第1826話 面談の反省会。2(ジーナは知りたい。)
武雄達の寝室。
スミスとジーナが座っている対面に武雄が座っていた。
マイヤーはさっきの報告書を書き、オールストンとブレアはパラスと一緒に遮音の魔法をかけて室内の音が漏れないようにしている。
パナとマリはパラスの補佐をしながら待機してた。
「ご主人様、今現在どうなっているのかお聞かせ願います。」
ジーナが真面目な顔をさせて聞いてくる。
「ん?・・・ん~・・・ん?」
武雄が考えながらジーナをチロリとみる。
「ご主人様、前に王都で第二研究所の事前打ち合わせの際に魔王国での慣例の戦争の可能性については聞いています。
今回、ミアがネックレスを使った念話で言っていましたが『夏場の慣例の戦争』という事を言っていました。
その後、現状を聞こうと思って質問しましたが、ミアからはご主人様に聞くようにとの一点張りです。
その話をご主人様も聞いていたのです。
教えて頂けますよね?」
ジーナが言ってくる。
「スミス坊ちゃんも聞きたいですか?」
「僕は今王都にいる人間ですからね。
確証が高まったらお爺さまかフレデリックから事前に報告は来るだろうとは思っていましたから・・・気にしないようにしていました。
でも今知っておいても良いのかなとも思いますし、ジーナがそれを望むなら僕は聞きます。」
「・・・まぁ・・・そうですね。
ジーナは私達がシモーナさんに会ったのは知っていますし、私達が確認しないはずはないと思っての事でしょうけどね。」
「はい、叔母様はそういった事は聞けばしっかりと説明してくれる方です。
ご主人様も聞くと思います。」
ジーナが断言してくる。
「はぁ・・・確証というにはまだまだ遠いですけどね。
8月中頃にパーニ伯爵領とゴドウィン伯爵領の間で慣例の戦争が予定されていると聞いています。
これはヴィクターがシモーナさんに直接確認しています。」
「「8月中旬。」」
ジーナとスミスが呟く。
と同時にジーナは「あれ?穀物の輸送って・・・」と考える。
「慣例の戦争についてはエルヴィス伯爵領とゴドウィン伯爵領の魔王国との両関は初雪達により防御力を高めています。
また、マイヤーさん達も同行し、ゴドウィン伯爵領側の関で私達第二研究所が布陣する位置も確認済みです。
マイヤーさんと私とでは慣例の戦争は8月中頃と想定して、簡易工程としては5月末までには起案の提出、6月中旬までにエルヴィス家の幹部で具体性を検討、7月には訓練開始と見繕っていたのですが・・・」
武雄がマイヤーを見る。
「今日は5月18日です。
この時点で私と所長が王都にいますからね・・・遅れるでしょう。」
「こんな状況です。」
マイヤーの言葉に武雄が苦笑しながら言う。
「タケオ様、大丈夫なのですか?」
「ん~・・・第二研究所の初任務なので私達の方が遅れ気味なのは少し不安ではありますけど。
でも今までは宣戦布告されてから用意をしていたエルヴィス家としては2か月も前倒しで情報が来ていますからね。
末端の兵士達には知らせなくても上層部は準備を開始しています。
といっても私がエルヴィス家の兵士達が何をしているのかを知っている訳ではありませんけどね。
エルヴィスさんとフレデリックさんが動かないわけないでしょうしね。」
「そうですか・・・タケオ様的にはお爺さま達は何をさせると思いますか?」
「ふむ・・・エルヴィス家の兵士のみで戦った先の戦いとは今回は違います。
3伯爵領合同での戦争です。
なので私達が考える戦術をすぐに実行できるように訓練するとは基本的には考えられません。
するとしたら・・・回復戦法の効率の向上でしょう。
徹底的にする事で犠牲者数を少なくする事と装備品の拡充でしょうか。」
「・・・あ、トレンチコートですね。
夏は暑いですが・・・大丈夫でしょうか?」
「晴れている日は平気でしょうが、雨や風とかは体力が下がりますからね。
体力の温存の為に持参して貰えるよう私からも進言はしますよ。
あとは環境かぁ・・・それはこれから考えるか。」
「環境ですか。
タケオ様、そこも何か考えているのですよね?」
「ん~・・・常駐する場所の水はけを良くしておく事とテントの性能を良くしてある程度安心して寝れる寝床と温かい食事の用意くらいですよ。
特段何かをという訳でなく、今よりも手間をかけたいという所ですからね。
そこは何とかしますけど。
まぁスミス坊ちゃんはその辺はあまり気にしないでください。
何をするにしても最初ですからね。
失敗も成功もする物です。」
「そうですか・・・わかりました、皆が無事に帰ってくる事を信じています。」
「うん。
ジーナ、何か聞きたい事ありますか?」
武雄がジーナを見る。
「ん~・・・その・・・今回の慣例の戦争は通常の慣例の戦争なのでしょうか?」
ジーナが「穀物輸出はスミス様には秘密だしなぁ」と言葉を選んでいる。
「戦争に通常も異常も無いと思うのは私の気のせいでしょうか。
まぁ、ジーナが言いたい事はわかりますけどもね。
現状の知りうる情報をのみを見れば通常通りではあります。
ですが、魔王国の情勢が今一不確かではあります。
魔王国では次期国王の選定中との事は先の面談で確認しましたが。
それがどう影響を及ぼすのかは未知数ですね。」
「ん~・・・ご主人様、不測の事態はあるのでしょうか?」
ジーナが聞くのだった。
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