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第1876話 とりあえず宿に押し込もう。(え?フローラ達も謁見しているよ?)

表通りにある高級な宿にて。

「・・・まぁ、ヴィクターが接待役ならしょうがないか。」

ヴァレーリが自分に用意されたそれなりに煌びやかな部屋に入って呟く。

「はぁ・・・やっと実体化出来ますね。」

タローマティがやれやれと身振りをしながら実体化してくる。

「・・・なぁ、なんで今回は実体化しないんだ?」

ヴァレーリがタローマティに言う。

「この地はあのキタミザト殿とアリス殿の精霊が居るんですよ?

 もしかしたら他にも精霊が居るかもしれない。

 あまり実体化していても観察されるだけですしね。」

「いや、前の話だとタローマティの事はあっちにバレているんだろう?

 今更隠れても意味ないと思うし、それにキタミザト殿の客として来ているんだ、襲われることはないと思うんだがな?」

「皆が皆、キタミザト殿の意見を尊重してくれるとは思えませんよ。

 冒険者に精霊が付いていたらどうするのです?

 貴族の統制は意味がないのですよ。

 今回は護衛がフレッディ指揮官やカスト伯爵よりも格が下です。

 ここで襲われたら街が危ないのです。

 なので私は基本的に実体化しない方が良いのです。」

「冒険者が商隊を襲うとは思えんがなぁ。」

ヴァレーリが首を傾げる。

「・・・でもこの街に来てわかりました。」

「何が?」

「精霊が居ます。

 複数いる感じですね。」

「それはキタミザト殿・・・は移動中だったか。

 アリス殿以外に・・・という事だな?」

「ええ、まだどこかまではわかりませんが。

 どうもこっちを監視していたみたいです。」

「していた?過去形か。」

「今は近くに居ません。」

「そうか。

 宿に入るまで見守られていた・・・か。

 ま、護衛は精霊だけじゃなさそうだがな。」

ヴァレーリが窓を見るのだった。


------------------------

ベルテ一家の家。

「・・・街に入って来たわね。」

「うん。」

ウカとダキニがボソッと呟く。

「うん?ダキニ、例のキタミザト様のお客様が街に着いたの?」

ニルデがダキニに言う。

「ええ、着いたわ。

 白胡と黒胡がこっそり見に行ってたのよ。

 ヴィクターが相手しているみたいだから順調なんじゃない?

 まぁアリスの言う通りに私達はいつも通りに過ごせば良いわ。

 何かあっても私とうーちゃんで何とかするから。」

「あ~・・・私戦闘無理だから。」

ウカが微妙な顔をさせながら言う。

「まぁ・・・うーちゃんはコノちゃんと同じで個々の戦闘ではなく殲滅が得意だからね。

 私だけかぁ、やる時はニオとテトが一緒なら大丈夫か。」

「そうね。

 やらない事を祈るわ。」

「だねだね。」

ウカとダキニが言い合う。

「女王陛下が着いたのか・・・ボーナ、問題はないな?」

「掃除は終わっているし、もし来るならアスセナさんにお菓子の用意をしてくれるように一応お願いしているし・・・うん、多分大丈夫。」

ドナートとボーナはやり残しがないか考えている。

「私女王陛下なんて見た事ないなぁ。」

「え?エンマも見た事ないの?」

「フローラだってないでしょう?」

「うん、エンマならあると思っていた。」

「ないない。

 ドナートとボーナは?」

エンマが親に聞く。

「何度かあったか?」

「そうねぇ、村長と一緒に王城に行った時に・・・あれ、最後何年前でしたっけ?」

「フローラが生まれたのを報告に行った時が最後か?」

「もうずいぶんと前ねぇ。」

「「ん?」」

エンマとフローラが両親を見る。

「あれ?知らなかったか?

 子が生まれたら女王に報告に行くんだよ。

 30年位前に隣が子供連れて行っていただろう?」

「・・・あ!あったかも!

 そういえばフローラ連れてボーナ達が出て行って、私置いてけぼり食らったからばぁちゃん家で泣いてたっけ。」

エンマが思い出したように言う。

「という事は・・・村長達が出かけるのって子供を女王に見せに行ってたの?

 いろいろ買って来てたから街に買い物に行っているのかと思ってた!

 皆お金に余裕ないし!村長がご祝儀で買ってくれるのかと!」

フローラが言う。

「まぁ、そうね。

 資金的に言うと今の方があるわね。」

「買い物もするんだがな・・・そうかそんな風に思っていたのか。

 まぁ別に女王に会ったとか子供に言う事でもないんだがな?」

ボーナとドナートが言う。

「え?そうなの?

 凄い事でしょう?」

「まぁ凄い事なんだが、特に子供を見せて祝福されて・・・式典だからな。

 特に子供達に何か言う事でもないし、特別面白いわけでもないしな。」

「そうなの?

 食事とかなにかないの?」

「式典終わったら村長と一緒に食べたわよね?」

「そのあと買い物だったよな。

 特に何か美味しい物を食べた気はしないんだが・・・」

「王都に何しに行ってたの?」

「式典だな。」

「子供達の買い物かな。」

ドナートとボーナが答える。

「・・・うちの親って女王陛下の事、敬っていないのかな?」

「うん、そんな気がした。」

エンマとフローラが言う。

「おいおい、何を言う、敬うのは普通だぞ。

 だが、式典は緊張していて、ついでに返事をする程度しかないし。

 特に話をする事はないんだよ。」

「そうよ、女王陛下には出産した事は報告するけど、特に雑談とかしないのよ。

 一国の女王と農民が話すわけないでしょう?

 私達は式典に出て、買い物して戻るだけよ。

 だから他の親達も子供達に何か言う訳ではないの。」

「「ふ~ん。」」

エンマとフローラが頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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