第1798話 第3皇子一家との話。1(領地造成は順調の様です。)
武雄はマイヤー達を部屋に帰し、パイディアーとペイトーと一緒に第3皇子一家の執務室に来たのだが。
「タケオさん、遅いですよー。」
レイラが武雄を前にプリっと苦情を言ってくる。
「すみませんね。
陛下達と一緒にちょっとした演奏会でした。」
武雄も時間がかかったのはわかっているので苦笑しながら謝る。
「レイラ、タケオさんに言っても意味ないわよ。
それにお義父さまに捕まったのならしょうがないじゃない。」
「そうですけど~。
廊下に出たらヴァイオリンの音が聞こえたので『やってるなぁ』とは思っていましたけど。
なんで私達呼ばれないんですかね?」
レイラは自分達も呼んで欲しかったようで呼ばれなかった事に不満のようだ。
「部屋に向かう途中で会った人達が集まった感じですね。」
「それで聞きなれない音だったけど、新しい曲の演奏をしたんですか?」
ウィリアムが聞いてくる。
「ええ、パイディアーとペイトーが新作は何が良いかという話からですからね。
ウィリアムさん達には近日演奏してくれるのではないですか?」
「ほぉ、新しい曲が増えるんですか。
それは良いですね。
最近、湯浴みの後にお茶を飲みながら1曲お願いしているんですよ。」
「それはリラックスして寝れそうですね。」
「ええ、良い気分で寝れますね。」
「パイディアー、ペイトー、その新しいの今日にでも出来ますか?」
エリカが2人に聞く。
「問題なく。」
「大丈夫です。」
2人が頷く。
「私達も今日聞けるなら良いかぁ。
で、タケオさん、来てくれたついでにこれをどうぞ。」
レイラが武雄の前に数冊の本を置く。
「これは?」
「うん、前にタケオさんに依頼して書いて貰った童話の本が完成したわ。
タケオさんから来た物語を私が味付けしましたけどね。」
「なるほど・・・もう出来たのですね。
アリスの冒険録で結構稼いだのでは?」
「本って売れると良い収入になるんですよね。
一応タケオさんというかエルヴィス領ではビエラ殿やミア殿が居るから影響がないように討伐されたり仕返しされたりするのはオーガやオークにしてあるわ。」
「配慮してくれてありがとうございます。」
武雄が軽く頭を下げる。
「まぁ子供向けだからそのぐらいの方がわかりやすいというのもあったけどね。
下手にドラゴンを悪者にしてその心意気のまま大人になってドラゴン討伐されても困るしね。」
レイラが言ってくる。
「レイラ、ありがと。」
ビエラが言ってくる。
「いえいえ、無用な争いを助長する必要はないでしょう。
オークやゴブリンは駆除の対象ですからね。
子供の内から教えておいて損はありません。」
レイラがビエラに言う。
「本当、レイラは本を書くのが仕事になってきてしまったわね。
まぁ私も楽しんで読ませて貰っているから文句はないけど。」
アルマが呆れながら言う。
「アルマさんは何かしないのですか?」
武雄が聞いてくる。
「私かぁ。
本を読むのも好きだし、美味しい物を食べるのも好きだけど、趣味の範囲内かなぁ。
仕事に出来そうなほど本を読んでも居ないし、何かに精通しているわけでもない。
食べるのも好きだけど、国中の美味しい物を食べたわけではないし、実際に国中の物を食べたいとはあまり思わないかなぁ。
レイラみたいに仕事にはならないわね。」
アルマが言ってくる。
「一生をかけても国内にある本は読み尽くせないでしょうから読むものがないとはならないでしょうね。」
「ジャンルにもよるとは思うけどね。
まぁ私は余暇は趣味に使う事にするわ。」
アルマが言ってくる。
「領地の方は問題はないのですか?」
「大きな問題はないですね。
僕達が住む屋敷も建て始めていますし、専売局の異動も順調と言われています。
街の改造も今のままなら遅滞なく作れそうですね。
ここまでくれば僕達は裁可はしますが、大幅な変更は出来ません。
あとは部下達が調整しつつ実施してくれるでしょう。」
ウィリアムが言ってくる。
「良い事ですね。」
「はい、エルヴィス領内はどうですか?」
「街道については着手するみたいです。
実務的に何かとは言われていませんし、ここに来る際も何か言って来いとも言われていませんから遅れは今の所ないのだろうと思います。」
「ふむ・・・順調なら良いですけどね。
僕的には多少は遅れても問題はないとは思いますが・・・流石に面子的にマズいですよね?」
「でしょうね。
領主達同士が良いとは思っても皆が皆そう思わないでしょう。
なので、ウィリアムさん達が異動されるまでには街道が完成するというのは絶対です。」
「船の方はどうですか?」
「船体の設計は依頼していますよ。
試作はこれからですし・・・駆動部分については手も付けていません。
まぁすぐにお披露目が出来るとは思いません。
その辺は気長に待っていてください。」
「わかりました。
卸売市場の方もすぐとはいきませんが、根回し段階では問題ないようです。
あとは買う側と売る側がどのくらい参加するかが問題でしょうね。」
「いきなり多くの人はこないでしょうね。
地道に何回も開催して定着させないといけないと思います。」
「成果を焦ってしまいそうです。」
「焦って成果が出るなら最初から出ますよ。
開始後数年は赤字でも致し方ないでしょう。
誰もが初めての事業なんです、失敗して良いんですよ。」
「王都からも派遣されてくるであろう者達に良い所は見せたいんですよね。」
「それは成果というより見せ方の問題ではないですかね?」
武雄がウィリアムの言葉に答えるのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




