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第1759話 199日目 食後の会議は中止にします。(グレースの副題。)

寄宿舎の食堂。

夕食後の課外授業の反省会にて。

「まさか・・・スイーツが出ていたなんて・・・」

イーデンががっくりとしている。

「イーデンの気持ちはわかるわ。

 私も実家に行ったから食べられなかったし。」

グレースも微妙な顔をさせて言っている。

「カイル、何を食べたの?」

「スミス、迷いに迷ってスイーツですよ。

 それもスミスから聞いた限りでは私達の方が少し下のようですね。」

反省会のはずがスミス達が食べたスイーツの話になっていた。

「あ!こら!貴女達もう部屋に帰ってのんびりしなさい!

 反省会も洗濯も明日で良いんですから!」

エイミーが1年生達を見つけて部屋に帰そうとしている。

「エイミーお姉様、私達は今日の反省をし・・・」

「反省は明日にしなさい!

 今日は皆が疲れているんだから部屋でのんびりとしなさい!

 それとグレース、貴女は良くてもお付きのバウアーはどうなの?

 お付きは自分だけでなく主人の世話や周りへの気遣いもするのよ?

 人一倍気を使っている者達を早く休ませなさい!

 上に立とうとする者が自分の配下の疲れすらわからなくてどうするのよ。」

「あ・・・はい、わかりました。

 スミス、イーデン、カイル、続きは明日にしましょう。」

グレースが皆に言う。

「「「はい。」」」

「では。エイミーお姉様、失礼します。」

「「「エイミー殿下、失礼します。」」」

「ええ、ゆっくり休みなさい。」

エイミーが皆を食堂から退出させる。


「はぁ・・・大丈夫かしら。」

「・・バウアー様以外は元気そうですけどね。」

ドネリーが言ってくる。

「見た目だけよ。

 ドネリーだって初めての時は疲れていたじゃない。」

「ヘビにゴブリンにと最前線で対処しましたしね。」

「あれはね~。

 スミス達みたいに4人いれば他にやりようはあったでしょうけど!

 王家というより寄宿舎は私1人よ!?

 他に居ないんですもん!しょうがないじゃない!」

「きゃ♪殿下が『もん』ですって。

 スミス様にご報告しなくては。」

「この野郎ー!」

「殿下、地が出てますよ。」

「んんっ・・・まぁ、聞いている限りでは一番疲れているはずのジーナも元気なんだけどね。」

「まぁ規格外の一員ですし。」

「そこはそうね。」

エイミーが頷く。

「・・・グレース殿下、大変そうですね。」

ドネリーが言ってくる。

「そうね・・・王家という括りで見られるしね。

 率先して物事に打ち込まないととでも思っているんじゃないかしら?」

「エイミー殿下も割とそうでしたよね。」

「・・・懐かしいわね。

 それよりグレースは今回で見定めたかしらね?」

「アズパール大公家は今代のみで終わりと決定していますから。

 グレース殿下は嫁ぎ先の選定を自らしなくてはいけないというのは・・・難しい所ですね。」

「自らが決められなければお爺さまによって決められるわ。

 ・・・自ら決められる期間の猶予はそうないわ。

 グレースはどう考えているのかしら。」

「エイミー殿下も時間はあまりありませんけど・・・被らなければ良いのですが。」

「・・・王都育ちが地方領に行きたがるとは思えないんだけどね。」

「そうでしょうか?」

「私もドネリーも父上の領地・・・地方領出身でしょう?

 地方の良い面も悪い面も知っているし、王都の良い面も悪い面も知っている。

 むしろ私は王都に住みたいとは思っていないのよね。」

「まぁ・・・息苦しいですよね。

 私としては地方ののんびりした感じが性に合っています。」

「私もそうよ。

 でもグレースは王都しか知らない。

 知識上は地方領の事はあっても向こうではどんな事があるのかとか、魔王国との最前線という立地も問題かもね。

 いつ攻めてくるかわからない緊張感・・・これは耐えられないんじゃないかしら。

 まぁ魔王国との最前線に住むなんて頭ではわかっていても王都の人間はそうそう覚悟は出来ないと思うわよ。

 私も本当の意味で地方領というのはわかってないのかもしれないけどね。」

「・・・エルヴィス領、魔物が跋扈しているんでしょうね。」

「跋扈どころか屋敷内にドラゴン達が居るんだけどね。」

「巣窟でしたか。

 ・・・ま、何とかなりますかね。」

ドネリーがあっけらかんと言い放つ。

「そ、そういう『どうにかなるか』という楽天的なのが地方出身者の強みよね。

 グレースはそういう状況下になったらどんな行動を取るんでしょうね?

 家の中でガタガタ震えていればまだ邪魔しないだけ良いかしら。」

「・・・それはそれで面倒ですね。」

「カトランダ帝国側かウィリプ連合国側ならまだ魔物が大人しそうだし、戦争もならなそうだからね。

 地方に行くならこっちの方が安全かもしれないけど。

 だけど、そっちには年齢の近い貴族の跡取りは居ないわ。

 なので、グレースは王都に残ると私は予想しているわ。」

「西側に適齢期の方が居ればエイミー殿下が嫁いでいたかもしれませんね。

 王都となると・・・ボールド様ですか。

 年上なら2年のバンクス様もありですね。

 どちらも新貴族の貴族会議ですが。」

「実家にも歩いて帰れる距離ね。

 第一研究所のアルダーソンと言うのもあるけど、アリス様の立ち位置だからね。

 タケオさんは縁戚だから領地運営に口出しを許されている面があるけど、あそこは別貴族だからね。

 アルダーソンの所だとグレースはタケオさんみたいな新興業種を作り出さないといけない。

 まぁ・・・無理でしょうね。」

「となると、王都に残っていろいろと大公家の遺産をやりくりと。」

「それがやりやすいわよ。」

「・・・エイミー殿下もそう言った事出来るのでは?」

「私はパットが近場に居るからね。

 王都に居ても良く思われないでしょうよ。

 将来の王に睨まれるなんてまっぴらごめんだわ。

 さっさと地方に行かないとね。」

「エイミー殿下は優秀ですからね。

 パット殿下といつも比べられますし。」

「経験数の違いだけだと思うんだけどね。

 まぁ今現在で政策事でパットに負ける気はないわ。」

「流石、エイミー殿下。

 ちなみに・・・スミス様の所に行ったら手腕を振るわせて貰えるのですかね?」

「あ・・・そこは考えていなかったわ。

 させて貰えないかな?」

「キタミザト様のあの自由っぷりを見るに。」

「確実に良い案を出せたらやらせてくれるわね。

 ん~・・・スミスが居ない内に実績あげちゃおうかしら。」

「・・・エイミー殿下?そんな事許されるのでしょうか?」

「普通なら無理ね。

 となると・・・エルヴィス伯爵家の邪魔にならないように・・・タケオさんの所に弟子入りしに行けば良いのでしょう?」

「そんなこと・・・あり得ますね。」

「タケオさんに媚びを売っておかないとね。」

「はぁ・・・売れる相手なら良いですけどね。」

エイミーは笑い、ドネリーはため息をつくのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 旗の立て方が、うまいなぁ~ エイミーは、スミス:エルヴィス領へ嫁ぐ前提の会話ですね。 魔王国は、しばらくはエルヴィス領へ攻め込んでこないのは、 決まりみたいなので、 孫が可愛い、アラ…
[一言] エイミーちゃん甘すぎる。 グレースは確実にスミスをターゲットにしたはず! スミスちゃんも嫁枠は増えるっと。 タケオちゃんとこも確実に増えるから早く二人の美人さん達に帰ってきてもらって家も新築…
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