第1819話 旧領主の後継者。2(魔王国からの来客。)
とある会議室内。
武雄達はのんびりと待っていたのだが、
「失礼する。
キタミザト殿、待たせていてすみませんね。」
王都守備隊総長が入ってくる。
「いえ、総長、無理を言ったのは私達です。
場を設けてくれてありがとうございます。」
「私達もそろそろと考えていたんです。
ちょうど良い機会だと私も思っていますよ。
それと緊急の用件があります。」
「緊急?・・・王都守備隊と私にとなると戦争ですか?」
「いえ、そう言った事ではないのですが、テーア・コンカートの件です。」
「・・・テーアさん、順調と聞いていましたが?」
「はい、3名とも部隊に組み込んでおり仕事も真面目にやっております。」
「ん~・・・王城内の料理に舌鼓を打っているというのは料理長から聞きましたが。
何か問題でも起こしたのですか?」
「実は来客がありまして。」
「・・・来客?」
「はい、王城の警備局よりテーア・コンカートに面会を求めているとの事です。
私も含め各局幹部は経緯を知っておりますし、名も覚えているかどうかは定かではありませんが、聞いた事がある程度には覚えているはずです。
ですが、警備局の末端まで名が知られているわけではありません。
なので、警備兵が対応し、上司に確認、上司の上司が確認し、さらに・・・ということで私に来ました。」
「総長の事です、陛下かオルコット宰相に聞きましたね?」
「ついでに軍務局と人事局もですね。
面会については問題ないとの判断ですが、立会人は絶対だそうです。」
「ふむ・・・で私に?」
武雄が総長に向かって聞く。
「ええ、実施者ですからね。」
「ふむ・・・所属は明かしましたか?」
「魔王国の第2軍の者だと、今回は休暇を兼ねて別部隊だが魔王国の者がご厄介になっているので近況の確認にとの事です。」
「・・・テーアさん、第4軍でしたよね?」
「ええ、そこなんですよね。
たまたまこっちに来たので様子を伺いに来ただけなのかもしれないのですが・・・
所属が違うので追い返す事も出来るとは思うのです。」
「・・・会ってみますか。」
「よろしいのですか?」
「向こうも何かしら用があったのでしょう?
ただし、私達が立ちあう事が条件と言う事を確認してからですね。
それでも良いなら、まずはテーアさん抜きで私と総長と・・・幹部で暇なのを寄こしてください。
出来ればうちのマイヤーさん達も確か訓練場にいるはずですから呼んでください。」
「確か第二情報のラックが夜の用意をしているはずですから暇でしょうね。
それとマイヤー達も呼んできましょう。」
「ラックさん、すっかり酒場の店主ですね。」
「まぁ・・・そういう時期もありますよ。
では、一旦離席します。」
「はーい、お願いします。」
武雄が頷くのだった。
・・
・
武雄達は自分達の人員を呼び寄せてから、魔王国の軍人達を武雄達の居る会議室に招いた。
ちなみに武雄の横にマイヤー、総長の横にラックが座っている。
ジーナ達は武雄の後ろに立って控えていた。
「魔王国 第2軍 第3大隊 第1中隊長 アマデオ・ソルミであります。」
代表して1名が名乗る。
「アズパール王国 王都守備隊 総長 コリー・ベレスフォードです。」
「アズパール王国 王立研究所 第二研究所 所長 タケオ・エルヴィス・キタミザト 子爵です。
さ、座って話しましょうか。」
武雄がそう言うと皆が座る。
「さて・・・どうしたのです?」
武雄が軽い口調でソルミに聞く。
「はっ!私共は軍は違えどウィリプ連合国より貴国にて軍務に就く為に異動した者を確認に参りました。」
「・・・うん、ソルミ殿、固すぎです。
ここはそこまで公的な場という訳ではありませんよ。
少し崩してくれた方が私達がわかりやすいのですけど。
ちなみにテーアさんをウィリプ連合国で買ったのは私です。
私は本来、エルヴィス伯爵領に居るのですが出張していたので当事者としてこの場に参加しています。
総長、言葉を崩して良いですよね?」
「はぁ・・・構いませんけどね。
そう言う風に他国の者に言ってもなかなかできないんじゃないですか?
私だったら出来ません。
そんな事出来るのはキタミザト殿だけですよ。」
総長が呆れながら言う。
「まぁ・・・エルヴィス伯爵領に遊びに来た魔王国の侍女さんやブリアーニ王国の侍女さんと普通に話をしていましたけどね。
あ、ソルミ殿、わかりますかね。
ヴァレーリ陛下の侍女でダニエラさんとタローマティさんが来ていたんです。
あとブリアーニ王国の女王の侍女のカールラさんとか。
護衛にはえーっと、フレッディ殿とカスト伯爵領のグラート殿が来ていましたね。」
武雄が楽しそうに言う。
「・・・え、ええ、その件は私も知っております。
侍女のダニエラさ・・・殿やタローマティ殿も知っております。」
ソルミは「その後の大騒動」の当事者なので、経緯はそれとなく知っているのでそのぐらいしか言えない。
「そういえばあの時追加でお願いした輸送業者はどうなりましたか?」
武雄が何気なく聞いてくる。
「・・・あ~・・その~・・・私達がたぶんその者と一緒にウィリプ連合国まで行きまして。」
「あ~、それは良かった。
あんな物を輸送していた人ですし、向こうで同業者に殺されるかと思っていましたから。」
「・・・」
ソルミは黙るしかなかった。
面会は初っ端から武雄のペースで始まるのだった。
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