第1860話 206日目 日常に戻る。(アロエ群生地発覚?)
寄宿舎。
「ただいま戻りました。
今、用意が終わったのですね。」
ジーナが寄宿舎の玄関に入るとちょうど王立学院に行く用意を済ませたスミスとエイミー、ドネリーが居た。
「ジーナ、おかえり。」
「おかえりなさい。」
スミスとエイミーが出迎える。
「えっと・・・どうしましょうか。
少しお時間を頂ければ私の用意は出来ますが。」
ジーナがスミスに聞く。
「まだ・・・うん、時間は早いですからジーナの好きにして良いですよ。」
スミスが懐中時計を見てジーナに言う。
「わかりました。
10分お時間をください。
用意してきます。」
ジーナが少し早歩きで部屋に向かうのだった。
「ふむ・・・何事もなくタケオさんは出立したようね。」
「そうですね。
まぁ馬車内は暇ですからタケオ様はいろいろ考えそうではありますけど。」
「それは・・・一緒にいると大変そうね。
次来る時にまた新しい物を持って来るかもね。」
「それだけだと楽しそうですけど、協力工房の苦労を思うと・・・」
「一緒に居なくても大変そうね。」
「僕達は学業に勤しむしかないんですけどね。」
「それもそうね。
スミスはそろそろ試験かしら?」
「エイミー殿下、入学してから今まで結構な量の試験をしているのですけど、まだするんですか?」
「ずっと続くわよ。結構な量の試験はするかな?
まぁ習った事の復習をさせるのに良い方法ではあるからね。」
「そうなんでしょうけど、結構大変ですよ。」
「まぁそうよね。
私達も大変だけど教師陣も採点に大変なんだけどね?
それにまだ1年生は雰囲気良いでしょう?」
「え?エイミー殿下、その言い方はどういうことなのですか?」
「ん~?簡単な話なんだけどね。
2年生になると試験に臨む生徒達が殺気立つのよ。」
「2年生でですか。」
「うん、成績上位から王城の希望部署が聞かれていくからね。
就職先に有利に働きかけるには成績上位である事が望ましいからね。
で、就職先が決まった後の3年生達は来年の事を考えてそれぞれ勉学を励むのよ。
といっても3年生でも就職先が決まるまでは試験毎に殺気立つんだけどね。」
「エイミー殿下の教室は殺気立っているのですか?」
「まぁ試験中ならね。
授業中は皆これといって問題無く真面目よ。
誰かの足を引っ張るとかは・・・表立ってはしていないわ。」
「あるのですか?」
「就職先が決まるという事は将来への道筋が見えるという事だからね。
自分のなりたい事の為に他者を追い落とそうと思っても致し方ないと思うわ。
まぁ毒を飲ませるとか暴力に訴えるとかは論外だけど、試験を通して競い合っているのよ。
多少他人の勉強を妨害しているのは見受けられるけどね。」
「勉強の妨害ですか?」
「放課後遊んだり、試験前に面白い本を貸したりとかね。」
「あぁ・・・なるほど。
注意する訳でもないのですよね?」
「そのくらいならしないわね。
どちらも断れるでしょう?」
「自分の意思に依るのですね。」
「そうよ。」
エイミーが頷く。
「お待たせしました。」
ジーナがやってくる。
「では、行きますか。」
「はい、エイミー殿下。」
スミス達は王立学院に向かうのだった。
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エルヴィス伯爵家の客間。
「え?・・・アロエがあるの?」
チビコノハが驚いている。
「コノハの書いたのと見た目が同じのなら東町の北の森にあるっスよ?
アロエって言うんっスか?」
時雨が首を傾げている。
「ん~・・・アリス、図鑑ある?」
「ええ、ありますよ。
持って来ますね。
えーっと・・・どこだったかなぁ。」
アリスが立ち上がり図鑑を探し始める。
・・
・
アリスが持ってきた図鑑を開き、時雨が見た植物を探す。
「うん・・・見た目はアロエね。
でも・・・生息地が暖かい地域とあるわね。
シグレ、それ本当にこれ?」
「見た目は一緒っスよ。」
「なんでこんな北にあるの?
・・・ちなみにシグレ、この植物の周辺はどんな感じなの?」
「温かい水が湧き出しているっスよ。
栄養価はないっスね。」
「あ、それ私も知っていますよ。
私も人伝ですけど、湧き出る水が白くて異臭がするとか言われているらしいですね。
タケオ様に言ったら保養地を作ろうかとか言っていましたけどね。
タケオ様と見に行こうと言っていたんですけど、バタバタしてて見に行けてないですね。」
「ふむ・・・温泉街か。
確かに人寄せにはなるわね。
シグレ、そこは遠いの?」
「人間感覚なら東町から2日かかるっスよ。
道ないっスからね。
街道みたいな道が出来るのなら馬で半日ぐらいっスかね?」
「ふむ・・・アリス、それ探しに行こうよ。
化粧水や火傷の薬の原材料、デザートの材料にもなるわよ。
それに鉢植えで育てられるから育った後は足しげく通う必要はないしね。」
「ふむ・・・ならタケオ様が戻ってから動けるように下準備をしてみますか。」
「あと連れて行く面子を考えないと。」
「家で栽培が出来るとなるとベルテ一家に任せたい所ですね。
誰か一緒に来て貰いましょうか。」
「エンマで良いんじゃない?
ついでにニルデとジルダも連れて行けば?」
「精霊をごっそり抜くのですか?
家の警備大丈夫ですかね?」
「ベルテ一家は皆が魔法をそれなりに使えるし、大丈夫じゃない?
あぁフローラも連れて行ってドナートとボーナの息抜きさせるのも良いんじゃない?」
「なるほど。
それも確認しますかね。」
アリスがコノハの提案に頷くのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
今日の15:00ごろに人物紹介を投稿します。
今後の展開で出て来る者も少々入れておりますからその辺はスルーをお願いします。




