第1830話 新たな仲間を迎えに行こう。(命名:浦風。)
武雄が作業服姿で王都の城門の外側の壁に背を預け、物思いにふけっていた。
「ご主人様、夕霧、マイヤー様達と打ち合わせが終わりました。」
ジーナが同じ作業服をきっちりと着込み、肩掛けバックに磯風を入れて来ていた。
「うん、ご苦労様。
マイヤーさん達は?」
「はい、夕霧の護衛方法を夕霧と考えています。」
「そうですか。」
「ご主人様は参加しないのですか?」
「私は自由で良いそうです。
マイヤーさん的に私に頼らない護衛を考えないと私の護衛の時に抜けが出来てしまうといっていましたね。
まぁ後で決まった事は教えて貰えるので問題はないと思っていますよ。」
「そうですか・・・ステノ技研へのお土産考えていますから明日まで待っていてください。」
「ええ・・・」
武雄がジーナの言葉にため息をつくのだった。
実はアリスからの報告時にジーナに陛下直属組織の会議の内容を教えたのだが、「何で事前了承しないんですか!?」とジーナにステノ技研の懐中時計の機関部の技術を王国に転売した事を怒られて「お詫びのお土産を用意しないと・・・」とジーナが動き出していた。
「えーっと・・・磯風、今回会うのはどんな擬態するスライムなんですか?」
武雄がジーナのバックから顔を出している磯風に聞く。
「今回は4足歩行の猫です。」
「・・・うん、猫ね。」
武雄は「なぜに4足歩行を言った?」と思いながら頷いている。
「生まれてからの年数はどのくらいですか?」
「ハツユキの少し後と感じます。」
「えーっと・・・エルダームーンスライムは生きた年数で序列というか強さが決まっていますよね?」
「序列としてはユウギリがトップでシグレとハツユキがその次、その後に私とハマカゼ、サイウンとシウンが横一線です。
生まれた順はユウギリ、シグレ、私、シウン、ハツユキ、ハマカゼ、サイウンです。」
「・・・磯風は結構生きているのですね。」
「そこそこに。
ですが、ユウギリは私やシグレよりかなり上です。
ユウギリを最初見た時は破裂を確信しました。」
「?・・・あの時、見た目変わっていませんでしたよね?」
「タケオ、エルダームーンスライムは長齡になればなるほど見た感じ怖くなります。
エルダームーンスライム同士でないとわからないとは思いますが、少なくともユウギリは圧倒的に私より上です。
私もこの辺りのスライムを束ねていましたが、ユウギリのように相当古くから生きているエルダームーンスライムには会った事がありません。」
「それほど希少な存在だったんですか。」
「タケオ、ユウギリをどうにかしますか?」
「いーえ、夕霧は私の部下ですが、危険な事が無い限り自由にさせています。
磯風も知っている通り、今回は王都見学も含めて勧誘の総仕上げをしに来はしましたが、普段はエルヴィス伯爵邸でスライム達の統率をしていますしね。
万が一を考えて最終的な勧誘は夕霧がする事になっています。」
「はい、ユウギリが行えばほぼ勧誘は成功します。」
磯風が言う。
「相手が作り出したスライムを取り込み、情報を読み取って相手の意思を確認するでしたか。
そしてその段階のスライムからエルダームーンスライムに攻撃は出来ません。
これはエルダースライムと同様なのですよね?」
「スライム、エルダースライム、エルダームーンスライムに攻撃が出来るのは他種族では武力によってですが、同種族では情報を大量に与え破裂させる事をしてます。
そして上位種の方が情報量が多いのです。」
「上位種の更に年数を生きている順に強さが決まるという事ですね。」
「そうなります。」
武雄の言葉に磯風が頷く。
「ご主人様、マイヤー様達が話合いが終わったようです。
皆で会う場所に移動しましょう。」
ジーナが武雄に行動を促すのだった。
・・
・
深夜。
武雄は王城から少し西に行った所にある森の中。街道からは見えないくらい奥に居た。
その場所が森の中なのに少し開けていた。
この場所は前回、磯風達3人と面談し、3人が夕霧側に付く事を決めた場所でもあった。
「・・・まだ来ていませんかね?」
武雄が周囲を見ながら言ってくる。
「ん、タケオ、では、呼びます。」
と夕霧がスライムを生み出し、森に放つ。
すぐにお目当てのスライムが武雄達の前にやってくる。
確かに猫だった、子猫の形なのだが。
「・・・」
夕霧が掌から黒スライムを1体生み出し地上に落すと子猫型のエルダームーンスライムに向かって行く。
そして子猫型のエルダームーンスライムは何も躊躇せずに取り込みしばし目を瞑る。
「・・・」
子猫型のエルダームーンスライムからスライムが出され夕霧の前に行くと夕霧が取り込む。
「・・・ん、タケオ、問題なくこっちに来ると言っています。」
夕霧が武雄に顔を向け言う。
「夕霧の好きにして良いですよ。
部下にするもよしです。
それと今の段階で他領に出向する事についての検討をお願いしてくれますか?
無理であるなら別の方法を考えますので。」
「ん、わかりました。」
夕霧が再度1体の黒スライムを生み出し、子猫型のエルダームーンスライムに向かわせる。
すると子猫型のエルダームーンスライムはすぐに返事のスライムを寄こす。
「・・・タケオ、問題ないと言っています。
タケオ、部下にします。」
スライムを取り込んだ夕霧が言ってくる。
「はい、わかりました。
では・・・夕霧、この後は磯風達と同じなら名前でしたよね。」
「ん、そう。」
「なら、この子猫は浦風と命名します。」
「ん、ウラカゼ。」
夕霧が頷いてから子猫型のエルダームーンスライムに近づく。
「・・・」
子猫型のエルダームーンスライムは緊張しているが、頭に手を置き、夕霧は情報の交換を始めるのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




