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第1862話 武雄の考え。(いつものメンバーの酒盛り。)

「それはとっても面倒ですね。」

マイヤーが言う。

「そう、面倒ですね。

 でもこのぐらいしないと製造権利を全面に出しての相手からの賠償はもらえませんよ。

 向こうが『ずっと昔から作っている』と言われたらそれまでなんですし。」

「ん~・・・それは・・・皆が言いそうですけど。」

「ええ、なので既存技術ではそう言った交渉は出来ません。

 あくまで新技術に対してのやり方ですし、もう1つ言うのなら例えばエルヴィス伯爵領のみでしか生産出来ない部品を入れておくと真似はされ辛いですかね。」

「それはスライム関連ですか?」

「ええ、それも1つ。

 まぁもっともこれの最大の問題は相手方からも登録された場合に使用料を払わないといけないという所ですね。」

「ありとあらゆる物が登録されそうです。」

「ええ、なので登録についてする産業や物に制限を付ける事が一番ですね。

 料理で調理の登録なんてしてしまったら皆の食生活を著しく困窮させてしまうだけですしね。」

武雄が言う。

「ん~・・・難しいのですね。」

「これをするのならどういう物には製造方法の権利が存在するのかを基準化し法整備しないといけないんですよね。

 法整備する面倒があるのならまずは工房同士でやってみるというのが一番でしょう。

 国を入れないので違反されていたら個別に文句を言いに行くと言った程度の事しか出来ませんけどね。」

「委託生産は大変なんですね。」

「ええ、なので出来るなら領内の1つの工房で王国内の全注文が捌けたら良いのですけど。」

「ん~・・・入荷待ちの嵐になりそうです。」

「需要が高まれば工房を大きくするでしょう。

 当分はそうやって行くしかない・・・でもどこかで委託生産をしないといけない時期は来るとは思います。

 その時にまた考えれば良いというのが今の考えですかね。

 今は輸送コンテナが上手く商品になれば良いなぁと思うだけです。」

「移動を早くしようとすると色々と大変なのですね。」

「少なくともエルヴィス伯爵領の物を使えば早くなるというのにはそれほど時間はかかりませんよ。

 ベアリングも出来始めているのですから。」

「まぁ我々はローチ工房の出来を見ていれば良いという事ですね。」

「ええ、国内の他の工房がどう動くかとか、王都がどう動くかとかは皆さんが考えなくて良い事ですよ。

 使える幌馬車が出来始めているという事を知っておけば良いだけです。」

武雄が言う。


------------------------

エルヴィス邸がある街の酒場。

いつもの酒場にいつものメンバーが居た。

「・・・キタミザト様、帰ってくるって。」

モニカが暗い表情で呟く。

「ほほほ、モニカ、何を暗い顔をしているのでしょう?

 もっと明るく飲まなくていけませんね。」

ローも飲みながら言う。

「そうですよ。

 キタミザト様が戻るという事は仕事が進む可能性があるじゃないですか。」

ラルフが言う。

「ローさんもラルフさんも何もないだろうからそんな事を言って!

 ・・・なんかうちの所だけ注文多くない!?」

「まぁ・・・モニカの所は木材の仕入れと加工をしているしなぁ。

 一番派生商品が作れるからしょうがないんじゃないか?」

ベッドフォードが呆れながら言う。

「そうなる事は前々からわかっていただろう。

 俺よりも関りが深いんだ、モニカも諦めろ。」

キャロルが言う。

「ん~・・・」

モニカが唸りながらワインを飲んでいる。

「キタミザト様が来るとなるとコンテナの試作を終わらせておかないといけませんね。」

ローチがキャロルに言う。

「そうなるか。

 今日も組み上げを見せて貰ったが繋ぎ合わせの所がまだ上手く出来ないな。」

「職人の技術が・・・魔法師を雇いたくても職人になる魔法師は少ないですからね。

 上手くファイアの制御が出来る者が居れば良いのですけど。

 うちには生憎と居ないので。

 それにSL液をかけてファイアで炙るという工法も難しいのですよ。」

「まぁまだまだ試行錯誤が必要という事か。

 ・・・だが、威力がなくて良いんだ、ファイアが出来る程度の魔法が使えるとなれば少しはいるはずだ。

 もう1人くらいファイアが出来る者が居た方が良いんじゃないか?」

「幌馬車の工房に来たいと思う者は少ないのですよ。」

「ん~・・・そうなのかぁ。」

「元兵士や元冒険者も良いんですけど。

 職人になるには若いうちから仕事しないといけないですしね。」

「それは難しそうだな。」

「ええ、なので今はうちにいる者の熟練度が高まる事を期待して貰うしかないですね。」

「そうか。」

キャロルがローチの言葉に頷く。

「ベッドフォード、ソースはどうですか?」

ラルフが聞いてくる。

「おかげさまで毎日完売だ。

 この調子でいけば数年後には工場を増やせそうだな。」

ベッドフォードが言う。

「ふむ・・・ちなみに文官からの予定はどうなっているのですかね?

 あ、言える範囲で結構ですよ?ほほほ。」

ローが聞いてくる。

「ローの爺さん、一応今年の収穫を見てその後の増産計画が検討されるんだと。

 今の所、今年の増産分は今の工房で引き取れる量になると言われているな。」

「ふむ・・・そうですか。

 来年の他領への販売はもう少し量を少なくと考えておきますかね。」

ベッドフォードの言葉にローが考え始める。

「あ~・・・ローさんもベッドフォードさんも楽しそうね。」

モニカは「キタミザト様が帰ったら逃げようかな」と思いながら呟くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ローチ達も家内制手工業の思考ですね。 現代工業と魔法はどうしても相容れませんねぇ。 魔法という個人技能に頼っては、均一な製造や量産は難しいですね。だから職人は1品物の試作や特注には良い…
[一言] 王様への報告の話は次ですかね
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