第1848話 職場見学に行こう。6(授業終了。)
やはり結局授業が終わるまで見学していたのだが。
「タケオさ・・・キタミザト殿、なんでいきなり来たんですか?」
授業が終わり、スミスが他の貴族達と一緒に武雄達の所にやってきての第一声がこれだった。
「ん~?皆の授業風景を見たい為ですよ。
真面目に受けているようで安心しましたよ。
で・・・えーっと・・・こちらの方々は?」
「はい、あれ?・・・イーデンとカイルは父親と話していますね。
グレース殿下、こちらがキタミザト子爵です。
子爵、こちらがグレース殿下です。」
「グレース・フィル・アズパールと申します。
キタミザト子爵、ごきげんよう、今は畏まる必要はありません、スミスに話すように私にも話していただけますか?」
「お初にお目にかかります。
キタミザトです。
わかりました、どうですか?王立学院に入ってみて?」
「まだ予習をしておいた範囲内なので問題なく過ごせております。」
「あ、そちらではなくて。
主にプライベートの方で。」
「ん~・・・どう言った事を聞きたいのですか?」
「いえ、ただ実家を離れて同年代の学び舎に入ったのです。
王家のグレース殿下ではなく、1人のグレースという女性として少しは羽目を外したのかな?と。」
「私は王家ですので羽目を外すというのは。」
「ん~・・・折角親元の目が届かないのに・・・
まぁ・・・それも難しいのかもしれませんが、人生の中で早々同年代の者達のみ接する時間というのはないのでね、楽しんで貰いたいのですよね。
まだ時間はかかるのでしょうかね?」
「キタミザト殿、それは・・・自由にして良いと?」
「ええ、義理の弟のスミスもそうですが、ジーナにも自由に過ごしなさいと言っていますけど・・・。
報告を見た限りでは、寄宿舎でのほほんと過ごしているとしか思えなくて。
折角グレース殿下や他の貴族、そして色々な出身の子達が居るので、どこかに遊びに行ったり、食べに行ったりしても良いのではないかなぁとは思うんですよね。
その為のお小遣いですし。」
「言わんとしている事はわかりますが・・・そのような事はした事ないですね。」
「そうですか、長いようで短いのが学生生活ですしね。
楽しんで過ごして貰えれば良いのですが。」
「はい、わかりました。
それで、すみませんが、キタミザト殿、他の方々を紹介して貰えますか?」
「はい、では順に。
こちらが私と同期の」
武雄はグレースに紹介をしていくのだった。
・・
・
で、ちょうど午前の授業が終わりだとの事で昼食を1年生達と取る事になり、食堂に移動し、武雄の同期の周りに数人の生徒達が陣取り、軽く話しながら食事をしている。
で、武雄の近くにスミスとジーナ、ルーク達見守る会のメンバーが居た。
「キタミザト様、どうして今日来られたのですか?」
コートニーが聞いてくる。
「ん?・・・子供達の成長を見ようかと。」
「それ嘘とまで言いませんけど、違う事をしにきていますよね?」
「・・・ん~・・・まぁ、知っていても良いかぁ。
私達はとある案件の事前調査に来ているんですよ。」
「「事前調査ですか?」」
女子生徒がオウム返しをしてくる。
「ええ、今、クラーク議長が臨時で代理学院長ですよね?
なので正式にどなたかが学院長になる必要があるのです。」
「キタミザト殿は研究所があるのでしませんよね?」
スミスが言ってくる。
「ええ、私とアルダーソン殿は地方で研究所がありますからね。」
「となると・・・残りの方々で?」
ルークが聞いてくる。
「正確には王都に居る貴族会議の中からの選抜なのです。
ですが、私達新任の貴族達は王立学院をあまり知らないので見学に来たんですよ。」
「そうなのですね。」
男子生徒が言ってくる。
「クラーク議長が根回しをしまくっていますからすんなり決まりそうですけどね。」
「・・・キタミザト様、それですともう決まっている感じがあるのですが。」
「どんな事でも本人に話がいく時は大方決まっている物ですよ。
あとは本人からの受諾があれば書類が決裁されていくだけです。
おっと、まぁそう言った事は生徒にはあまり関係ないですしね。
今まで通り過ごせば良いのですよ。
で、王立学院に入って少し経ちましたが、楽しい事はしていますか?」
「「楽しい事ですか?」」
「うん、折角親元を離れているのに勉学だけではつまらないでしょう?
友人達と街に出て商店を物色したり、工房に通って何かするのも良いですし。
男女の色恋沙汰も楽しみの1つですよ。
まぁ恋愛関係はちょっと制約を設けさせて貰いますけど・・・刃傷沙汰になるのは困りますからね。」
「それは私達も困ります。」
「そうですね。
でもそこまで入れ込んでしまうのが恋愛なのかもしれませんが・・・節度は大事だからね?」
「「「「わかっています。」」」」
女子生徒4人が言う。
「・・・雰囲気に流されちゃダメですよ?」
「「了解です。」」
ルークと男子生徒が頷く。
「うん、まぁこれから甘いも酸っぱいもいろいろあるだろうしね。
それ全てが良い思い出になるでしょう。
ですが、もう甘さは知っているような子達もいるようですが・・・」
武雄が横目にコートニーとルークを見る。
「「「「ですね~。」」」」
他の4名が追従する。
「姉さん女房も年上彼氏も良い物でしょう。
生活に支障がないように過ごしなさい。」
「「「「はい、キタミザト様。」」」」
生徒達が返事をするのだった。
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