第1805話 料理が準備完了。(ジーナの手習い。)
パイディアーがヴァイオリンをペイトーが厨房にあったグラスを使い簡易的なグラスハープを用意し、ビエラとミアはペイトーと机を挟んだ向かい側に陣取り、調理器具を使って音を出せる物が置かれており、ペイトーの指示でペイトーの身振り手振りに合わせて音を鳴らせるようにしていた。
「で、ここで、私が手をビエラに向けるので、ビエラは手の物をトントンと・・・そうそうそう、そのテンポで叩いて・・・おお!良い!良いですよ!ビエラ。」
「あ~♪」
「ミア!」
「はい。」
4人で合奏をしている。
ただ、武雄の知っている某情報系TV番組のOP曲だったり、所々音が間違っているのはご愛敬なのか。
武雄とジーナはそんな楽しそうな音楽の授業を聞きながら料理の用意をしていた。
「良し、ラザニアとアップルパイの準備はOKっと。
あとは焼くだけだね。」
武雄が用意した皿達を見まわして頷く。
「・・・ご主人様、些か数が多いようですが・・・」
ジーナが数を数えながら言ってくる。
「ビエラはお手伝いしましたからね。
3人分は食べるだろうと用意しましたよ。
まぁそれで足らなかったら何かまた作ってあげますけどね。」
「なるほど、わかりました。
時間はまだ少し早いようですね。」
「温かい物を食べてほしいですからね。」
「ならしばらくは休憩になるのですね。」
「ええ、それにしてもジーナはヴァイオリンを習わなくて良いのですか?」
「学院とマリの剣術、王城で料理を教わっていますので、ここにヴァイオリンは入れません。」
「ジーナ・・・手際が良いと思っていましたが、王城で料理を習っているのですか。」
「はい、前に王城の料理長に頼んだら二つ返事でご許可頂きました。
空いている時に簡単な物を教えて頂いています。」
「ふむ・・・ジーナ、お金足りていますか?」
武雄が考えながら言ってくる。
「はい、空いている時に数回程度ですので・・・食材込みで月々銀貨1枚です。
料理長との直接契約になっています。」
「安っ!?
・・・何か契約項目に問題はなかったですか?」
「私も4度見直しましたが、特にこれと言って問題な項目はありませんでした。
こちらから何かを提示したりするような項目はなく。
あくまで料理長が空いた時間で私に料理の手ほどきをするという内容です。」
「・・・レシピは?」
「ご主人様がお売りになった内容と王国内での街中で食べられる料理ですね。
料理長曰く『王城内で出される料理はちょっと教えられないので』との事です。」
「普通の料理教室か・・・
作った料理はジーナやスミス坊ちゃんが処理を?」
「いえ・・・レイラ殿下方が毎回現れて回収していかれます。
今まで持って帰ったのも私とスミス様が少し食べれる分ぐらいで本当に少しのみです。」
「何人分作らされてますか?」
「えーっと・・・4・・6名分です。
3名分を同じ工程で2回作るようにしています。」
「復習もその時にさせるか・・・割と普通だけど、レイラ殿下は何しているのでしょう?」
武雄が首を傾げる。
「ご主人様のレシピの隠匿でしょうか?」
「そうかもしれませんが・・・あ!あの妊婦方がお腹を空かせているだけなのかもしれないとふと思いました。」
「アルマ殿下とレイラ殿下・・・夕食もしっかり食べられるのですよね?
料理長達からも何も食事が減っている等は聞かされていませんし。」
「でしょうね。
あの2人が食べ物を残すなんてすることはしないと思いますけど・・・料理長が関わっているならジーナが習った日の夕食は少なめになっているのかもしれませんね。
食事の回数を増やしている可能性はありますが。
少量を数回に分けての方が母体には良いのかなぁ?」
「あ~・・・なるほど、少量を取らせる事によって空腹感を感じさせないという事ですね。」
「まぁ王城内で調整は計られているのでしょう。」
武雄が頷くのだった。
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第3皇子一家の執務室。
只今、ウィリアムとパットは外出中です。
なので、室内にはアルマ、レイラ、エリカ、スミス、パナとマリが居る。
「・・・ふむ・・・課外授業でそんなことをね。
ジーナちゃんが居ればどうとでもなる数という事で問題なかったと。」
レイラがスミスの近況を聞いての感想がこれだった。
「そのゴブリンは用意されていた感じがあるわよね。
まぁジーナとスミスで何とかなったのなら良いけど。」
アルマも言う。
「でも、些か危なくはありますよね。
万が一を考えると・・・王家が居るのですから、怪我で済めば良しとは言えないと思いますが。」
エリカが言ってくる。
「城門の外の世界には危険があるというのを教えるのには最適な事案かと。」
「事実、ゴブリンの件を教師が伝えた際に生徒間の浮ついた雰囲気が締まったように感じたな。」
チビパナとチビマリが言ってくる。
「王立学院も犠牲者を出す訳には行かないから用意周到に準備はしたんだろうね。
経験としては悪くはないわ・・・でもやり方としては危ういという事かもね。」
アルマが考えながら言う。
「まぁ少なくとも今までは問題ないのだから行事的には文句を言う事ではないかな?」
レイラがそう言う。
「次回以降で問題があってからでは大変です。
あくまで実施に反対するのではなく、安全面の考慮をどうされているのかを毎年確認する必要はあると思います。」
エリカが考えながら言う。
「うん、そうね。
ならこれはあとでウィリアムから提案させましょう。」
アルマが頷くのだった。
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