第1773話 戦争への打ち合わせ。2(各局合流しての話し合い。)
会議室に王家、総監局、軍務局、外交局、第一研究所、第二研究所、オルコット等の主要な面々が揃っていた。
武雄達が先に話していた通りの話が軍務局から説明されて、予定通り第一研究所から2つ目の町の強化案が第二研究所から1つ目の町の強化案と地形変更の利点が即提案されていた。
「・・・2か所の砦の新設、町の放棄を前提の攻め入る際に有利な土地改良・・・」
軍務局長以下面々がまさかここで自分達の計画に沿った提案がされるとは思わず唸っていた。
「ふむ、流石に研究所の所長達か・・・
即座に提案がされるとは。」
アズパール王がそう呟くと皆も頷く。
「総監局ですが、両研究所所長殿。
その予算については何か考えていますか?」
総監局長が聞いてくる。
「はい、二研です。
私達研究所の求められるのは戦術です。
予想される敵数、条件を勘案し勝つ為、負けない為の策を考える事です。
現時点で予算は知らされていません、なので私達が現状で優位に立てるであろう戦術を提案させていただいたまでです。
その上で軍務局で精査して貰い、予算取りを実施。
再度予算内で出来る事を考えるというのが本来の姿ではないでしょうか。
今回は時間もあります、出来る出来ないは各領主と王城が話し合って結論を出すべきです。
いくら出せるかわからないような予算で戦術をまず考えろと言うのなら変な話、金貨1枚で1000名の敵軍を撃退する方法なんてのを考えないといけません。
それは研究所の意味がありません。
空想で良いならいくらでも考えてしまいますが・・・意味のない想定は時間の無駄です。」
武雄が意見を述べる。
「なるほど、わかりました。
今の1つ目の町と2つ目の町の強化、改良案は軍務局主体で各局連携の上、予算見積もりを実施します。
出来る限り希望には沿わせて頂きますが、予算上足らない場合は都度相談し、違った方法を模索頂くという事にさせて頂きます。」
総監局長がそう言う。
総監局長は「まぁ、研究所に予算の事まで責任は持たせるわけにはいかないですよね」と思っている。
「ふむ・・・他には?」
アズパール王が聞いてくる。
「外交局です。
陛下、予算計上の件ですが、貴族会議への報告と相談はいつ致しましょうか。
またウィリプ連合国側とカトランダ帝国側の貴族に対しての通告時期はどうされますか?」
「ふむ・・・外交局の戦略的観点からはいつが良いと思う?」
「下打ち合わせはこのまま継続させるべきでしょう。
各局内での精査と準備は今からしておいても早いという事はないかと。
貴族会議、方面貴族については宣戦布告の3か月前辺りが順当かと考えます。
彼らには1年前程度から戦争の兆候が見られると噂を流布させます。
それと準備された強化計画の実施は同時期から開始するというのが理想かと思われます。
なので、戦争まで4か月であれば全容まではわからないかと思われます。」
「一研、二研の考えを実施するのに4か月で足りるのだろうか?」
ニールが聞いてくる。
「貴族軍と軍務局の魔法師が総出でやるしかないでしょう。
4か月よりも前となると向こうの方針が大きく変わる可能性があります。」
「4か月なら向こうの準備に変更がないと?」
「外交局としてはそう考えます。
向こうは攻め入る方です。
それも一地方ではなく全土となると4か月前には予算が決まり、食料や兵士の武具など数を買い集める時期に入っていると考えられます。
行動を始めてからの変更というのは難しいと考えます。」
外交局長が言う。
「ふむ・・・そうか。」
ニールが頷く。
「カトランダ帝国の方はどうなっているんだ?」
クリフが聞いてくる。
「はい、カトランダ帝国については東町にて我が国の物産を扱う雑貨屋を潜入拠点に選んで潜入人員の確保と教育を実施中です。
陛下とカトランダ帝国の皇帝との下打ち合わせを元に現在不戦協定の草案を考えております。
拠点が始動した後に向こうの帝都護衛軍への接触を開始する予定です。」
外交局長がカトランダ帝国についての報告をする。
「そうか。
戦争時の参加はどうなっている?」
「はい、此度の戦争の軍事行動計画において各貴族の増員数は最低500名がある為、カトランダ帝国側の兵士は3貴族合わせ6500名が参陣予定となります。
対するカトランダ帝国は8000名と想定しています。」
「8000か・・・」
クリフが考える。
「軍務局長、王都の騎士団や王都の壁はどうする?」
「陛下・・・考え中です。
どちらの方面でも人員が足らないのです。
・・・今回の一研と二研の提案を精査し、再度軍事行動計画を立案いたします。」
軍務局長が言う。
「そうか・・・良い案が出来る事を期待する。」
「はっ!」
「他は・・・なさそうだな。
では、これで事前会議を終えようか。
オルコット。」
「では、各位の検討を引き続き実施するようにお願いします。
特に軍務局は今日の話を精査し、軍事行動計画の立案を早期に実施願います。
次の会議は王家の方々と両研究所は抜きで各局との話し合いになります。
王家の方々、両研究所が参加されるのは次の陛下直属組織の会議の時でしょう。
その際に今回のような鋭い提案がされる事を望みます。
以上、解散。」
オルコットが会議を締めるのだった。
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