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第1868話 208日目 魔王国一行、目的が変わりそう。(武雄と夕霧の約束。)

「まぁ・・・そのピザというのは向こうに行った際に食べ比べしながら楽しむとしましょうか。」

ヴァレーリが言う。

「あの・・・ダニエラ様?・・・食べ比べですか?」

ソルミが恐る恐る聞いてくる。

「ええ、多様と言っても数が知れているでしょう?」

「はい・・・ちなみにですが、何軒だとお思いですか?」

「そうだなぁ・・・6軒・・・・いやソルミが多様にあると言いましたね。

 なら10軒でどうでしょう?」

「4倍程足りませんが・・・」

「「え?」」

「表通りと裏通りに面しているほぼすべての店でしています。

 酒場、レストラン、パン屋。

 まぁ味は重複しているとは思いますが、街全体で同系統の料理を出しているのです。」

「おぉう?それは・・・メイン通りだけとは考え辛いですから・・・街全体でとなりますよね。

 それはなぜでしょう?

 何かきっかけがあったのでしょうか・・・」

「エルヴィス伯爵の手腕かと。」

「ん?・・・そこで伯爵が?」

「はい、ピザもエルヴィス伯爵がレシピを公表したと聞いています。

 そして次なる予定があると告知されているようなのです。」

「・・・カールラ、これは!」

「ええ!良い時に私達は来ましたね!

 国に良い知らせが出来そう!」

ヴァレーリとカールラが「良い休暇になる」と喜ぶ。

「次は鶏肉と卵だという事です。」

「・・・鶏肉?あの鶏肉ですか?」

「鶏肉料理は確か焼くか煮るか・・・どんな料理が公表されるのでしょうか。」

ソルミが言うと皆が悩む。

「はい、その部分はまだ未達のようでして、街中がピザを楽しみながらも次の鶏肉料理を楽しみにしておりました。」

「へぇ・・・ちなみにそれはいつ公表されるのですか?」

カールラが聞いてくる。

「そろそろだろう・・・とは店員が言っておりましたが。」

「明確な日にちがわからないという事ですか?」

「店員ではまだわからないという事でしょう。

 それにレシピが公表されてから試作をして商品として出せるまで時間がかかりますからね。」

「なるほどなぁ・・・上手く行けば私達が居る内に何かしら商品が出るというわけですね。」

「ダニエラ、楽しみが増えるという事ね。」

「そう捉えるのが良いでしょうね。

 シモーナさんは楽しみですか?」

「ええ、楽しみです。

 でも作り方等々は私がと言うよりも後日違う者が調べに行った方が良いでしょうね。」

「そうですか、いや~、キタミザト殿が居ないと知った時は時間が余ると思いましたが。

 これではゆっくり帰ってこられてもその間に食べきれないなぁ。」

ヴァレーリがにこやかに言う。

「毎日食べすぎちゃいそうだなぁ。」

ブリアーニがヴァレーリを見ながら呟くのだった。


------------------------

クゥの元棲みかにて。

皆が早々に仮眠につき、焚き火の所には武雄と夕霧が居た。

「そう言えば・・・最初に夕霧に会った時も森の中でしたか。」

「ん、正確には森を開いた地でですね。

 あの時はニオも居ましたが、こんな風にタケオがスープを作っていましたね。」

「あれからそれなりに見聞きして体験しましたが、どうですか?」

「人間は不思議です。

 美味しい、不味い、笑い、悩み、怒り、悲しむ、他人に対してもそう・・・それを何代、何十代と繰り返しているんです。

 ・・・歴史というのを見ました。」

「あぁ~、見ちゃいましたか。」

「戦いを繰り返し、支配地域を大きくする。

 そのくせ領土を侵されたら怒る。

 それに他の魔物達でここまで居住性を求める種族はあまりいません。

 森を切り開き、畑を作り家を作り、村を作る。

 子供が増えればまた支配地域の拡大をする。

 その繰り返しです。」

「そうですね。

 それを代々重ねる事で人が組織として動けるようになります。

 食文化もそういう物です。

 まず人が集まれば、短時間で出来る食事を作り始める。

 集まった人が魔物との境界を作り、安心する時間が増えれば、味の良い食事を作ろうとする。

 味の良い食事を作れればこの場所を守ろうと人が集まる。

 そして集まった人の為に手の込んだ料理が作られ始め、それを求めて人が集まる。

 そうやって人の生活と言うのは発展してきたのです。」

「ん、確かに人間が集まり生活をし始めると次第に大きい物が作られていきます。

 伯爵の所の街がそうであるように。

 そして安心の為に街を囲って壁を作った。

 私は伯爵の町が村から始まったのを見ていた。

 どんどん大きくなっていく。

 たぶんこれからも大きくなる。

 そこに私達の棲みかはあるのでしょうか?」

「ありますよ。」

武雄が夕霧の問いかけに即答する。

「大丈夫ですよ。

 少なくともエルヴィス伯爵も私もスミス坊ちゃんも夕霧達を追い出そうとは思っていません。

 街を大きくするにしても夕霧達の土地を移動させてとは思わないでしょう。」

「ん、それは私達が伯爵に協力しているからですか?」

「ええ、そうです。

 私が今夕霧達にお願いしてスライムの体液を分けて貰い、関連事業を推し進めているのもそうです。

 夕霧達を迫害したなら今作っている商品が手に入らないのですからね。

 夕霧達は迫害する対象ではなく、共存共栄をする相手なのだと伯爵達に認識して貰っているのです。

 もちろん夕霧達にも人間種の・・・だけではないですね。

 少なくともエルヴィス家とキタミザト家の人達は信用して貰えるよういろいろな約束事を作り、それを守る事でまずは信用して貰えたらと思っています。

 それにお互いに一緒に生活をし、スライムが近くに居ても違和感が無いようにしているのです。

 効果はありましたか?」

「ん、歴史というものは残酷、冷酷、綺麗事。

 でも伯爵やタケオ達は安心して一緒に過ごせる。

 今後もこの関係は続けたい。」

「はい、それは私もそう思っています。

 お互いに気を使いながらもして欲しい事を言い合い、してあげれる事をやっていきましょう。」

「ん、タケオ、よろしくお願いします。」

「はい、よろしく。

 でも、なんだか、私の方が夕霧達にお願いしている事が多い気もしますからね。

 その内、恩返しをします。」

「ん、タケオの恩返しというのはわかりませんが、何かしてくれるのなら待っています。」

「はい、わかりました。」

武雄と夕霧の話は朝まで続くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] >歴史というものは残酷、冷酷、綺麗事 「人々」は残酷である、 しかし「人」は優しい。      (『迷える小鳥』ラビンドラナート・タゴール) 作品世界は、多かれ少なかれ、 現実世界の鏡…
[気になる点] あぁ・・・・・やっぱり・・・・・ > そこに私達の棲み処はあるのでしょうか?」 そりゃあ、気になりますよね・・・・・ >「ありますよ。」 >武雄が夕霧の問いかけに即答する。 >「…
[一言] とりあえずスミスさんの世代は大丈夫。その次、さらにその次とスライムとの関係を続けていけるのが一番の理想なんだろうなぁ……
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