第1763話 陛下直属組織会議。3(組織長の雑談。)
しばらくして、アズパール王と3皇子、王都守備隊、王家専属魔法師とその部隊員数名も会議室に現れた。
「お、タケオ、アルダーソン、早いな。」
アズパール王がそう言いながら入ってくる。
「「お疲れ様です。」」
武雄とアルダーソンが陛下に近寄っていく。
コンティーニとマイヤーはアズパール王に会釈をして自分の席に戻っていく。
「全くだ・・・やる事が多すぎだ。
それと2人とも予算が足らないのはわかったからな。
来年度には3小隊編成の予算とする旨の改正が行われることが決まっている。
多少は色を付けるからな。
この場では言うなよ?」
アズパール王が席に着きながら言う。
「はい・・・キタミザト殿、何か言ったのか?」
「金くれーって?
言ったような言ってないような・・・まぁですけど来年度の研究所費用の内、所長として給料の増額をして家に分配しろという事なんでしょうね。
アルダーソン殿も何かしたのでしょう?」
武雄は前の飲み屋での話はおくびに出さずにいけしゃあしゃあと言い放つ。
「まぁ小言をちょっと・・・キタミザト殿もしてくれているとは。」
「実際私も足らなかったですしね。
普通に考えて私達は副収入がほぼない状態ですからね。
私はまだ同居しているエルヴィス家に泣きつけますけど、アルダーソン殿はバビントン殿に泣きついても向こうもないでしょう?」
「あぁ・・・何とかしようとは思ったんだが・・・貴族が家を持つというのはなかなかに大変で。
さらに新興地域というのは大変なんだなぁと思わされたよ。」
アルダーソンがしみじみと言う。
「陛下、私達には人員増強の予算増額はあるのですか?」
武雄達に王家専属魔法師が近づいてくる。
「・・・爺の所の予算?
王家専属魔法師部隊は何名だったかな?」
「15名ですな。」
「・・・アルダーソンやタケオみたいに戦場にはいかないからな。
3小隊は不必要だろう?」
「今後の研究で優秀な人員を揃えたいのですよ。」
王家専属魔法師が書類を持ち上げながらアズパール王に言ってくる。
「ふむ・・・」
「あの・・・こちらは?」
アルダーソンが誰に聞いて良いのかわからず、3人の中央あたりを見ながら呟く。
「あぁ、アルダーソン殿、こちらは王家専属魔法師殿です。
魔法師達が目指すエリート街道の最上位機関で魔法師専門学院の首席のみが採用される集団で、基本的に王家関係の魔法具作成と王城警護が任務の面倒で偏屈な集団です。」
「正解です!
アルダーソン男爵殿、偏屈な王家専属魔法師をよろしくお願いします。」
武雄の説明に満面の笑みで頷く王家専属魔法師。
「は・・・はぁ・・・お願いいたします。」
「それと一応、宝物庫の精霊関連のまとめもしているんですかね?」
「まぁ王家専属魔法師部隊しかやる部署ないですしね。
あ、そうだ、キタミザト殿、やってくれましたね?」
「いろいろやらかしているとそこら中から言われているらしいですね。
私本人としては普通なんですが?」
「はぁ・・・スズネ殿がキタミザト家採用と伺っていますが。」
「あ~・・・当たり前じゃないですか。
研究所の研究員採用では人事局の都合で異動させられますからね。
変な話、王家専属魔法師部隊に引き抜かれる可能性もあるんです。
優秀な人員を手放す気はありませんよ。
王家専属魔法師部隊に限らず、優秀な人員が引き抜かれる可能性は考慮して然るべきです。
それは私も同じですけどね。
なので欲しいのなら自ら動くしかないのですよ、」
「むぅ・・・今のままでは人員が揃わなそうなんですよね・・・
どうしたものか。」
武雄の言葉に王家専属魔法師が悩む。
「・・・なぁ・・・キタミザト殿、精霊魔法師・・・コンティーニの契約が研究所でというのはマズいという事だよな?」
アルダーソンが武雄にコソッと言ってくる。
「私も部下に精霊魔法師いますからね。
その気になれば王都の気分で人事異動がされます。
なので、家の方で採用し、出向扱いとしないと私達の手から勝手に駒がなくなります。
まぁ、かと言って本人が行きたいと言うなら行かせてあげるのは保証してあげないと本人が可哀そうですよ。
あくまで本人の意思を尊重するのが目的です、私達が囲う為にするのではないというのがこの考えの根底に無ければいけません。
今回は私と部下と話し合って、王都の都合で異動させないという処置をさせました。」
「ふむ・・・コンティーニと話し合って契約を変えよう。」
「早々にした方が良いですよ?
確か、王城への人員の正式通達は先月でしたでしょう?
人事局に行って誤記があったからと回収して、書き換えてしまった方が良いです。」
「あぁ、わかった。」
アルダーソンが頷く。
「はぁ・・・キタミザト殿、試験小隊の方の採用はどうですか?」
王家専属魔法師がまた武雄に聞いてくる。
「王都守備隊と第1騎士団に募集要項を出しましたよ。
でも前線勤務の者を王家専属魔法師部隊に入れて上手く行きますかね?」
「・・・難しいですなぁ、やっていることが全然違いますし・・・
かといって新人ばかりを増やすにも・・・ん~・・・」
王家専属魔法師が再び悩み始める。
「おーい、お前達、そろそろ戻った方が良いんじゃないか?」
アズパール王が目の前の3人に声をかける。
「はぁ・・・そうですね。
陛下、それでは。
アルダーソン殿、キタミザト殿、では、また。」
王家専属魔法師が自身の席に戻っていく。
「ええ。」
「はい、あ、他の面々に挨拶して席に戻りましょうか。
陛下・・は良いとして、クリフ殿下お久しぶりです。」
「殿下、お久しぶりでございます。」
武雄とアルダーソンはアズパール王の隣に座るクリフ殿下に挨拶をする。
「アルダーソン、あまり畏まらなくても良いぞ、今みたいに自由な時はタケオぐらい砕けてくれた方が私は楽だ。
もちろん会議中だったり大衆の目がある時はちゃんとしてくれるならな。」
「はい、畏まりました。」
「おーい、ちょっとはこっちに気を使って欲しいぞー?」
アズパール王の小言を無視し、武雄とアルダーソンは各々に挨拶をしてから席に着き、会議開始を待つのだった。
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