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第1801話 同期会。1(金欠貴族。)

武雄は夕食後、ビエラ達をお風呂に入れ寝かしつけた後、王城を出てラックの店に来ていた。


「いらっしゃいませ、キタミザト殿。」

武雄達が入ってくると着飾っているフォレットが出迎える。

「あれ?今日も居るのですか?」

「キタミザト殿の同期が集まると予約が入りまして。

 急遽招集されました。」

「はぁ・・・フォレットさんは私達に付くのですか?」

「私はキタミザト殿専属ですね。

 何か問題がありますか?」

「ありはしませんが、フォレットさんの方が毎回私だとつまらなくないですか?」

「つまらないわけではないですよ。」

「それなら良いのですが、他の方々は?」

「もうお着きです。

 キタミザト殿、こちらに。」

フォレットが武雄を誘導するのだった。


「お、待ちかねましたよ。」

「キタミザト殿、お久しぶりです。」

「先にやらせて貰っています。」

武雄の同期の新貴族達5名が声をかけてくる。

ここに居ないのは領地持ちのバビントンだった。

「遅れて申し訳ありません。」

武雄が軽く謝りながら空いている席に付くと一緒に来たフォレットも武雄の隣に座る。

「いえいえ、キタミザト殿だといろいろと忙しいでしょうからね。」

「ははは、陛下や王家の方々にすぐに呼び出されますからね。

 まぁ、行ってみたら雑談をしながら、国のいく末を愚痴られたり、文官との懸案事項で意見を求められたり、研究は進んでいるのかを聞かれたり、対魔王国で何か変化があるか聞かれたり・・・

 どなたか代わって頂けますか?」

武雄がにこやかに言う。

「「「・・・」」」

皆が目を逸らす。

「何で私ばかりなんですかね・・・皆にもあの緊張感をわかって貰いたいので明日にまた陛下に呼び出されたら進言しましょうかね。」

「「止めてください!」」

武雄の暴走を皆が止める。

「はぁ・・・というか・・・

 皆さん、副収入出来たんですってね。」

「ん?そうなのか?」

武雄の問いかけにアルダーソンが皆を見る。

「なぜ、それを?」

同期の1人が聞いてくる。

「王立学院に主家の跡取り、というか妻の弟が居ましてね。

 様子を見に行った際にクラーク議長とも話をしまして、その時に教えて貰いましたよ。

 王都の土地や建物の管理だそうですけど、それなりに収入はあるのでしょう?」

武雄が同期達を見る。

「はぁ、キタミザト殿は耳が良すぎますよ。

 私達王都組は土地や建物の管理を王城から委託されましたが、一応、地方貴族には内緒なんです。」

「建物の管理は住居だけでなく、宿や商店もあります。

 私達も互いにはどんな物件を管理しているのかは教えあってはいないんです。」

「収入が多少の差は出てしまうのは致し方ないですが、差があるという事は軋轢にしかなりませんので、そこは言わないでおこうとなったんです。」

同期達が白状する。

「驚きました?アルダーソン殿。」

武雄がアルダーソンに聞く。

「いや・・・俺達の貴族報酬だけだと使用人すらまともに雇えないからな。

 何かしら商売はする必要があるとは感じていたが・・・王城から斡旋があるとは思わなかった。」

「はぁ・・・金欠は私達だけですって。」

「そのようだな、はぁ・・・」

武雄とアルダーソンがため息を付く。

「「「・・・」」」

「・・・2人とも金欠・・・ですか?」

皆がアルダーソンはともかく、新貴族達の立役者の武雄も金欠だとは思いもよらなかったのだろう、一瞬時が止まった後に1人が聞いてくる。

「ええ、私達、地方の領地持ちの所に間借りしていますからね。」

「新しく商売をするのは領内の政策の命令系統上憚れるんだ。

 特に俺はバビントン殿の所だからな・・・手付かずの土地が多く、やろうと思えば商店くらいは出来るが、やってしまうと俺が関与した店はバビントン殿達の命令を軽んじる可能性があるから将来を考えるとなぁ。」

アルダーソンがしみじみと言う。

「私も商品企画として数件携わりましたが、企画料だけだと微々たる物ですよ。

 アルダーソン殿と同じで店を出そうにも主家との命令系統の問題や既に街に行き渡っている市場に食い込むリスクから上手く行かないと思えますし・・・」

武雄も暗い顔をさせながら言う。

「それは・・・何か対策は?」

「アルダーソン殿は陛下に陳情したらしいですね。

 私はアルダーソン殿の事はわからず、単独で陛下とクラーク議長には苦慮しているとは言っています。

 一応、両者からは現状の理解した旨は言って頂き、高い確率で研究所の予算編成に盛り込むよう努力するとは言われました。

 そういえば、アルダーソン殿、来年度から試験小隊は3小隊制になるそうですよ。」

武雄がアルダーソンにわざと言ってくる。

「それは・・・俺の方も聞かされた。

 皆にはどうだ?」

アルダーソンが同期達を見る。

「貴族会議にはまだ挙がっていないな。」

「その議案は来ていないな。」

「だが、キタミザト殿がクラーク議長に言ってから研究所予算編成が両所長に伝えられたとなるなら、陛下や議長、文官は了承しているということか。」

「まぁ、私達は新人ですからね。

 事前の打ち合わせに呼ばれてないだけなのかも知れませんよ。」

同期の王都組が話し合っている。

「お金・・・いくらになるか知りませんが、減額はやめてください!」

「俺も!

 減額はやめてくれ!」

武雄とアルダーソンは同期達に頭を下げるのだった。



ここまで読んでくださりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] >「(前全略)皆にもあの緊張感を  嘘 ば っ か ( 笑 )
[一言] タケオちゃん、早く王家と手を切りましょう。
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