第1786話 もうすぐ面接です。(スミス坊ちゃん気を抜いちゃダメだよ。)
面接部屋にて。
武雄達は事前の面接手順を確認していた。
「と、いうわけでこの項目に沿ってまずは話を聞きます。
まずは志望動機からですね。」
武雄がそう言い、ジーナが黒板に箇条書きをしている。
「タケオ様、黒板に書いた項目は消すのですか?」
「消しませんよ。
たぶんキティさんは緊張していますからね。
もしかしたら考えていた事を忘れてしまう可能性もあります。
なので、こうやって項目を書いておいてあげれば忘れてもすぐに思い出せるかもしれませんからね。
私達は取り調べをする訳ではありません。
キティさんの志望動機ややりたい事、本音を聞きたいのです。」
「はぁ、なるほど。」
スミスが頷く。
「それと・・・スミス坊ちゃん、姿勢は大事ですからね。」
「姿勢ですか?
普通に座っているだけではダメですか?」
スミスが聞き返してくる。
「ん~・・・なんと言えば良いですかね。
基本といえば基本なのですけどね。
話している相手の態度によって話す側の心理と言うのに影響があります。
例えば・・・あ、スミス坊ちゃん、今日の午前中にあった授業の話を私にしてください。
2種類しますからね。
印象を教えてください。
良いですか?」
「はい、わかりました。」
「はい、どうぞ。」
「今日の午前中は社会の講義で町の役割とどういった商店等を誘致するべきかの話をうけ」
スミスが話し始める。
武雄は最初、少し前かがみになりスミスの顔を見ながら相槌を打ち、メモは手元をほとんど見ないで書いても、ちょっとした単語を流し書きをしている程度にしていた。
そして1分くらいして武雄は前かがみを止め、姿勢よく椅子に座ると、下を向いてメモを取りながら話を聞いており、1度もスミスを見ないで聞いていた。
「・・・以上が今日の午前にあった内容です。」
とスミスが話を終えると武雄が顔を上げる。
「違いがわかりましたか?」
武雄がにこやかに聞いてくる。
「最初はこっちの話を聞いてくれていると感じましたが、最後の方は何だか興味がないのかなぁという感じでした。」
「うん、上出来です。
この意味合いとしては話を聞きたいという態度を私達話される側もしなくてはいけないという事です。
これを無意識に出来るのであれば話しやすい人とか言われますね。
相槌も声に出さなくても頷くという事をしてあげるだけでも話す側の気持ちが楽になります。
まずは実践してみましょう。」
「わかりました。」
スミスが頷く。
「あと要所でスミス坊ちゃんに振りますからちゃんと答えてくださいね。」
「ん!?」
スミスが固まる。
「スミス坊ちゃんは次期当主ですからね。
新しい部下に次期当主として視野が広い事を見せましょう。」
「む・・・無理です!」
「感じたままで良いんですよ。
ふふっ。」
武雄が悪い顔をさせる。
「無理ですっ!
タケオ様!何かください!今後の僕の立場がかかっているのでしょう!?
今後の為に失敗は出来ませんし!
極力僕の考えを言いますけど、何か補助をしてくれるものをください!
何を質問するとかタケオ様なら持っていますよね!?
それください。」
「ん~・・・なら、ジーナのネックレスを使いますか。
ジーナ。」
「はい、こちらが考えた事が皆に伝わる魔法具です。
基本的にはスミス様は聞いているだけで結構です。
私とマイヤー様が助力をいたします。」
「・・・タケオ様は加わらないのですか?」
「私はキティ・エメット嬢の話し相手なのでそっちには加わりません。
聞いてはいますけどね。
なのでマイヤーさんとジーナがスミス坊ちゃんの補佐をしましょう。
オールストンさんとブレアさんはそんな私達を見ながら楽しみましょう。
一応、扉の遮音の魔法をお願いしますね。」
「「はい。」」
オールストンとブレア。
「うん、さて来るまでにジーナとマイヤーさん、スミス坊ちゃんはネックレスに慣れておきなさい。」
「はーい。」
スミスが返事をし、マイヤーとジーナが頷くのだった。
・・
・
面接部屋の扉の前にはジーナが立っていた。
「ジーナ。」
エイミーとキティがやってくる。
「エイミー殿下。
こちらがキティ・エメット様ですね?」
「はい!キティ・エメットです。
本日はよろしくお願いいたします。」
「よろしくお願いいたします。
スミス・ヘンリー・エルヴィス様のお付きをさせて頂いております、ジーナと申します。
本日はタケオ・エルヴィス・キタミザト子爵がエリオット・ヘンリー・エルヴィス伯爵よりエメット様の志望部署の聞き取りを行うよう要請がございましたのでご対応をさせて頂きます。」
「はい!」
キティが返事をする。
「本日はエルヴィス領内の現在している事業、今後着手する事業等の説明がされる可能性がございます。
キティ・エメット様にはエルヴィス家に就職されるまで・・・最低でも卒業されるまでは守秘義務がかかりますのでご了承ください。」
「はいっ!」
キティが緊張しながら返事をする。
「私はここまでだから・・・キティ、焦らないようにね。」
「はい、いってきます。」
「では、室内にお願いします。
ご自身の気持ちが整ってからで結構です。」
ジーナが扉の前を空ける。
「すぅ・・・はぁ・・・」
キティが扉の前に立ち深呼吸をするのだった。
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