第1774話 レイラ達との話し合い。(穀物購入についての子供達の経験方法について。)
会議も終わりマイヤー達は自室に戻って行ったのだが、武雄、ジーナ、ビエラ、夕霧と彩雲はレイラとエリカに捕まっていた。
なので現在は第3皇子一家の執務室に連行されていた。
室内にはアルマも待っていた。
アルマとレイラが並んで座りエリカが後ろに立ち、アルマ達の対面に武雄が座ると横にビエラが座り後ろにジーナと夕霧が立つ構図が成立した。
「タケオさん、何考えているの?」
そしてレイラの対面に座った武雄に対しての第一声がこれだった。
「・・・どれがですか?」
武雄が少し考えてから聞き返す。
「スミスの教育を実施するんですってね。
オルコット宰相が内々に教えてくれたわ。
楽しみに待っていたのに全然説明に来てくれないので困ったわよ。」
「あ~・・・リツの所に遊びに行っていましたからね。」
「リツ?あぁ確かドラゴンの所に遊びに行ったという話よね。
それも気になるけど、今はスミスの事!
タケオさん、何なの?」
「どこまで聞かれたのですか?」
「スミスに第1皇子一家か第2皇子一家の小麦を買わせようとかいう話は聞いたの。
ジーナちゃんが裏から監視するというのもね。」
「それが全てですけどね。
まずは魔王国からそれなりの量の輸出依頼があって、留守番をしているアリスとヴィクターが話し合ってエルヴィス家から購入を決定、エルヴィスさんが了承し在庫から販売する事にした。
そして放出した分は王都で買う事を決定。
エルヴィスさんがどうせなら王都に居るスミス坊ちゃんにやらせようという話を私に振って来たという訳です。
事前段取りは私の自由にして良いとね。
なので、素案を持って陛下とオルコット宰相に相談、正式発注が来たら実施予定となっていますね。
まぁまだ魔王国側との金額折衝中なので、魔王国からの正式発注がなければ実施については出来るかはわかりませんけどね。」
「ん~・・・でもアリスもヴィクターさんもお爺さまもやる気なんでしょう?」
「ええ、そもそも陛下にも確認しましたけど、通常の流通販路で来ていますし、売る事を拒否する理由がありませんからね。
で、どうせ買うならスミス坊っちゃんに2か所への見積り依頼と数量分配を経験させようかと思いました。」
武雄が言う。
「ん~・・・タケオさん、パットとエイミーを使うんでしょう?
エイミーは大丈夫だろうけど、パットには難しいんじゃない?
見積り金額間違えそうだし。」
アルマが言ってくる。
「見積もりの提示金額を間違えて提出されても高かった場合は採用されないだけですし、安かった場合は大量に注文されるだけでしょう?
発注者に責任はありませんよ?」
「まぁ・・・そうなんだけど・・・
タケオさん、エルヴィス家からの注文書を受領してしまってからの訂正って出来ると思う?」
「注文後に提出した見積もりを間違えたからと取り消すのは構いませんが・・・私だったら突っぱねますよ。
訂正があるなら発注前にしてくれないと。
予算取り終わっているのに訂正されてもねぇ・・・」
「そ・・・そうだよね、それが普通だよね。
パットが心配だなぁ。」
アルマが考える。
「タケオさんは見積りと発注、受領、受け渡しについての経験を3人に体験させたいということなんですよね?」
エリカが聞いてくる。
「少なくとも私達の次の代はあの子達です。
こんな失敗しても大して問題にならなそうで、でもそこそこの量と金額というちょっと責任がかかりそうな良い交渉事があるのです。
教育の為に使わない手はないでしょう。」
「そうですね。
3人とも発注の依頼をされ、納入する者に問い合わせをし、見積もりを取って、自身の利益を乗せて交渉をするという工程がありますよね。」
エリカが言う。
「それに3人には納期の大切さを勉強して貰いたいですね。
エルヴィスさんにお願いする事になるでしょうが、納入日を指定させて貰います。
こっちとしては遅れても良いようには準備しますけどね。
スミス坊ちゃんは王都からエルヴィス伯爵領の指定の場所までの日数の計算をする必要があります。
そしてエイミー殿下とパット殿下に対していつまでに王都に納入させるかの納期の確認をさせます。
お二人も実家に対して同じことをする必要があります。」
「それって大変だよね。
時期によって日数が違う事もあるし、数量が多くなれば王都での荷台への積替えも時間かかるしね。
ん~・・・」
アルマが言ってくる。
「・・・タケオさん、それ・・・結構大変そうだよね。」
「大変でしょうね。
1か所から買うか2か所に分散して買うのかによっても荷捌き日数が違いますし、そもそも荷捌きが面倒だから荷台ごと買ってしまうという手もあるわけです。
そうすると必要な見積もりの項目が違うのですよね。」
「あ、タケオさん、そこに落とし穴ね!
スミスがそこで間違えると踏んでいるんでしょう?
見積もりをエイミーちゃん達にして終わると考えて受け取りの時に慌てるっていう算段ね!」
レイラが言ってくる。
「・・・別に間違いを望んではいませんが、間違った際に助力出来る程度の知識を持った者を近くに置いておかないと最終発注者のエルヴィス家が困るだけですからね。
なので助力する役目はジーナにさせます。」
武雄がそう言うと後ろに控えるジーナが「わかりましたぁ」と軽く頷いている。
「それでタケオさんの中ではその王都での受け取りから荷捌き、王都からエルヴィス伯爵領までの輸送をどうやる想定なの?」
アルマが聞いてくる。
「・・・それはジーナがスミス坊ちゃんよりも前に考え、スミス坊ちゃんが考えなかったらそれとなく嗜めながら2人で考える事です。
私の考えている方法が唯一無二の物ではないですし、私の考えに固執する必要もありません。」
武雄がそう言う。
後ろのジーナは「えー?」と声は出さないが、少し口を開けて回答が聞けない事を残念がる。
「まぁまぁそう言わないでさ。
ジーナちゃんが失敗したら大変なんだから1つの回答案として披露してよ。」
レイラが武雄の回答を聞き出そうとするのだった。
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