第1840話 第2皇子一家考え中。(エイミーは販路拡大を狙い、ニールは領内発展を狙う。)
寄宿舎。
「ん~・・・王都での大豆どうしよう・・・んん~・・・」
エイミーは寄宿舎の玄関横にあるフリースペースでドネリーを対面に座らせながら唸っていた。
「エイミー殿下、ニール殿下に相談に行かれないのはどうしてですか?」
「あと1年の王立学院の生活ですけど、今後の王都での販路をどうするか・・・少し数値を出さないと父上も判断できないわよ。」
「先ほどのキタミザト様の言葉では女性の体に優しい物となっておりましたが、売れませんか?」
「はぁ・・・王家と王城ならそれでも動くけどね。
実際は効果が出てこない事には売れ行きは良くならないわよ。
それに大豆の調理方法にも問題があるのよ。」
「そうなのですか?」
「うん・・・私達もタケオさんに教えて貰ってやっと食べ方が分かったぐらいなの。
それまでは固いし、皮は浮いてくるし・・・不人気食材だったわ。
そんな不人気豆を食べれるようにするレシピは今領内の特産品になるようクリナ達が頑張っているわ。
今、同様なレシピが王都で開示されると特産品の魅力がね・・・かと言って大豆を煎るだけでは普及しないと思うのよ。」
「キタミザト様がジーナ様に言った食べ方ですね?」
「うん・・・ジーナはタケオさんの言いつけを守って煎って食べると思うけど、王城内かここで作って自身のおやつ程度でしょう?
私も煎った物は粉にしたりして食べたけど。」
「あ~・・・しておりましたね。
成果はないですが。」
ドネリーがエイミーの体の一部を見ながら言う。
「・・・まだないだけよ。
さて・・・あれ美味しくないのよね。」
エイミーがため息をつく。
「エイミー、ちょっと良いですか?」
チビアルがエイミーの肩に実体化する。
「うん?どうしたの?」
「いえ・・・この間、タケオが来た際に餡団子食べましたよね?」
「美味しかったわよね。
なかなか面白い食感だったわよね。
でもあれ、米という物を使うのでしょう?」
「ええ、そうです。
ですが、確か、小麦粉でも似たような物は作れますよ?
前にコノハ達と雑談していて久寿餅というのをニオが癖があるが美味しいと言っていたらしいです。
その時にコノハが『この地の小麦粉でも出来ると思うけど、ちょっと手がかかるからニオの要望はまだ先になっちゃうかもね。』と言っていたのです。」
チビアルが言ってくる。
「アル・・・それ教えて。」
エイミーが真面目顔でアルに聞く。
「ちょっと待ってくださいね。
パナを通じてタケオに確認しますから・・・うん、久寿餅擬きというらしいです。
タケオも時間があればしてみようかと思っていたらしいですね。
レシピはジーナに持たせるそうです。」
「・・・アル、タケオさんに聞いたの?」
「はい、聞きました。
その報告も今しましたよ?」
「・・・レシピをそんな簡単に聞いちゃダメだから・・・」
エイミーが机に突っ伏す。
「聞き終えました。」
「はぁ・・・そうね・・・そうね。
先に言わなかった私が悪いわね。
・・・後で父上に相談しよう・・・」
エイミーがボソッと言う。
「あれ?エイミー殿下、もう戻ったのですか?」
スミスが寄宿舎の玄関から入って来てエイミーとドネリーを見つけて声をかけてくる。
「うん、戻ったわ。
あ、そうそう私今日は王城に行っていたわ。
ジーナの所にね。」
「はい、マリから聞いています。
ジーナの為にありがとうございます。」
スミスが頭を下げる。
「良いのよ。
ジーナには私もお世話になっているのだし、このぐらいの事ならお手伝いもするわよ。
・・・それに行って正解だったわ、いろいろ知れたしね。」
エイミーが目線を逸らせながら最後の言葉を言う。
「?・・・何かあったのですか?」
「うん・・・差し当たっては大豆が女性の体に良いという事が知れたわ。」
「エイミー殿下の領内が潤いますが・・・生産大丈夫ですか?」
「大丈夫かどうかは父上に聞いてみないとね。
で、スミスに聞こうと思って待っていたのだけど。」
「なら、僕の部屋に来ますか?
こういう場所で話す内容でもないですし。」
「うん、そうね。
なら20分後にスミスの部屋に行くわ。」
「はい、わかりました。」
スミスが頷くのだった。
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ニールの部屋。
「ニール殿下!何卒、お願いいたします!」
王城の料理長が頭を下げていた。
「ん~・・・生理に大豆がなぁ。
大豆レシピは今クリナが領内で普及に勤しんでいるんだが・・・」
ニールが考えながら言う。
「ニール殿下!生理に良いというのは確かにその通りです。
ですが、これは今後の王家の女性陣がよりよく過ごせるという事です!
何卒、レシピをー!」
「タケオがこっちに振ったという事はタケオが王城には教える気が無いという事だし、差配は俺が取る必要があるという事なのはわかるが、すまんが今直ぐの回答は出来ないな。」
「殿下~・・・」
「すまんな。
大豆のレシピはタケオに相応の費用を払って買い取ったが、今では領民の食生活を向上させ、地域の特産品にする手立ての1つとなっている。
王城に開示するのは俺だけで決める事ではなく、家族や文官達と話し合わないといけない事だ。
早々に教えられる物ではないのはわかっているだろう?」
「それは・・・そうですが・・・」
「女性に必要な食材というのはわかった。
それも領地の皆に言って何が出来るかの検討はしよう。」
「わかりました・・・公表できるレシピが出来ましたら即!ご連絡願います。」
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