第1827話 面談の反省会。3(武雄、慣例の戦争で何かしでかす気です。)
「不測の事態・・・戦争は双方にとって不測の事態の集合体でしょう。
互いが互いに相手を出し抜く為に相対しているんですからね。
不測の事態に一早く対応し、適切に処理が出来た者が生き残れるだけ・・・とも言えますかね。
まぁ予想と想定は施政者なら誰でもする事です。
出来れば不測の事態などという突発的で面倒な事は起きないと思いたいですが、あると思って対策するのが私達の役目です。
なので、エルヴィスさんとフレデリックさんは回復戦法を確たる戦術として教え込むはずなんですよね。
これが今現在、一番有効な対処法であると思いますしね。」
武雄が考えながら言う。
「それは・・・一当て、二当てではないと?」
スミスが「犠牲が出るという事ですよね?」と聞いてくる。
「そこがわからないんですよね。
少なくともアズパール王国側では盾での防御はしっかりとするでしょうからね。
本陣深くまでの侵入されるというのは考え辛いですし、盾で守っている所に馬鹿正直に数小隊を当てるというのもねぇ・・・
まぁここでの戦争は私も未体験ですからそれは臨機応変に対処すると言っておきます。」
「そうですか。」
「それに少々の戦果をというのは私達も必要なんですけど・・・」
武雄がボソッと言う。
「ご主人様、研究所に戦果が必要なのですか?」
「初陣ですからね。
戦闘をして来いとは私も言いませんが、王都の人達に何かしら第二研究所の存在意義を示さないとなぁとは思っています。」
「タケオ様、試験小隊の任務は先行偵察でしたよね?」
「そうですよ。
だから、人知れずに・・・は難しいかもしれませんが、相手陣地で何かしらの破壊ぐらいはしておきたいなぁと。
『先行偵察してとりあえずの戦果は出したよ』と言っておけば安泰だなぁと思っています。」
「所長?それ初耳ですよ?」
マイヤーが言ってくる。
「うん、今考えましたからね。
それに来年度に研究所の予算が増額予定なんでね。
少なくとも何かしら戦果を出さないと否決される可能性はありますから。
有用性は見せておかないといけないでしょう。」
武雄がマイヤーに言う。
「はぁ・・・それは・・・そうでしょうけども。
でも所長、敵陣地に潜り込むのは不可能に近いですよ?」
「そんなことはわかっていますよ。
私だってあの野原を見たんです。
あれでは潜入なんて命がいくらあっても足りませんよ。
そんなふざけた命令はしませんよ。」
「・・・所長、わかっていて何かを破壊するのですか?」
「ええ・・・例えば食料物資が置かれている所とかを破壊したいですよね。
相手の防御力を嘲笑って、尚且つ食糧事情を悪化させる。
嫌がらせとしては十分でしょう。」
「・・・上手く行きますかね?」
「キタミザト家には優秀な地図作成士が居ますけどね。
夕霧。」
「ん。」
「夕霧はエルヴィス家で全体の把握です。
時雨もエルヴィス伯爵領内の情報収集でしょう。
なので初雪は連れて行きます。
紫雲と彩雲はエルヴィス家と戦地との連絡役と初雪の戦場地図の作成補助に充てます。」
「ん、タケオの考える通りに動きます。
今回の王都での新たに会うエルダームーンスライムはどうしますか?」
「夕霧に楯突くなら処理、恭順を示すなら夕霧が調教してゴドウィン家に出向です。
戦争前にゴドウィン伯爵には貸しを作っておきましょうか。」
「ん、わかりました。
ジェシー達に楯突かないように教育します。
それとハツユキとシグレから連絡。
領内も伯爵とアリスも問題ないと言っています。
ただ、ハツユキがスズネから街の地図の書き方を教わっているそうで紙が少なくなってきたから買って欲しいと要望を言ってきています。」
夕霧が言ってくる。
「わかりました。
明日にでも買いに行ってきます。
話が逸れましたが、マイヤーさん、ある程度相手陣地の配置は手に入る予定です。」
夕霧の言葉に武雄は頷きマイヤーを見る。
「はぁ・・・配置はわかるとして中間地点まで行ってファイアでも打ち込むのですか?」
「・・・ふむ・・・陽動としてならそれも・・・いや目を逸らさせる方が良いのか?」
「ん?所長?」
「他者からはあくまでファイアでの攻撃で食料が置かれている倉庫かテントが燃えたと思わせるのが理想でしょうね。」
「実際は?」
「ファイアを連続で打ち込むと同時に小銃改1と小銃改3を集中運用して食料を吹き飛ばします。
3丁ずつ用意して6丁同時に打ち込めばそれぐらいの威力はありそうですし。」
「小銃改1と小銃改3を6丁同時にですか?」
「ええ、小銃改3は仕様上小銃改1の爆発力を3倍と設定していますからね。
爆発すれば周囲1、2mは巻き込めるはずなんですよ。
だから小麦の袋とかに当たれば集荷している小麦の半分程度はまき散らせると思うんですよね。」
「・・・小銃改1でも確かオーガが爆発していましたよね?
その3倍とはどうなんですか?
そう言えばイノシシの時は小銃改3でしたか。
あの時はイノシシの首が吹き飛びましたよね。
どういった性能でしたか?」
マイヤーが「小銃改3の説明してください」と目で言ってくる。
「・・・しょ・・小銃改3は対攻城戦、対城門突破用兵器として考えてですね。
小銃改1に比べて爆発力は3倍に貫通力は2.5倍の威力を実現しました。
というより私の能力全部使ったらそうなりました!
私だって遠距離攻撃能力欲しいんです!」
「異常な攻撃力ですよ。」
「つ・・・作ってから威力が高いのがわかったので小銃改4の拳銃を作って護身用に持っていますし。
あれは特別な時にしか使っていませんよ。
一撃必殺です!」
「それを部下に使わせる気ですか?」
「・・・敵地に潜入するよりか安全ですからね。
まぁあまり人目に付きたくはないので深夜にでもやりますかね。」
「・・・はぁ・・・なら戻ってから安全に実行できるように皆で打ち合わせしましょうか。」
マイヤーが諦めながら言うのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




