第1855話 お土産を作り出す。(大事になって来た。)
「え?王都土産がないの?」
アルマが不思議そうに言ってくる。
「ええ、今後のエルヴィス家の施政で必要と思って店を回ってわかった事ですけどね。」
「王都しかない名所?・・・お城かな?」
「王都にしかないとなると結構数が絞られますけど。
建物や部隊でしょうかね。」
レイラとエリカが考えている。
「その名所にあるお土産が無いのですよ。
まぁなのでエルヴィス伯爵領に戻ってから検討ですね。
目新しいとまでは言いませんが、話題になるような物が欲しいですよね。」
「ふむ・・・タケオさん、それって私達も作った方が良いかしら?
あ、もちろん今ではなくて向こうでね。」
アルマが聞いてくる。
「第3皇子一家領でですか?
さて・・・私は旅をある程度一般的にさせたいと思っているので、土産という物を作って喚起させるのに使おうとは思っていますが。
アルマさん達も旅を推奨するという事ですか?」
「うん、領外からの金貨獲得は領地持ちにとっては考えないといけない事だからね。
タケオさんがなにやら人工湖辺りで何かするのは知っているし。
お土産という言葉で旅だと思ったのよ。」
アルマが言ってくる。
「まぁ・・・エリカさんには言っていますしね。」
「いえ・・・旅うんぬんは知りませんが、輸送船を使っている人達用の宿を作るというのは知っています。
タケオさんはそこに輸送業とは違う人達が来る為の仕掛けをするというのですよね?
それが旅をさせると。」
「ええ、そうです。
ミア軍団を使って町間の治安を安定化させれば行き来がしやすくなるというのが第1弾。
その後、王都からエルヴィス伯爵領までの治安を良くし、王都から高所得者の旅を喚起させるのが第2弾。
その後定期的に来てもらえるように何かするのが第3弾ですね。
第2弾の段階で何かしら、旅に行った事ない人達に自慢する物を用意するのが良いと思うのですよね。」
「うん、タケオさん、それ乗ったわ。」
レイラが言う。
「うん?レイラさんは何か思いついたのですか?」
「まず、王都―ウィリアム領間、王都―エルヴィス伯爵領間、ウィリアム領―エルヴィス伯爵領間の3つで旅行をさせるべきだと思うのよ。」
「王都から私達の所に来て、第3皇子一家領に行く、そして王都に戻るという事ですね。」
「逆でも良いかもね。
王都から馬車で来たらそれを輸送船に乗せ、エルヴィス伯爵領に向かう。
そしてそこから馬車で王都に戻る。
そうすれば飽きられないし、国民には大冒険に近いわよ!
これは行けると思うわ!」
レイラが言ってくる。
「レイラ殿下、エルヴィス伯爵領はミア軍団が管轄して地域内の大部分の治安維持をするのですよ?
当方の治安の問題があるのですが。
それに輸送船を扱っている人達が人を乗せるリスクを取るのか・・・」
エリカが言ってくる。
「それはそれよぉ。
でも旅を身近にさせるのならうってつけだと思うわ。
兵士と冒険者には街道の治安維持を定期的にして貰ってさ。
輸送船の安全性はタケオさんが何とかしてくれると思うし。」
レイラが楽しそうに言う。
「レイラ、それよりもタケオさんが考えるエルヴィス伯爵領のお土産と私達の領内でのお土産が被らないように考案しないといけないわよ?
どうする?」
アルマが言ってくる。
「・・・あぁ・・・ん~・・・
タケオさん、エルヴィス伯爵領では何を作るの?」
レイラが聞いてくる。
「いや、レイラさん?
それの見本を今日探したらなかったという事なんですけどね?」
武雄が苦笑ながら言ってくる。
「あ!そっか!
ん~・・・どういう行程によるにしても日持ちは絶対だからなぁ。
食べ物よりも物が良いのかも。」
「物だと一番わかりやすいのは小物を入れる箱とかよね。
ただ、王都には無いような物を作らないといけないわね。」
「ウィリアム殿下領は海には近くは無いですが、川に面しています。
一応、テンプル伯爵領内の海に面している土地を私達の保養地という名目で買い取って専売局が塩の生産をする予定ではありますが。」
「ん?エリカさん、今重要な事を言いましたよね?」
「そうですか?」
「ええ、テンプル伯爵領内に土地を用意するのですか?」
「ええ、ニール殿下領での塩の生産の一部を肩代わりします。
例の戦争も控えてますから。
万が一を考え、塩の生産を第3皇子一家でもします。
ですが、海に面していないので飛び地を用意するというのが王城で出た結論ですね。」
「なるほどね。
なら、貝の養殖とかどうですか?」
「「「貝?」」」
「ええ、貝の養殖ですよ。
まぁ土地に合っているかとかの条件があるでしょうが、貝の養殖をして干物の作成ですよね。
そして貝殻は小箱とかの装飾に出来るでしょう。
螺鈿という技法なのですけど・・・ペイトー達はわかりますか?」
「タケオ、相当高い技術が必要なのですが。」
「漆ありましたか?」
ペイトーとパイディアーが言ってくる。
「漆は未発見ですね。」
「「ん~・・・」」
パイディアーとペイトーが考える。
「・・・タケオさん、出来る出来ないは別として貝を使っての装飾というのは差別化出来そうよね?」
アルマが聞いてくる。
「出来ると思いますよ。
一早く商品化するか、海に面した町を巡って同様な職人を囲えればお土産になると思います。」
「なるほどね。
・・・よし、まずは探す所から始めましょうか。
エリカさん、各方面の小箱を取り寄せてみましょう。」
レイラが言ってくる。
「はぁ・・・わかりました。
国内で生産されている小箱を取り寄せてみます。」
エリカが諦めたように頷く。
それを見ながら武雄は「ならエルヴィス領は寄せ木細工かな?」と思うのだった。
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