第1761話 陛下直属組織会議。1(久しぶりに同期に会う。)
朝食を終えた制服姿の武雄達はメイドに先導して貰い会議室を目指していた。
「ん~・・・結局全員参加なんですね。」
「ええ、今日は私だけで良いと言ったのですけど。」
「王都に居てもやる事ないですし。」
「王都守備隊の仕事見ていると体が疼きますし。」
マイヤーの言葉にオールストンとブレアが答える。
「あ~♪」
「ビエラ、寝る気ですか。」
ビエラの頭に乗るミアが呆れながら言う。
「タケオ、私とシウンは会議を記憶しておけば良いのですよね?」
「ええ、簡単な議事録はマイヤーさんがしてくれますが、戻ってから夕霧達の記憶と照らし合わせて詳細な議事録を作って貰いますからね。」
「ん、わかりました。」
夕霧がそう答えると紫雲も頷く。
「キタミザト様、会議室に着きました。」
メイドが扉の前で武雄達に言う。
「はい、ありがとうございます。」
「本日の昼食はどうされますか?」
「えーっと・・・他の方々と一緒で良いのですが、自由でと言うなら食堂に行きます。」
「畏まりました。
他の方々にお聞きして後程お伝えます。
では、失礼します。」
メイドが去っていく。
「・・・ここまで来て帰るってないですよね?」
武雄がドアノブに手をかけながら呟く。
「「ないですねー。」」
オールストンとブレアが言ってくる。
「さて・・・誰か居るかな?
あ、ノックしてから入るか。」
と武雄が扉をノックしてから扉を開けるのだった。
会議室の中には。
アルダーソン達数名と遠い席にジーナが居た。
「失礼します。
・・・ジーナ、居たの?」
「はい、早く着いてしまいました。」
ジーナが席を立ち武雄達に合流する。
「ジーナ、おあよう!」
「ジーナ様、おはようございます!」
「はい、ビエラ、ミア、おはようございます。
マイヤー様もオールストン様、ブレア様もおはようございます。」
「「「ジーナ殿、おはようございます。」」」
ジーナと皆が挨拶をする。
「遅れましたけど、ジーナ、おはよう。」
「はい、おはようございます、ご主人様。
本日は私が付かせて頂きます。」
「いや、ジーナ課外授業だったのでしょう?
その代休でお休みなんですよね。
ゆっくりと休んで良いのですよ?」
「いーえ、王立学院が休みですのでキタミザト家の仕事をするまでです。
スミス様には許可を得ています。」
「まぁ・・・ジーナがそれで良いなら良いですけど・・・
無理はダメですよ?」
「無理などしておりません。」
ジーナがきっぱりと言ってくる。
「わかりました。
まぁどうせ面白くはないでしょうけどね。
眠くなったら寝て良いですから。」
「はい、わかりました。
お席は決められているようです。
第二研究所はこちらになります。」
ジーナが武雄達の席に先導するのだった。
・・
・
武雄達が席に着くとアルダーソンが女性を連れてやってくる。
「キタミザト殿、お久しぶり。」
「アルダーソン殿、お久しぶりです。
領地運営の補佐役ご苦労様です。」
アルダーソンと武雄が笑いながら挨拶を交わす。
「はは、キタミザト殿にはお見通しだな。
バビントン殿も悪戦苦闘している。
第一研究所は領内の見回りぐらいだよ。」
「そうですか、新規の領地持ちは大変そうですね。
想像しただけで嫌になります。」
「ふっ・・・全くだ。
あ、紹介しておこう。
第一研究所の研究室長、フェリーチャ・コンティーニだ。」
アルダーソンが横に立っている女性を紹介する。
「キタミザト子爵様、フェリーチャ・コンティーニです。
コンティーニとお呼びください。
この度、第一研究所の研究室長に任命されました。
以後お見知りおきをお願いいたします。」
コンティーニが頭を下げる。
「はい、アルダーソン殿の同期のキタミザトです。
これから切磋琢磨していきましょう。
なら、こっちも部下の紹介が必要ですね。
第二研究所の研究室長は連れて来ていませんが、マイヤーさん。」
「はい。」
マイヤーが武雄の横に来る。
「アルダーソン殿、彼は第二研究所の総監でカルロ・マイヤーです。
まぁ副所長と考えて貰えば良いでしょうかね。
私と一緒に研究所を切り盛りして貰っています。」
「アルダーソン男爵様、カルロ・マイヤーです。
よろしくお願いいたします。」
「うん、よろしく頼む。
で・・・だな。
キタミザト殿、ちょっと同期として相談したい事があってな。」
アルダーソンがそんなことを言ってくる。
「お金の貸し借りは出来ませんよ。
うちの研究所、結構ギリギリなんですから。」
「二研もか・・・うちもだよ。
そうじゃない。
キタミザト殿、精霊魔法師だよな?」
「あの日、宝物庫入ってからの騒動は同期皆が知る事だと思いますけど?」
「あぁ、あの日の騒動は面白かった。
で・・だな。
精霊というのはどう扱えば良いんだ?」
「私は普通に扱っていますよ。」
「普通?」
「ええ、優遇するわけでも卑下する訳でもなく。
普通に部下という括りです。
私の部下という事で精霊がいますけど、部下に付いた精霊は部下の部下という括りですね。
私が直接なにかさせたりはしません、精霊の給金というかお小遣いはその精霊魔法師の給料に加味させて渡し、そこから精霊に渡っているはずです。」
「ふむ・・・部下の部下待遇か。
なるほど、精霊魔法師の給料に上乗せして渡すんだな?」
「ええ、だいたいこのぐらいかなぁという金額を渡してあげていますけどね。
その精霊魔法師がいくら精霊に渡すかまでは確認していませんけどね。
精霊を精霊魔法師の部下という括りで見るので、給料の金額の決定は精霊魔法師がすれば良いのです。」
「ふむ・・・そうなのか。」
「精霊魔法師が部下になったのですか?」
「ああ、可哀想にな。
前の所属先では居場所が無くて、ちょうど募集がかかっていた第一研究所に推薦されてきたよ。
まぁ優秀そうだから採用したんだがな。
ちなみにバビントン殿の所にも1名な。」
アルダーソンが呆れながら言う。
「・・・地方では精霊魔法師って扱い辛いとでも思われているんですかね?」
「さて・・・俺にはわからん。
まぁ地方領ではなかなか扱いが難しかったのかもしれないな。
精霊魔法師が居るだけで戦争に駆り出されるとでも思ったんじゃないか?」
「ふーん。」
「興味なさそうだな。」
「私も私の部下も精霊魔法師ですけど戦力にはならないと王城で評価して貰っていますからね。
精霊魔法師だからと言って戦力になるとは王都は考えてはいないのは知っていますし。
陛下直属の部隊に押し付けるとは・・・地方領の貴族の器を見せつけられている感じです。」
「まぁそう言うな。
少し相談出来て良かった。
こっちでも精霊魔法師の待遇は決められそうだ。」
アルダーソンが安堵のため息をつく。
「ええ、なら良かったです。
ところでコンティーニ殿の肩に居る精霊はどちら様ですか?」
武雄の言葉にアルダーソンとコンティーニが驚きコンティーニの肩を見るのだった。
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