雄達が店を後にするのだった。
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ラルフの仕立て屋にて。
「ん~・・・ヴィクター、どうなんだ?」
店の端のテーブルでお茶を飲んでいるヴァレーリがカウンターの方を見ながら横に居るヴィクターに聞く。
「さて・・・私ではなんとも出来ません。」
ヴィクターが困ったようにその光景を見ている。
店のカウンターでは。
「なら!ブリアーニ王国へ緑のトレンチコートLLサイズを2000着で!10月までに!」
「で・・・ですから現在、月の生産量がなんとか90着なんです。
今現在も他方からの注文も頂いており、皆様もお待ちになっております。
そこにねじ込む訳には・・・相手の身分で発注の期間を変えておりません。
なので、来年以降の納品になります。」
「なるほど!全国民50000着もお願いします!
これなら10月までに2000着やってくれますか!?」
「お客様!ありがとうございます!無理です!」
「くぅ~・・・商売上手ですね!なら60000着にしましょう!」
「お客様!?そういう事ではございません!」
ラルフとブリアーニがトレンチコートの発注でやりあっている。
ブリアーニ王国の護衛達も止めたり、まとめたりする文官が居なくてオロオロ見ている。
「なぁ、ヴィクター、あれって悪手だよな?」
「はい。
そもそもラルフ様のトレンチコートの生産能力は月50着程度だったのをここ数か月で90着まで上げ、今年の冬に向けての新商品も順次作っている状況なのです。
工場を設立し、生産効率を上げてこの数字を達成しているのですが、賞賛されるべき商才と覚悟の持ち主なのです。
・・・工場の稼働もしっかりと管理されているお方なのです。
その方が無理な物は無理と言うなら本当に無理なのでしょう。」
「となると・・・カールラの方が折れないとだな。」
「はい。
ですが、2000名分という事は戦争時の兵1200名に文官の数でしょうか。
配下用という事なのですかね?」
「そういう事だろう。
トレンチコートの説明は受けたが、トレンチコートの考えが良いから配下に配りたいのだろう。」
「・・・なぜ急に欲しがるのでしょうか?」
「いろいろ事情があるのだろうよ。」
「・・・国民にも配るのですか?
トレンチコートは農作業には適さず、むしろダウンベストの方が良いと思うのですが。」
「そうだな、だが、カールラはその意気だな。」
「ふむ・・・とうとう魔王国改造でもしますか?」
「ヴィクター、お前は本当に施政者向きだな。」
「カールラ様は常々言っておりましたしね。」
「あ~・・・そうだったな。
・・・概要はキタミザト殿とこの地のエルヴィス伯爵に言いたい。
その為に来たようなものだしな。
会談の席は任せる。」
「既に準備に入っております。」
「そうだったな。
シモーナさんをどうするか・・・だな。」
ヴァレーリが思案するのだった。
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