第1812話 王城の昼食。2(完成を待ってます。)
王城内の小厨房。
「よし・・・ちょっと席を離れていましたが順調に焼けていますね。
あと15分くらいしたら完成です。」
武雄が時計を見ながら言う。
「タケオ、メイド達に完成予定を伝えてきます。」
ペイトーが席を立ち退出して行く。
「ん~・・・ラザニアは温度が下がると食べた感じが変わりますね。」
ジーナは小厨房内の席に座り、ラザニアを食べながら言う。
「冷めるのを待ちすぎなんですよ。」
武雄が呆れながら言う。
「ご主人様、熱かったんです。」
「だから出来たては熱いと言ったではないですか。
すぐに口に運ぶからです。
フーフーしなさい、フーフー。」
「しましたけど、いけると思ったんです・・・ちょっと火傷しました。
指輪のお陰ですぐに治りましたけど・・・熱いのは食べない事にしました。」
「ジーナ、それは極端ですよ、少し待ちすぎただけです。
もう少し温かいうちに食べ始めないと美味しくないでしょう?」
「・・・美味しいですよ?」
「そんな微妙な顔をさせて言われても・・・
保温させる器具は限られていますからね・・・基本的には温かいうちに食べましょう。」
「・・・はい、温度の見極めは出来るようにします。」
「うん、そこまで熱々な料理が頻繁に出るとは思いませんが・・・ジーナが食べやすい温度がわかると良いですね。」
「はい。」
「さーて・・・焼き上がる前に使った調理器具を洗いますかね。」
「あ、ご主人様、私が。」
「ジーナは食べてなさい。
私は食べ終わっていますからね。
時間を潰すだけですよ。
夕霧、パイディアー、やりますよ。」
「はい、ユウギリ、手伝って・・・終わっていますね。」
パイディアーが夕霧を見るとすまし顔で見返している。
なので厨房内に目をやるとピカピカになっていた。
「夕霧、一通り終わりましたか?」
武雄が夕霧に聞く。
「ん、全部しました。
室内から残飯、落ちたパンくずまで全て終わっています。」
「なら・・・一応、食器を軽く濯いでから返しましょうか。」
「そうですね。」
武雄とパイディアーが軽く水で流して拭き取りを始めるのだった。
・・
・
食堂にて。
「次はまだか・・・」
アズパール王が何杯目かになるダンディ茶を飲みながら呟く。
「ラザニア、美味しかったなぁ。」
「これが家で作れないというのは些か・・・かなり残念だな。」
クリフとニールが次がいつ食べれるのか哀愁を醸し出しながら言う。
「クリフ、ニール、わかっておるな?」
アズパール王が言ってくる。
「「わかっております。」」
2人が諦めながら言うのだった。
「んー♪タケオさんが来ると初めての料理でそれも美味しい物が食せて幸せよ。
スミスはこんな料理を食べていたなんて羨ましいわ。」
「いや、僕も1、2回だけですよ。
ちなみにこれを考えたのがヒルダ・・・若干12歳の女の子ですよ。」
「ええ!?」
エイミーが驚く。
「ヒルダの発想をタケオ様が形にしたんです。」
「タケオさんが補助をしたのね・・・それでこれをかぁ・・・」
エイミーが自分が食べた皿を見ながら言う。
「そのヒルダが次に発案したのが、この後のスイーツなんです。
タケオ様が作るという事は今回も同じ工程を経ているのだと思います。」
「そのヒルダって子が発案して、タケオさんが形にしたという事ね。
ん~・・・発想を出来るというだけでもう凄いんだろうなぁ。」
エイミーが腕を組んで考える。
「発想を聞いて形にしてしまうタケオ様がおかしいのではと最近周りを見ていると思います。」
「そうね・・・発想は誰でもとは言わないけど多くの人が出来るわよね。
それを物に出来るのは一握りの者達のみでしょう、ヒルダという子はタケオさんが居たからこそ発想が正しい物だと認識出来たのかも。
タケオさんが居なければこのラザニアも世に出るのに相当時間がかかったかもしれないわね。」
「そうですね。
僕達もタケオ様みたいな実行力がある者と出会えたら良いですよね。」
「その前に発想力を身に付けないと相手にされないかもよ?」
「そうでした。」
「まずはもう1つの天才の発想を待ちましょうかね。」
「はい、エイミー殿下。」
エイミーとスミスが話している。
ドネリーは「私はとても恵まれているお付きだ」と噛みしめているのだった。
「うっぷ・・・しまった・・・半分でもお腹パンパンです・・・ラザニアめぇ・・・」
ミアが机に突っ伏・・・横になりながら言う。
「あ~・・・」
ビエラが心配そうに聞いてくる。
「いえ!ビエラ、あれで良いですよ。
ちなみにビエラは3つ半も食べましたがアップルパイは入りそうですか?」
「ミア!大丈夫!」
ビエラが言ってくる。
「くぅ~・・・よし!こうなったら微々たる努力でもして少しお腹を空かせますか!」
ミアがのそのそ起き上がりその場でシャドーボクシングを始める。
「・・・ミア?それって意味あるの?」
アルが聞いてくる。
「シュッシュッ!消費です!消費すればお腹が減ります!シュッシュッ!」
ミアが口で風切り音を演出しながら動いている。
「妖精種だからな。
エネルギーを使えば腹を引っ込められるだろう。」
マリがそんなことを言う。
「妖精にカロリー消費なんて概念はなかったと思いますけど?」
パナがマリの言葉に首を傾げながらミアの運動を見守るのだった。
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