第1810話 スミスの性教育。5(あとは性的嗜好ぐらいか。)
「『自己の形成』は『自己の探索』の次の段階で自身の事がわかっている状態です。
なので、『私は私で良いんだ』と認識する段階なのでこれといって何もありません。
社会に出て何かを成し遂げようとか私はこうなりたいと夢に向かって動く時期なので1人の大人が産声を上げるという事ですね。」
「そうなんですね。」
スミスが頷く。
「まぁ私個人の意見としては、反抗期の時期のスミス坊ちゃんやジーナはすんなりと終わると思っていますけどね。」
「そうなのですか?」
スミスが聞いてくる。
「ええ、スミス坊ちゃんは特殊なんですよね・・・代々続く貴族家の生まれでしっかりと貴族教育がされていますし、自己の探索をする前に姉達に貴族の役割を教えられて育っている為、領地持ちの施政者としての意識が芽生えているのです。
自分を探す前に貴族としての心構えが出来てしまっている感じですね。
それに他人からの評価を幼少期からされているはずなので、他人からの批判等々には割と慣れていると思われますから余程の事がない限りは大丈夫だとは思っているんですよ。」
「タケオ様は僕はそこまで荒れないという風に考えているのですね?」
「ええ、少なくともスミス坊っちゃんは次期当主になる為に自らでどうなりたいか、どうならないといけないかという未来の自分を思い描けているんですよ。
これは『自己の形成』の1つは終えているように思うのですよね。
あとは他者を見ながら自分を確認し、今の自分となりたい自分との差に折り合いを付け、どうするかを考える感じですかね。
あとはなってみなければわかりません。」
「そうですかぁ。」
スミスが頷く。
「あの~・・・ご主人様?私はどうなのですか?」
ジーナが聞いてくる。
「ジーナも特殊なんですよね。
貴族の伯爵令嬢で教養を学んでいるのはジーナを見ていればわかりますし、途中、数か月は最下層の生活をし、精神的にも追い詰められた時期があって、今使用人でしょう?
最上位の教養と生活内容と最下層の生活内容がわかる人ってそう居ないんですけどね。
ジーナは最下層に行っている際に自己を完全に否定されているんですよね。
なので、自分とは何かとか他人と自分を比べたりして自分という物を認識しても心のどこかで『個人の意思はいつでも捨てられる』と思っていそうなんですよね・・・いや、個人の意思よりも仕事や与えられた役割の方を優先すべきと考えているという事ですかね、軽い依存に近いのかな?
仕事優先の思考とは、つまり大人の思考形態に似ているという事です・・・いろいろと経験してしまって、ジーナは子供時代を飛ばして大人、社会人としての意識を確立してしまったと考えた方が納得は出来ますかね。
同年代からすれば異質でしょうね。
大人達の思考に近いとなると・・・子供として見た時はどこか無理をしている可能性はあるし、言い方は悪いですがどこか壊れているんですかね。」
武雄が考えながら言う。
「ご主人様、私は壊れていません。
というより私はご主人様の部下です。
私情よりご主人様の命令が最優先は当たり前じゃないですか。」
ジーナが抗議してくる。
「・・・ジーナ、私と一緒に第2騎士団に殴り込みに行くよと言ったら行きますか?」
「はい、微力ながらお供させて頂きます。」
「ジーナ、旅をしていて時間がないから私と一緒に湯浴みをしようと言ったらしますか?」
「はい、ご主人様に裸を見せるのは特に差し支えはありません。」
「新しい美味しいスイーツが出来て目の前に置いたら我慢できますか?」
「私は犬ではありません、そのぐらい出来ます。
それにご主人様は皆に平等に分け与えます。
目の前で作ったのなら私の分もあるはずなので心配はしておりません。」
「まぁ・・・ジーナはジーナで自分を探しながら仕事をしてくれれば良いでしょう。」
武雄が頷く。
「なら私もスミス様と同じで問題ないという事ですね。」
ジーナ言ってくる。
「2人とも一般の生徒達とは育った環境が違うので特殊な事例でしょう。
むしろそういう状態になる同級生の相談役になるのではないでしょうか。
適切な助言が出来るようにしておきましょう。」
「「ん~・・・」」
スミスとジーナが考える。
「なので、今、一番心配しているのはスミス坊ちゃんが性への目覚めをした時の溺れ具合でしょうね。
はたしてどんな性的嗜好が発現するのだろうか・・・心配です。」
「タケオさん、スミスの前で性癖の事なんて言わないでください。
変な趣味に走ったらどうするんですか?」
レイラが武雄に言ってくる。
「・・・レイラさん、性癖とはどうしょうもないのですよ。
個人個人で違いすぎますし、多種多様で幼少期の生活を見ていただけでは将来どういった性的嗜好になるかなんてわからないですからね。
そして誰しもがあるものです。」
「・・・そうなんですかね?・・・タケオさんやウィリアムにもあるの?」
「ええ、私もありますし、ウィリアムさんにもありますよ。
個人的趣向の範囲内で楽しめれば良いですけど・・・こればっかりは何が切っ掛けになるか、どこを見てしまうのか・・・なってみないとわかりませんね。
ウィリアムさんにお願いした方が良いのかもしれません。」
「ん~・・・ウィリアムには私から言っておきます。」
アルマが言う。
「ええ、すみませんが、これも自覚してからでないと対応ができません。
ウィリアムさんには面倒をかけますが、よろしくお願いします。」
武雄が頭を下げるのだった。
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