第1838話 基礎研究に留めよう。(大豆が高性能食材に見えて来た。)
「あの・・・ご主人様、パナと何を話しているのですか?」
「新しい生理用品の開発ですよ。」
武雄がジーナの質問に答える。
「・・・するのですか?」
ジーナが心配そうな顔をさせて言ってくる。
「私は考えを言うだけのいつものお仕事ですよ。
受ける受けないは工房主が決めます。
まぁ・・・生理用品事業はやりたがらない可能性もありますけどね。」
武雄が難しい顔をさせる。
「そうですか・・・するのですか。」
ジーナが難しい顔をさせて考える。
「そうねぇ・・・女性の月経は恥ずかしいもの、隠すものといった考えだものね。」
アルマが言う、
「タケオさんは普通に言っていますけどね。」
レイラが言う。
「皆、母親の子宮から生まれます。
生理は忌諱する事ではないと思っているだけです。
ただ、世間的におおっぴらにするような事でもないので細々と協力工房を探しますけどね。」
「タケオさん、さっき対象人数を考えていたけど購入者は少ないと思いますか?」
レイラが聞いてくる。
「さて・・・難しい所ですね。
国内市場規模は年間最低金貨6000枚と想定出来ますし、人が存続する限り廃れない事業内容です。
つまりは薄利多売をしても工房維持に貢献出来る事業ではあり、認知度が高まれば代々継続的に購入される可能性もあるという事です。
そして誰もこの事業をしていないという未開拓市場。
売れる為の商品はこれから開発ですが、魅力は十分にあると判断するのが普通でしょう。
それに類似品の開発が成功すれば事業はもっと安定化しますしね。」
武雄が考えながら言う。
「類似品?生理用品からなにが派生するのですか?」
エリカが聞いてくる。
「1つは乳幼児のおむつです。
生まれてから・・・数え年だから・・・3歳くらいまではおむつですからね。
大きさ等に種類は用意する必要はありますけど、基本性能は同じでしょう。」
「あぁ~、子供用かぁ。」
アルマが頷く。
「それと大人用ですね。
筋力の衰えで漏れたりする事があるのは知っています。
なので大人用おむつですね。」
「「「大人用!?」」」
アルマ達が驚く。
「生まれたての子供から死ぬ間際のご老体まで全てのおむつを用意出来れば相当な市場を手に入れられますね。
全てに共通するのは下着や服を汚さないという事。
一時的に受け皿として用意し、汚してしまったらすぐに替える事が出来る事が求められますね。
それに取り換える際に一度下腹部を綺麗にする為にウェットティッシュの開発も必要かぁ。」
「ウェットティッシュ?
タケオさん、それは何ですか?」
レイラが聞いてくる。
「濡れている薄手の布です。」
「布?」
「ええ、使用後に捨てられるように簡易的に出来ているんです。
それを数十枚を重ねて水に浸からせながら持ち運べるようにし、毎回濡れている布が取りだせ、拭き取るのが楽になるという物です。」
「・・・うん。」
レイラを筆頭に皆が首を捻っている。
「・・・まぁそこはそこです。
パナ、不織布は出来ると思いますか?」
「タケオ、ナプキンの前に不織布の作成を試みた方が良いのではないのですか?
柔らかいのが出来た場合、ナプキンの素材にも適します。」
「・・・鈴音にナプキンの基本研究をお願いして私は不織布の研究をしてみますかね。」
パナの言葉に武雄が答える。
「ラルフの所に協力は?」
「ふむ・・・今の段階では止めましょうか。
鈴音に試作をお願いして納得のいく物を作って貰ってからとなるでしょうか。
流石に私も生理用品は使った事がないですからね。
言葉で言うのは簡単でも使用者達が欲しがっている物とは違うかもしれませんし・・・
この時代ではナプキンよりもおむつの方が良いのかもしれないですし、実際に作るとなって製作者側の意見からもそうなるかもしれない。
私が知っているのは1つの製品のみだけです。
体に触れる物は理想のみで作ってはいけませんよ。」
武雄が苦笑しながら言う。
「わかりました。
では、当分は小タオルで、ですね?」
「ジーナ。」
「はい、ご主人様。」
「生理用品については研究はし始めますが、成果は早くには出てこないでしょう。
今ある小タオル等で凌いでください。」
「ご主人様とパナが何を考えているのかはなんとなくはわかりますが、今日教わった対処方法が一般的なのですから問題はございません。」
ジーナが答える。
「うん、生理は女性には体力的にも大変だと思います。
無理はしないように。」
「はい、ご主人様。」
ジーナが頷く。
「さて・・・エイミー殿下。」
「はい?ここで私なのですか?」
エイミーが武雄に聞き返す。
「ええ、ニール殿下に言って大豆を取り寄せてください。」
「はぁ・・・それは良いですが・・・生理に良いのですか?」
「はい、体に良い食材ですよ。
エイミー殿下も良く食べていると聞いていましたけど、体調の為でしょう?」
「いえ、そういう意図はないのですけど。」
「そうなのですか・・・まぁ生理は血が排出されますからね。
大豆は体内で血を作り出すのに必要な成分が含まれているんです。
なので生理の際の体調悪化を和らげる働きがあるんですよ。」
「本当ですか!?」
エイミーが驚きながら聞いてくる。
「え・・・ええ、まぁ何事も食べ過ぎには注意が必要なんですけどね。
出来るだけ日頃から大豆製品を摂取した方が良いですよ。
ほら、豆腐を作る前の豆乳があるじゃないですか?」
「ありますね。」
「あれも1日コップ1杯飲むだけでも体調が良くなるなんて聞いた事もあります。
もちろん豆腐や厚揚げもね。」
「大豆って凄いんですね。」
エイミーが感心する。
「そうですよ。」
「ちなみに今食べた牛肉の赤身100gと豆乳コップ1杯では同じくらいの量の血の素になる成分が入っています。
あまり多くはないので出来るだけ毎日食べるのが理想ですね。」
パナが補足する。
「ご主人様、どう食べれば良いのですか?
豆腐も豆乳も時間がかかると思うのですが、毎日の摂取だと時間がありません。」
「大豆を煎っておやつ感覚で食べるのが良いですよ。
塩とか振らずにね。」
「大豆を煎るのですね。
わかりました、今度してみます。」
ジーナが答えるのだった。
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