第1816話 留守番組は。2(試験小隊は射撃訓練中。)
試験小隊の訓練場にて。
残っているアンダーセン、ベイノン、アーリス、アーキン、ブルックが小銃の訓練をしていた。
今回は200mの的で2人が膝立ち撃ち、2人が射撃者の補助、1人が後ろで全体を見ている。
そして1発撃ってはスコープでどこら辺に当たったかの確認をして次を撃つ方式で時間間隔を取りながらの訓練だった。
「・・・微妙。」
ブルックが自分が撃った的をスコープで見ながら呟く。
「いや、纏まってはいるぞ?」
補助のベイノンもブルックの的をスコープで見ながら言ってくる。
「中心より右にですよ。
50mの時は問題なかったんですが、ちょっと照準がズレていたんですかね・・・」
ブルックが考える。
「ファイアやブリザドの250mはブルックは成績良かったか?」
「上の下ぐらいですね。
小銃の方が狙った所に当たっている感じはありますね。」
「なら満足すれば良いんじゃないか?」
「いや、流石に魔法では250mが最長としていましたけど、小銃は400mを最長としていますから。
今の倍の距離となるともっと右に当たるんですよね?
200mではもっと中心に集めないとなぁ。」
「その心意気は良いが、まだ訓練始めたばかりだからな。
もっとしっかりと撃つ姿勢を覚える方が先決だろう。」
「それもそうなんですけど。」
「ブルック、この射撃での残りはあと何発だ?」
「えーっと・・・あと6発です。」
「うん、ならもう一度真ん中を狙って右に集まるかの確認だな。」
「わかりました。
装填!」
ブルックがレバーを引き新しい弾丸を込め、射撃の体勢を取るのだった。
アーリスが射撃でアンダーセンが補助をしている。
「・・・バラバラ。」
「そのようで。」
2人してアーリスの的を見ているが、まとまらない。
「小銃のせいにしてはいけませんよ。」
「わかっているが、まとまらない。
この前の段階の剣技でやり過ぎたか?」
「はぁ・・・ここに居る人員がその程度で腕が震えるわけないじゃないか。
アーリス殿、自己分析では?」
「ん~・・・呼吸かなぁ。
多少上下している可能性がある。」
「伏せ打ちなら抑制出来ても膝立ち撃ちだと呼吸が影響しますか。
撃つ瞬間に止めます?」
「それもそれでどうかと思うなぁ。
剣技では打ち込む際に呼吸を止めると一時的に力は入る。
だが、戦場では連続での動きをする為に呼吸を止めるのは疲れが早くなるからしない。
たぶん、小銃も同じだろう。」
「ふむ・・・となると吐いた時に撃つようにする方が良いのか・・・」
「そうだな。
これも訓練なんだろうな。」
「あと・・・3発ですか。」
「あぁ集中してまとまるようにしよう。」
「はい、了解。
装填してください。」
「装填!」
アーリスが訓練を再開するのだった。
アーキンは全体を見ながら周囲からの何者も入ってこないか見ている。
「きゅ♪」
「ガウッ。」
クゥを背に乗せた狼がやってくる。
「おや?クゥ殿、サスケ殿。
見回りですか?」
「きゅ♪」
「ガウッ。」
クゥと狼が頷く。
「お疲れ様です。
ここに来た時に時雨殿には聞きましたが、今の所町間では問題がないと伺っていましたが、実際はどうですか?」
「きゅ~?」
「ガウッ」
クゥが狼を見ると狼が首を振っている。
「問題なさそうですね。
所長が冒険者組合に話を通しておりますけど、そちらでの被害は出ていませんか?」
「きゅ?」
「ガウッ」
再びクゥが狼を見るがまたも狼が首を振っている。
「問題ないようですね。」
と「射撃終了!」と補助の2人が手を挙げて言っている。
「おっと・・・旗替え!」
「「旗替え!終了!」」
アーリスとブルックが終えて立ち上がりブルックがアーキンの下にやってくる。
「アーキン交代。」
「はい、了解。
では、補助に行ってこよう。」
「はーい。」
ブルックが自身の小銃を木枠に立てかけて言う。
アーキンが補助の位置に来るとアンダーセンがやって来て自身の小銃を持って行く。
時間はかかるが1つの動作毎に行い、常に射撃場に誰かしらの目が向いている事で安全を確認していた。
「今度はアーリス殿とアンダーセン殿か。
準備は良さそうかな。」
ブルックが射撃体勢を取る2人の準備を見ている。
「旗替え!」
ブルックがそう号令をかける。
「「旗替え!」」
アーリスとアンダーセンが旗を変えている。
「「赤旗確認!射撃手体勢よし!周囲問題なし!・・・準備良し!」」
ベイノンとアーキンが片手を挙げる。
「射撃手、弾数15発、距離200m、適宜撃て!」
ブルックが指揮をするとアーリスとアンダーセンが「装填!」と言いながら射撃訓練を開始する。
「きゅ~?」
「はい、クゥ殿、サスケ殿、すみませんね。
訓練で皆が皆役割を担っているのですよ。」
ブルックが開始を宣言してからクゥに話しかける。
「きゅ。」
「ガウッ。」
クゥと狼が頷く。
「今日の見回りは大丈夫でしたか?」
「きゅ♪」
「ガウッ。」
クゥと狼が頷く。
「ここの訓練場の裏手の排水溝ですけど、管理はスライム達がしていましたが、壊れたりはしていませんか?
私達も1週間に1回はしているんですが、皆の目で見た方が良いので。」
「きゅ。」
「ガウッ。」
クゥも狼も首を振っている。
「問題ないみたいですね。
壊れかけていたりしたらすぐに補修した方が良いですからね。
他にこの周囲に問題はありますか?」
ブルックは時折周辺を見たりしているが、クゥ達との会話をしながら周辺情報を集めるのだった。
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