第1795話 アリスの散歩。2(ピザ祭りとな。)
研究所を出てアリスとルフィナは街中を散策していた。
最近のアリスは日中の散歩を再開し、同行者としては子供達から1名を付けてうろうろとしていた。
とある店の前でアリスが止まる。
「雑貨屋さんか・・・ルフィナ、入りましょうか。」
「はい、アリス様。」
2人が店内に入っていく。
「アリス様、いらっしゃいませ。
何かお探しですか?」
店長と思われる男性がカウンターから声をかける。
「お邪魔します。
特にないのですけど・・・最近は何が売れていますか?」
「最近ですか・・・あ、そう言えば生クリーム、バター聞きましたよ。」
店長が言ってくる。
「予想はしていたのですけど、混乱しましたね。」
アリスが苦笑しながら頷く。
「ええ、雑貨としてはバターと生クリーム用にと思われる小瓶が売れましたね。
まとめ買いがほとんどでしたよ。」
「・・・小瓶・・・そんな量の小売りしていましたかね?
まだ一般家庭には教えていないのですけどね・・・」
「まぁ各店の料理人の家族というのもありますからね。
その辺はしょうがないのではないですか?」
「あまり追及しても誰も得はしなそうですが・・・目に余るなら出るしかないのかなぁ。」
「本人達もわかっているでしょう。
そこは大目にみてはいかがですか?」
「はぁ・・・注目はしておくと言っておきます。」
「はい、それでよろしいかと、あと、ピザでしたか?
あの料理用の皿の注文が多くなっています。」
「・・・専用の皿ってなんですか?」
アリスが逆に首を傾げる。
「大き目の浅皿ですね。
中には80cmの丸皿なんかもありましたよ。」
「え?そんな大きいの私達も食べた事ないですね。」
「なんでもどこまで大きく出来るのか試すとか言っていました。
酒場での名物にでもするんじゃないですかね?」
「それは調査に行かせた方が良いんですかね。」
「出来たら噂になるでしょうからね。
食べに行かれた方が良いでしょう。」
「そうしますね。
他に何かありますか?」
「そうですね~、最近、テンプル伯爵領から仕入れた物なのですがね。」
アリスが店主と雑談するのだった。
・・
・
雑貨屋を出てアリスとルフィナは次の店に向かっていた。
「アリス様、お話の通りピザが人気のようですね。」
ルフィナが表通りの店々を見ながら言う。
「そうですね。
フレデリックから聞いた限りでは、食材価格は落ち着いてきているようですからとりあえず安心ではありますね。
店主さんの話ですと店毎に特色があるピザを作っているよう・・・」
アリスがとある店の正面に掲げられている張り紙に目を止める。
「アリス様?・・・えーっと・・・激辛ピザ?
美味しいのでしょうか・・・それとも話題作りでしょうか・・・」
ルフィナがアリスが見ている張り紙を見る。
「なるほど、辛さを加えたパンというのも特色になるかもしれませんね。
・・・美味しいかは不明ですが。」
アリスが頷く。
「アリス様、明日にでも作ってみますか?」
「少しのトウガラシを入れただけでもスープは辛くなります。
下手に作って食べられない物が出て来ては困りますけど・・・料理長に提案だけはしてみましょうか。」
「そうですね。」
ルフィナが頷く。
「アリス、次回の特産品祭りのテーマは『ピザ』ね!」
チビコノハがアリスの肩に出てきて話す。
「ピザ?・・・まぁ、結構なお店がピザを呼び込みには使っているみたいですが・・・
各町での特色になるのでしょうか?」
「なるんじゃない?
むしろこの店々が作り出す前に町毎に1品作らせるのもありかもしれないわよ?」
「ん~・・・そう言われるとそうですけど、逆に色んな種類を作らせてから各町局長に食べさせて自分達の町や村で作れるものを持って帰って貰って根付かせるというのもありですよね。」
「あ~、そう言うのも良いね。
それにアリス、ピザの生地もふわふわのパンのような物からサクッとしたビスケットのような物までいろいろあるのよ。」
「私達が食べているのはパンのようなのですよね。」
「そうね。
実際に組合の人達に食べさせたのもそうだから今は似たような物が出ているんだろうね。
これに生地の違いも出てきたら同じ具材をトッピングしても感じが違う料理になるのよ。」
「そうなのですね。
ん~・・・それは食べれます?」
「出来ると思うわよ。
サクッとした方は具材を堪能する感じだからお酒のおつまみにちょうど良いかな。
私的にはパスタと一緒に出すのに合っていると思うわ。」
「ふーん、なるほど。
料理長に頼んでみましょうかね。
で、地域の特色にその生地も教えてあげるのですよね?」
「あげたいね。
それに鶏肉やり始めたからね。
ウスターソースを使って濃い味で焼いた物を細かくして乗せたり、逆に塩のみでしても良いし。
茹でただけの鶏肉もありといえばありだし。
鶏肉だけでもいくらでもやりようはあるわよ。
それにキノコだったり、ジャガイモだったり、魚だって使いようによってはありよ。」
「ふむ・・・わかりました。
それは企画案としてフレデリックや料理長に言ってみましょうか。」
「アリス様、魚をどう使うんですかね?」
ルフィナがアリスに聞いてくる。
「私にもわからないけど・・・タケオ様やスズネさんに聞いたら美味しい物が出来るかもしれないわよ?
タケオ様が来てからいろいろ作ってくれているから戻ってくる頃に企画案が出せるようにしましょうか。
ルフィナ達も作ってみたい物が出来たら言ってね。」
「わかりました、アリス様。」
ルフィナが頷くのだった。
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